トルコリラ円見通し 円安進行を背景に3月10日以降の高値を更新(22/3/24)

トルコリラ円の3月23日は8.19円から8.12円の取引レンジ、24日早朝の終値は8.16円で前日終値の8.14円からは0.02円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 円安進行を背景に3月10日以降の高値を更新(22/3/24)

円安進行を背景に3月10日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、円安進行に押し上げられる形で10日から持ち直し8.19まで高値切り上げ
〇対ドルでは14リラ台後半でもみ合いの状況だが安値は徐々に切り下げ
〇22日にトルコ統計局発表の3月消費者信頼感指数は72.5で2月から改善
〇25日製造業景況指数、30日経済信頼感指数、4/1にイスタンブール製造業PMI発表
〇ウクライナ情勢悪化によりリラ売り感強まれば円安では支えられなくなると注意
〇8.14以上での推移中は上昇余地あり、8.19超えからは8.20台序盤を目指す可能性あり
〇8.14割れからは下向き、8.12割れからは8.09前後への下落を想定

【概況】

トルコリラ円の3月23日は8.19円から8.12円の取引レンジ、24日早朝の終値は8.16円で前日終値の8.14円からは0.02円の円安リラ高となった。
ウクライナ情勢による地政学的リスクを圧迫要因として2月24日の一時的な急落で7.77円の安値を付けて年初からの8円台での持ち合いから転落し、いったん戻したものの2月28日から3月10日まで9日間の続落となり3月10日は安値を7.76円まで切り下げた。その後はウクライナ情勢が膠着状態を続ける中で米長期債利回りの連騰を見てドル円が急伸となったことでトルコリラ円は円安に押し上げられる形で持ち直しに入り、3月22日高値で8.16円へ上昇、23日もドル円が121円に到達する中で8.19円まで高値を切り上げた。
3月23日夜にドル円が小反落したところでトルコリラ円も8.12円まで反落したが、ドル円は24日午前序盤に121円台へ持ち直してトルコリラ円も8.17円台まで切り返しているところだ。

【ドル/トルコリラ動向 14リラ台後半で揉み合いだが安値切り下がり基調】

ドル/トルコリラの3月23日は14.86リラから14.78リラの取引レンジ、24日早朝の終値は14.83リラで前日終値の14.81リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢を背景に3月11日に14.99リラ(ベンダーによっては15.04リラ)へ下落した後は新たな安値更新を回避し、3月18日以降は14.70リラ台では戻り売りにつかまり14.80リラ台中盤では買い戻されて揉み合いの状況だが、18日安値14.83リラ、21日安値14.85リラ、22日と23日が14.86リラと安値を徐々に切り下げており、持ち合いながらも軟調な推移となっている。
引き続きウクライナ情勢を見ながらの展開だが、地政学的に近いところでの深刻な戦争勃発であり、ウクライナ及びロシアとの外交通商関係も深いために情勢悪化ならリラ売り圧力がかかるところだ。

【消費者信頼感はリラ暴落の落ち着きで改善】

3月23日にトルコ統計局が発表した3月の消費者信頼感指数は72.5となり2月の71.2から改善した。市場は70を割り込む悪化となる可能性も想定していたが予想外に良好だった。
同指数は昨年9月から12月にかけてのトルコ中銀による4会合連続の利下げとインフレの高進を嫌気して2021年7月時点で81.7へ上昇していたところから低下に転じてリラ暴落の激しかった12月には68.9まで悪化していた。リラ預金保護政策でリラ暴落が一服し、3月の消費者物価上昇率が前年比で54.44%上昇、生産者物価上昇率が同105.01%へと上昇して高インフレが加速しているものの付加価値税の8%から1%への大幅引き下げ等により消費マインドもやや持ち直しが見られる。
3月25日には製造業の景況指数、30日に経済信頼感指数、4月1日にイスタンブール製造業PMIの発表と続く。

円安進行を背景に3月10日以降の高値を更新

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【ドル円は徐々に黒田ラインの125円に迫る】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は3月7日に99.42を付けて昨年1月以降の高値を更新した後は98を割り込むところを買われて高止まりの持ち合いとなっており、ウクライナ情勢から受ける地政学的リスクの強弱度合によって主要通貨のドルに対する強弱がまちまちとなっているが、ドル円は3月23日に121.40円へ上昇して昨年1月6日底102.57円以降の高値を更新している。
1月4日高値116.34円を超えて一段高に入ってからここ3週の上昇は急角度で進展しており、日銀が金融緩和政策を継続する一方での米連銀による利上げペースの加速、インフレ進行による輸入インフレからの経常収支悪化、賃金が上がらない中での消費低迷が悪い円安、実効為替レートにおける円の弱さを反映しており、有事の円買いの面影は乏しく「円売り」の様相すら漂わせている。

既に2016年12月のトランプラリーによる高値118.65円を超えており、2016年1月高値121.67円に迫っているところだが、その上は2015年11月18日高値123.73円、2015年6月5日の125.84円=いわゆる黒田ラインまで上値抵抗水準も切り上がってゆく状況にある。
トルコリラ円としては、ドル/トルコリラが膠着状態の中にあっては円安による押し上げで3月11日以降の持ち直し基調を継続しやすい状況といえるが、ウクライナ情勢の悪化によりリラ売り感が強まると円安では支えられなくなると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月17日朝高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、3月17日夜へ下落した後を持ち合いとしたところから反騰入りしたために23日午前時点では持ち合い終点となる3月21日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして22日から24日にかけての間への上昇を想定した。
3月17日朝高値から4日目となる23日午前高値で直近のサイクルトップを付けたと思われるが、23日夜安値から持ち直しているため、23日夜安値割れからは24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定するが、23日午前高値を上抜き返す場合は新たな強気サイクル入りとして28日午前から30日午前にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月23日夜の反落で遅行スパンが悪化したものの先行スパンを上回った状況を維持しているため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンへ潜り込むところからは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。またその際に先行スパンから転落するところからは下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は3月23日夜の下落時に40ポイントまで下げてから持ち直しているので60ポイント超えからは70ポイント台を目指す上昇へ進むとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント以下への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.12円を下値支持線、8.19円を上値抵抗線とする。
(2)8.14円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.19円超えからは8.20円台序盤(8.20円から8.22円)を目指す可能性があるとみる。8.20円以上は反落警戒圏とするが、8.15円以上での推移なら25日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.14円割れからは下向きとし、8.12円割れからは8.09円前後への下落を想定する。8.09円前後は買われやすいとみるが、下げ足が早まる場合は8.07円前後へ下値目途を引き下げる。また8.14円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月24日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/18時点 (3/11時点 653.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/18時点 (3/11時点 158.6億ドル)
3月25日
 16:00 3月 製造業景況感 (2月 109.8)
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.6%)
3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -102.6億ドル)
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 98.2)
 20:30 週次 外貨準備高
4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)

注:ポイント要約は編集部

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