ドル円、日米金融政策格差を背景に約6年1ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円、地政学的リスクの長期化懸念と株式市場の冴えない動き、米指標不冴えに120.60に反落
〇売り一巡後は121円割れでの押し目買いに121円台を回復
〇ユーロドル米国時間朝方にかけ1.0964まで下落するも米金利の低下等に1.1005前後に戻す
〇ドル円、テクニカル的に見て「地合いは極めて強い」と判断、目先は16/1/29高値121.70を試すか
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違い、地政学リスク長期化等ドル買い材料多い
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:120.50ー121.50
海外時間のレビュー
23日(水)のドル円相場は堅調な値動き。@米当局者による相次ぐタカ派発言(次回5月FOMCでの大幅利上げを織り込む展開→米長期金利急上昇→米ドル高)や、A上記@を背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米金利差拡大に伴うドル高・円安)、B株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、2016年2月1日以来、約6年1ヵ月ぶり高値となる121.35まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(2016年1月29日に記録した高値121.70をバックに伸び悩むと)、C急ピッチで進んだドル高・円安の反動や、Dロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念、E上記Dを背景とした株式市場の冴えない動き(リスク回避ムード再燃→安全資産の米債買い→米長期金利低下→米ドル売り)、F米2月新築住宅販売件数(結果77.2万件、予想81.0万件)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値120.60まで反落しました。
もっとも、売り一巡後に下げ渋ると(121円アンダーでの根強い押し目買い圧力に続落を阻まれると)、米国時間午後にかけて再び反発。本稿執筆時点(日本時間3/24午前5時00分現在)では121.15前後で推移しております。
23日(水)のユーロドル相場は下落後に持ち直す展開。@欧米金融政策の方向性の違い(FRBが金融引き締めに積極的なスタンスを示す一方、ECBは金融引き締めに慎重なスタンス→ユーロ売り・ドル買い)や、Aロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ドラギ伊首相による「プーチン露大統領は和平交渉を進めるための停戦に関心を示していない」との発言→停戦期待後退→エネルギー価格上昇→欧州経済のスタグフレーション懸念)や、B欧州株の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0964まで下落しました。しかし、前日安値1.0960をバックに下げ渋ると、C米金利低下に伴うドル売り圧力や、D対円でのユーロ買い圧力(ユーロ円上昇→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間3/24午前5時00分現在)では、1.1005前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は前日高値121.04を上抜けすると約6年1ヵ月ぶり高値となる121.35(2016年2月1日以来)まで急伸しました。強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「移動平均線のパーフェクトオーダー」「ボリンジャーバンドのバンドウォーク」が継続するなど、テクニカル的に見て「地合いは極めて強い」と判断できます(目先は2016年1月29日高値121.70を試すシナリオを想定。同水準を突破できれば心理的節目125.00に向けて一気に上昇するリスクもあり)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜や、A日銀による金融緩和の長期化観測、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(主要国が金融引き締めへの転換を志向する中、日本のみ金融緩和の長期化方針を示唆→キャリートレードの円独歩安)、Cロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク(停戦期待の剥落→有事のドル買い再燃)、D原油価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(経常収支悪化→円売り圧力)、
E本邦輸入企業による実需のドル買いなど、ドル高・円安を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はシカゴ連銀エバンズ総裁やアトランタ連銀ボスティック総裁の発言に加えて、G7首脳会談やNATO緊急首脳会議にも注目が集まります(米当局者よりタカ派的な発言が出てくる場合、G7やNATOより停戦期待の剥落を想起させるヘッドラインが出てくる場合には、日米金利差拡大に伴うドル買い・円売りと、有事のドル買いが重なることから、ドル円にはもう一段強い上昇圧力が加わる恐れあり。日本政府による円安牽制発言に留意しつつもドル高・円安基調の継続を想定)。
本日の予想レンジ:120.50ー121.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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