トルコリラ円見通し ドル円の一段高に支えられるが対ドルでは軟調(22/3/22)

トルコリラ円の3月21日は8.06円から8.02円の取引レンジ、22日早朝終値は8.05円で先週末終値の8.03円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段高に支えられるが対ドルでは軟調(22/3/22)

トルコリラ円見通し ドル円の一段高に支えられるが対ドルでは軟調

〇トルコリラ円、3/21深夜から円安主導で上昇、3/22午前には8.08へ高値を切り上げる
〇対ドル、3/22早朝の終値は14.81、3/21はリラ売り再開の気配で安値を切り下げる
〇NY原油は112ドル台へ反騰、第三次石油危機レベルのインフレがトルコ経済直撃の懸念も
〇トルコ中銀による政策金利様子見期間は終了、今後の経済指標や金融政策姿勢に注目
〇8.05以上での推移中は上昇余地ありとし、8.09から8.10を目指すとみる
〇8.05割れからは下げ再開の可能性を優先して、8.02前後試しへ向かうとみる

【概況】

トルコリラ円の3月21日は8.06円から8.02円の取引レンジ、22日早朝終値は8.05円で先週末終値の8.03円からは0.02円の円安リラ高だった。
3月18日は8.15円から7.95円の取引レンジで17日終値8.06円からは0.03円の円高リラ安で週を終えていた。
ウクライナ情勢を近隣での地政学的リスク拡大としてドル高リラ安が進んだためにトルコリラ円は3月10日安値7.77円まで売られてきたが、3月7日からドル円の上昇が勢い付き2016年12月高値を超えて119円台に到達する円安となったことと対ドルでのリラ安も3月11日以降はやや落ち着いたため、3月7日からはトルコリラ円も円安に押し上げられてやや戻し気味の推移となってきた。3月17日高値で8.19円まで戻した後は上昇一服感もあり3月17日夜には8.01円まで下げたもののその後は円安の支えで新たな安値更新を回避して8円台を維持しており、21日深夜からは円安主導で上昇し、22日午前には8.08円へ戻り高値を切り上げている。

【ドル/トルコリラ動向 リラの買い戻し一服だが安値圏にとどまる】

ドル/トルコリラの3月21日は14.85リラから14.79リラの取引レンジ、22日早朝の終値は14.81リラで先週末終値の14.79リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。先週末の3月18日は14.83リラから14.53リラの取引レンジで17日終値の14.70リラからは0.09リラのドル高リラ安で週を終えていた。
ロシア軍のウクライナ本格侵攻と原油高騰等を背景としてリラ売りが強まったために13リラ台での持ち合いから下放れに入り3月11日には14.99リラまで安値を切り下げてきたが、停戦合意への期待等からリラ売りも一服となり3月15日には14.49リラまで戻した。しかし17日夜にトルコ中銀が政策金利据え置きとした後には14.80リラへ下落、停戦協議が継続しているもののロシア軍の攻撃も継続し、21日はNY原油が大幅続伸したことで楽観もやや揺らぎ始めており、リラ売り再開の気配で18日から21日へと安値を切り下げている。

【原油反騰によるインフレ高進懸念】

NY原油は欧米によるロシア原油禁輸検討報道から第三次石油危機レベルのインフレへと進みかねないとして3月7日に130.50ドルへと急伸したが、ロシア産への依存度の高いEUの禁輸達成目標が2030年とされたことで過剰反応の修正に入って90ドル台序盤へ急落となり3月に入ってからの急上昇分を解消していた。しかし、核合意実現でイランが大増産することにならない限りはロシア産原油の供給低下を増産余力のあるサウジとUAEが補うことは難しく、サウジとUAEは欧米による増産要求やロシア制裁への協力について冷淡な反応を見せており、今後は欧州勢によるロシア以外の原油争奪戦が繰り広げられることも懸念される状況で停戦合意も進まなかった。そのため3月21日には前日比7.42ドル高の上昇で112ドル台へ高値を伸ばしており、3月7日からの下落分の半値戻しを解消するV字反騰となっている。

