ドル円見通し 121円到達で上昇一服するも120円台中盤までで確り(22/3/24)

ドル円は、23日午前には121.40円まで高値を伸ばして2016年1月29日高値121.67円以来の高値水準に到達した。

ドル円見通し 121円到達で上昇一服するも120円台中盤までで確り(22/3/24)

121円到達で上昇一服するも120円台中盤までで確り

〇ドル円、米長期債利回り連騰一服で23日夜に120.58まで下げるも24日早朝に121円台回復
〇有事の円買いが見られない弱い円、上昇一服でも高止まりしつつ高値切り上げを試す基調
〇プーチン大統領のルーブル支払い発言などでNY原油連騰、23日は高値115.40ドルまで戻す
〇23日夜安値120.58以上での推移中は121.40超えから122円台を目指すとみる
〇120.58割れからは120円前後への下落を想定、120.10以下は反騰注意

【概況】

ドル円は米長期債利回りの上昇を受けて3月22日夜に121円に到達、23日午前には121.40円まで高値を伸ばして2016年1月29日高値121.67円以来の高値水準に到達した。その後は上昇一服となり23日夜には米長期債利回りの連騰一服をみて120.58円まで下げたものの24日早朝には121円台を回復しており、高値更新を伺う位置取りを維持している。
米連銀高官による0.50%の引き上げへの言及やウクライナ情勢及びロシア制裁に関する先行き不透明感、急騰一服でいったんは下げていた原油相場が反騰入りしていること、一方で日銀は金融緩和政策継続するというズレの中で有事の円買いが見られない弱い円という印象も強まる状況にあり、上昇一服でも高止まりしつつ高値切り上げを試す基調にあるという印象だ。
3月24日早朝にはロシア軍がキエフ郊外の前線を後退させているとの報道もあり、停戦協議進展の可能性と泥沼的長期化への懸念が交錯する中で続報を待ちたいところ。
バイデン米大統領は欧州歴訪へ向けて米国を出発。24日から北大西洋条約機構(NATO)やEU、G7首脳会談等に出席する。

【米10年債利回りは連騰一服】

3月23日の米10年債利回りは前日比0.09%低下の2.30%へと下げた。22日には前日比0.10%の上昇で2.39%を付けて2020年3月の0.31%以降の水準を更新、2019年6月以来の高水準に達していたが、連騰一服でやや下げたという印象。同様に連騰してきた30年債利回りが0.11%低下の2.49%、2年債利回りも0.07%低下の2.10%へとやや落ち着いた。
3月21日にパウエル米連銀議長がインフレ高進への警戒感を強めて次回会合で0.50%利上げの可能性を示唆したことをきっかけに米長期債利回りの上昇が勢い付き、22日のセントルイス連銀総裁とクリーブランド連銀総裁も同様に0.50%の利上げを複数回含めた利上げペースの加速を主張、23日もサンフランシスコ連銀総裁が0.50%の引き上げに言及している。こうした状況を踏まえれば次回FOMCで0.50%の利上げとなる可能性がかなり高まったと思われる。

一方でNYダウは前日比448.96ドル安、ナスダック総合指数は186.22ポイント安と下げており、原油反騰基調を見て戻り売りにつかまった印象だ。
NY原油は3月23日に前日比5.66ドル高となった。ロシア産原油禁輸検討報道から100ドルを超えて3月7日に130.50ドルまで急騰、当面のリスクを織り込んだ買い一巡として3月15日には93.53ドルまで反落したが、先行きのエネルギー需給ひっ迫懸念はさらに拡大する恐れありとして3月17日から連騰に入り23日は高値で115.40ドルまで戻している。ロシアからカザフスタン経由での欧州向け原油輸出が停止されたとの報道や、プーチン大統領が「非友好国」(欧米、日本を含む)に対する天然ガス輸出決済での支払いをルーブルに限定すると発言したことが先行き不安を助長している。

