『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。上値の重い展開が継続』
〇トルコ円、露烏停戦期待と中銀利上げ観測に週後半にかけて、週間高値8.19まで急伸
〇トルコ中銀は政策金利を据え置き、中銀独立性への不信感に8.03レベルに下落
〇トルコ円、上方にテクニカルポイント多く、売りシグナルも継続、テクニカルの地合いは弱い
〇ファンダメンタルズもロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念等トルコ円下落材料多い
〇引き続きトルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想
〇来週は3/21に発表されるトルコ2月観光客数と、3/23のトルコ3月消費者信頼感指数に注目
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.85ー8.15
今週のレビュー(3/14−3/18)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初7.94円で寄り付いた後、早々に週間安値7.86円まで下落しました。しかし、前週末3/11に記録した安値7.76円をバックに下げ渋ると、@エルドアン大統領がロシアから地対空ミサイルシステムS400を購入することについてコメントを控えたこと(米土関係の改善期待)や、Aロシア・ウクライナを巡る停戦期待(地政学的リスクの後退は両国と経済的な結びつきの強いトルコにポジティブに作用)、Bトルコ中銀による利上げ観測(インフレ昂進を背景に一部で利上げを予想する向きが増加)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値8.19円まで急伸しました。もっとも、C注目されたトルコ中銀金融政策決定会合で政策金利の「据え置き」が決定されると、D利上げ観測後退に伴うリラ売り圧力(トルコ2月消費者物価指数が前年比54.44%の20年ぶり高水準を記録したにも係わらずエルドアン大統領の方針に従って利上げに踏み切らず→中銀の独立性に対する不信感再燃)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間3/19午前4時20分現在)では8.03円前後で推移しております。
来週の見通し(3/21−3/25)
トルコリラの対円相場は3/11に記録した約2ヵ月半ぶり安値7.76円をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて8.19円まで反発しました。但し、上方に一目均衡表基準線や21日移動平均線、90日移動平均線や一目均衡表雲上下限といった主要レジスタンスポイントが控えている他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しい)と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(トルコは両国と親密な関係にあるため、ロシア・ウクライナを巡る緊張状態の継続は、対ロシア・ウクライナへの輸出減少や、ロシア・ウクライナからの観光客減少などの点でトルコ経済の下押し要因)や、Aトルコ国内のインフレ昂進リスク(エネルギー価格高騰→インフレ加速→トルコリラの実質金利急低下→トルコリラ売り)、Bトルコ中銀による低金利政策の長期化観測(エルドアン大統領はインフレを利下げで退治するといった独自理論を展開している為、トルコ国内でインフレが一段と加速しても、利上げオプションを選択できない状況)、
Cトルコ中銀の漸弱な外貨準備残高(介入余力の乏しさ)、D経常赤字拡大に伴うリラ売り圧力(通貨安やエネルギー価格高騰に伴う輸入増と、ロシアやウクライナ、欧州に対する輸出減の影響で貿易赤字が急拡大)、E米FRBによるタカ派傾斜観測(今週発表された米FOMCで25bpの利上げが決定された他、ドットチャートで年内あと6回の追加利上げを示唆。更にバランスシートの早期圧縮の可能性も示唆)、F上記Eを背景とした新興国から米国への資金流出圧力など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします(尚、来週は3/21に発表されるトルコ2月観光客数と、3/23のトルコ3月消費者信頼感指数に注目)。
来週の予想レンジ(TRYJPY):7.85ー8.15
トルコ円日足
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