停戦が実現してロシア制裁解除への期待が見え始めればそうした懸念も後退するが、ウクライナ情勢の泥沼化とロシア制裁の長期化なら原油、穀物飼料等の高騰による第三次石油危機レベルのインフレが既に高インフレ状態にあるトルコ経済を直撃することも懸念される。

【トルコ中銀による様子見期間は終了】

トルコ中銀は昨年9月から12月までの4会合連続での利下げで政策金利を19%から14%へ引き下げたものの、エルドアン大統領の自説である「利下げがインフレを抑える」ことには失敗している。中銀と財務相は1-3月期を様子見としてきたが、様子見の期間もそろそろ終了する。
既に消費者物価上昇率が前年比で50%超、生産者物価が100%超となっている状況が一層悪化する見通しになる中で、エルドアン大統領が主導する利下げ再開が強行されるのかどうか、今後のトルコ物価上昇率、経常収支、外貨準備高等の推移や政権側が発する金融政策姿勢に注目してゆくことになると思われる。

トルコのネバティ財務相は3月19日に、ウクライナ情勢がインフレ率を押し上げているが最近のリラ安については許容レベルとし、インフレ抑制に努める姿勢と共にリラ預金の為替差損補填政策が効果をあげていることを強調した。しかし、エコノミストの多くはトルコの消費者物価上昇率は原油高騰が続けば前年比で70%近くへとさらに上昇することを懸念している。
トルコはウクライナからの小麦輸入依存度も高い。戦火拡大により今春のウクライナにおける作付面積が大幅に減少するのではないかとの懸念が拡大していること、陸海の輸送ルートに支障が出ていること、原油高騰による物価全体の押し上げ等を踏まえると、既にリラ安によるインフレに見舞われているトルコ国民の生活を一層圧迫しかねないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月17日夜の反落で16日夕安値に並ぶとところまで下げたために18日朝時点では17日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしたが、3月17日夜へ下落した後は下げ渋りが続いているため、3月10日夜安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて直近のサイクルボトムを10日夜安値から5日目となる17日夜安値とした強気サイクル入りとする。底割れ回避のうちは22日の日中から24日朝にかけての間への上昇余地ありとみるが、下落後の持ち合いからは下放れしやすいと注意し、17日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして22日夜から24日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月21日夜からの上昇で先行スパン突破を試しているので、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下げ再開を警戒して遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月17日夜に30ポイント台序盤へ低下したところから50ポイント到達まで戻した後は上値が重くなっていたが、21日夜からの上昇で70ポイント到達まで戻しているので、55ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして70ポイント台後半を目指す可能性があるとみる。ただし60ポイント割れを弱気転換注意とし、55ポイント割れからは下げ再開とみて40ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.05円を下値支持線、8.10円を上値抵抗線とする。
(2)8.05円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.09円から8.10円を目指すとみる。8.10円手前は戻り売りが出やすい水準と注意するが、勢い付く場合は8.12円前後へ上値目途を引き上げる。また8.05円以上での推移なら23日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.05円割れからは下げ再開の可能性を優先して8.02円前後試しへ向かうとみる。8.02円以下は反発注意とするが、勢い付く場合は8.00円前後試しへ下値目途を引き下げる。

【当面の主な予定】

3月21日(済)
 17:00 2月 観光客数 前年同月比 (1月 151.4%、結果 186.5%)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 284.4億リラ、結果 294.8億リラ)

3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 71.2)
3月24日
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/18時点 (3/11時点 653.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/18時点 (3/11時点 158.6億ドル)
3月25日
 16:00 3月 製造業景況感 (2月 109.8)
 16:00 3月 設備稼働率 (2月 76.6%)
3月31日
 16:00 2月 貿易収支 (1月 -102.6億ドル)
 16:00 3月 経済信頼感指数 (2月 98.2)
 20:30 週次 外貨準備高
4月01日
 16:00 3月 イスタンブール製造業PMI (2月 50.4)


注:ポイント要約は編集部

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