大上昇一服中の穀物市場も高止まりしており、ウクライナ情勢の泥沼化、穀物飼料輸出国であるウクライナでの作付け大幅減少懸念、ロシア産の資源エネルギー供給削減など、昨年来の感染拡大が繰り返される中での人手不足とモノ不足によるインフレ進行が一層深刻化する状況にあることは、日米金利差による円安、輸入インフレによる経常収支悪化を踏まえた円安、有事の円買いが見られない脆弱性が意識された状況での円安進行が続きやすい状況と思われる。円の実効レートの低下についての言及も多くなっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、3月5日未明安値を起点とした上昇基調が続いているが、3月18日夜からの119円台序盤での横ばい型持ち合いを上放れて一段高に入ったために22日午前時点では持ち合い終点の3月21日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りとして3月23日夜から25日夜にかけての間への上昇を想定した。
3月23日夜へ反落したものの120.50円以上を維持して121円台を回復しているのでまだ上昇余地ありとみる、また3月23日夜安値を起点として新たな上昇期入りしている可能性も検討される。弱気転換は23日夜安値120.58円割れからとし、その際は24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月23日午前高値からの上昇一服で遅行スパンが実線と交錯しているが先行スパンを上回った状況を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし3月23日夜安値を割り込むところからは先行スパンへ潜り込むため下落期入りの可能性ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月22日夜高値から23日午前序盤への一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行となり23日夜にはいったん50ポイントを割り込んだがその後は持ち直している。このため50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台後半を目指すとみるが、45ポイント割れからはもう一段安へ進むとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、3月23日夜安値120.58円を下値支持線、121.40円を上値抵抗線とする。
(2)120.58円以上での推移中は121.40円超えから122円台を目指すとみる。122円到達ではいったん売られやすいとみるが、121円台を維持しての推移なら25日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)120.58円割れからは120円前後への下落を想定する。120.10円以下は反騰注意とするが、120.58円以下での推移なら25日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/24(木)
G7首脳会議、EU首脳会議(3/25まで)、NATO緊急首脳会議、
14:30 片岡日銀審議委員、記者会見
17:30 (独) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.4、予想 55.8)
17:30 (独) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 55.8、予想 53.8)
17:30 (ス) スイス中銀 政策金利 (現行 -0.75%、予想 -0.75%)
18:00 (ノ) ノルウェー中銀、政策金利 (現行 0.5%、予想 0.75%)
18:00 (欧) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.2、予想 56.0)
18:00 (欧) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 55.5、予想 54.2)
18:30 (英) 3月 製造業PMI速報値 (2月 58.0、予想 56.7)
18:30 (英) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 60.5、予想 58.0)

21:30 (米) 10-12月期 経常収支 (7-9月 -2148億ドル、予想 -2180億ドル)
21:30 (米) 2月 耐久財受注 前月比 (1月 1.6%、予想 -0.5%)
21:30 (米) 2月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (1月 0.7%、予想 0.6%)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.4万件、予想 21.2万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 141.9万人、予想 141.0万人)
22:00 (南) 南ア中銀 政策金利 (現行 4.00%、予想 4.25%)
22:00 (英) マン英中銀委員、講演
22:45 (米) 3月 製造業PMI速報値 (2月 57.3、予想 56.3)
22:45 (米) 3月 サービス業PMI速報値 (2月 56.5、予想 56.0)
22:50 (米) エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
24:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、質疑応答
26:00 (米) 財務省10年物インフレ連動債入札
28:00 (メ) メキシコ中銀、政策金利 (現行 6.00%、予想 6.50%)

3/25(金)
バイデン米大統領、ポーランド訪問(26日まで)
08:30 (日) 3月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (2月 0.5%、予想 0.7%)
08:50 (日) 2月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (1月 1.2%、予想 1.2%)
09:01 (英) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -26、予想 -30)
13:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、会議挨拶
16:00 (英) 2月 小売売上高 前月比 (1月 1.9%、予想 0.6%)
16:00 (英) 2月 小売売上高 前年同月比 (1月 9.1%、予想 7.8%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前月比 (1月 1.7%、予想 0.9%)
16:00 (英) 2月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (1月 7.2%、予想 6.0%)

18:00 (独) 3月 IFO企業景況感指数 (2月 98.9、予想 94.1)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前月比 (1月 -5.7%、予想 1.0%)
23:00 (米) 2月 住宅販売保留指数 前年同月比 (1月 -9.1%)
23:00 (米) 3月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 59.7、予想 59.7)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演
24:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

注:ポイント要約は編集部

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