トルコリラ円見通し 円安の加速で3月10日以降の高値を更新(22/3/23)

トルコリラ円の3月22日は8.16円から8.05円の取引レンジ、23日早朝の終値は8.14円で前日終値の8.05円からは0.09円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 円安の加速で3月10日以降の高値を更新(22/3/23)

トルコリラ円見通し 円安の加速で3月10日以降の高値を更新

〇トルコリラ円、22日夜高値8.16、23日午前8.19到達し3/10安値以降の高値更新
〇米長期債利回り連騰でドル円上昇、クロス円全般の円安がトルコリラ下支え要因に
〇対ドル、14リラ台後半での揉み合い、23日早朝終値14.81で前日と変わらず
〇地政学リスクの圧迫感続く、情勢前からの高インフレ悪化の恐れも
〇8.13以上での推移中は上昇余地ありとし、8.19超えからは8.20円台序盤を目指すとみる
〇8.13割れから続落に入る場合、8.10前後試しとみる

【概況】

トルコリラ円の3月22日は8.16円から8.05円の取引レンジ、23日早朝の終値は8.14円で前日終値の8.05円からは0.09円の円安リラ高となった。
対ドルでのトルコリラは小動きだったが、米長期債利回りの連騰によりドル円が121円台に到達して円安が加速したことでクロス円全般が上昇したためにトルコリラ円も円安に押し上げられる形で3月22日夜に8.16円へ上昇した。22日深夜にはいったん8.11円まで下げたものの、23日午前序盤もドル円の上昇が継続したことで23日8時台高値で8.19円へ上昇して3月10日安値7.77円以降の高値を更新している。

【ドル/トルコリラ動向 14リラ台後半での揉み合い】

ドル/トルコリラの3月22日は14.85リラから14.68リラの取引レンジ、23日早朝の終値は14.81リラで前日終値と変わらずだった。
米長期債利回りの高騰が続いていることでドル円が上昇しているが、3月23日午前時点では米10年債利回りの2.40%に対してトルコ10年債利回りは26.9%であり、米長期債利回りの上昇によりドルストレートでのドル高感が必ずしも強まっていない現状ではトルコリラにとっての大きな圧迫感は生じていないようだ。
ウクライナ情勢も混とんとしているが、新たな展開待ちの状況でトルコリラも静観の様相であり、ロシア軍のウクライナ本格侵攻と原油高騰等を背景としてリラ売りが強まった3月11日に14.99リラへ下落してから3月15日に14.49リラまで戻し、その後はややジリ安ながら3月11日安値割れを回避して14.80リラを挟んだ揉み合いでの推移にとどまっている。

【ドル円が121円台到達】

米長期債利回りが連騰していることと世界規模のインフレ進行が円安を加速させている。
3月21日にパウエル米連銀議長が0.50%の利上げ姿勢を示したのに続いて22日はセントルイス連銀総裁とクリーブランド連銀総裁がいずれも0.50%の利上げを年内に複数回織り交ぜる利上げペースの加速を主張しており、米10年債利回りは3月22日に2.39%となりパンデミック発生からの急落で付けた2020年3月の0.31%以降の高値を更新して2019年6月以来の水準に達している。その一方で日銀は金融引き締めへ転換する必要はないとして金融緩和継続姿勢を強調している。このため日米金利差の拡大がドル円の上昇に直結しており、クロス円全般の上昇=円安を加速させている。

原油や穀物の上昇等によるインフレの進行は日本にとっては輸入インフレによる経常収支の悪化を招くことともなり、主要国が引き締め姿勢へと舵を切る中で日銀の出遅れ感が目立つ状況となっている。日米金利差からの裁定的な円売りドル買いの流れ以上に、弱い円、悪い円安というイメージも高まりつつある。トルコリラ円にとってはクロス円全般の円安が、もう一方の弱い通貨であるトルコリラに対しても下支え要因となっている状況だ。

【ウクライナ情勢は先行き見えず】

3月20日にトルコのチャブシオール外相が「ロシアとウクライナの停戦交渉は進展しており合意に近づいている」との見解を示したものの、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「今のところ協議の本質的な前進はみられない」とし、ウクライナのゼレンスキー大統領がプーチン大統領との停戦協議首脳会談を申し入れていることに対しても「首脳会談へ向けた合意事項は確定しておらず合意文書もできていない」と否定的な発言をしている。
両国の停戦協議は断続的にオンラインで行われているようだが、当面は泥沼状況の継続でジワジワとロシア軍がキエフを包囲を狭め、東部及び南部の制圧地域も漸増している状況にある。
近隣で通商外交関係も密接であるトルコにとっては地政学的リスクの圧迫感が続き、ウクライナ情勢の発生前からの高インフレがさらに悪化してゆきかねない状況が続いている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月17日夜の反落で16日夕安値に並ぶとところまで下げたために18日朝時点では17日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、3月17日夜へ下落した後は下げ渋りが続いたために3月22日午前時点では3月10日夜安値から5日目となる17日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして22日の日中から24日朝にかけての間への上昇を想定した。
3月23日午前への続伸により17日朝高値を超えているため引き続きトップ形成中とするが、直近のサイクルボトムを3月17日夜安値からの下げ渋り持ち合い終点となる3月21日夜安値と改める。また8.10円以上での推移中は一段高余地ありとするが、8.10円割れからは弱気サイクル入りとして24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月22日に先行スパンを突破したため遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先へ切り替える。またその際に先行スパンから転落する場合は下げ足が早まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は3月22日夜高値から23日午前への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が見られるので下落期入りしやすい状況とみる。70ポイント超えからは上昇再開とするが、60ポイント以下での推移中は下向きとして40ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.13円を下値支持線、8.19円を上値抵抗線とする。
(2)8.13円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、8.19円超えからは8.20円台序盤(8.20円から8.22円)を目指す可能性があるとみる。ただし、8.20円以上は反落警戒圏とし、その後に8.15円を割り込むところからは下落期入りと考える。
(3)8.13円割れから続落に入る場合は8.10円前後試しとみる。8.10円前後は買われやすいとみるが、8.10円割れからさらに続落する場合は8.05円前後を目指す下落を想定する。また8.10円以下での推移なら24日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 71.2)
3月24日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/18時点 (3/11時点 653.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/18時点 (3/11時点 158.6億ドル)
3月25日
 16:00 3月 製造業景況感 (2月 109.8)
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.6%)
3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -102.6億ドル)
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 98.2)
 20:30 週次 外貨準備高
4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)


注:ポイント要約は編集部

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