ドル円見通し 119.60円台へ続伸、昨年1月以来の高値更新で120円台を意識(22/3/22)

22日朝には119.60円台へ高値を伸ばしている。

ドル円見通し 119.60円台へ続伸、昨年1月以来の高値更新で120円台を意識(22/3/22)

ドル円見通し 119.60円台へ続伸、昨年1月以来の高値更新で120円台を意識

〇ドル円、3/18夜119.39へ上昇、3/21夜にかけて高止まり、3/22朝には119.60台へ高値を伸ばす
(注:入稿後本日10時前に一時120.07まで上昇)
〇ウクライナ情勢の不透明感・原油急伸・米長期債利回りの一段高にドルが押しあげられる
〇NYダウ・ナスダックともに連騰後の反落、米長期債利回りは利上げペース加速感から一段高
〇米連銀議長、インフレ対策と引き締め強化姿勢示す、ECBは利上げを急がない姿勢強調
〇119.20以上での推移中は上向きとして、120円を試すとみる
〇119円割れからはいったん調整安に入るとみて、118円台中盤にかけてのゾーンを試すとみる

【概況】

ドル円は先週末の3月18日夜に119.39円へ上昇して3月17日未明の米FOMCによる利上げ再開決定を受けて付けた高値119.12円を上抜いたが、21日夜にかけても119円台序盤でほぼ横ばい型の持ち合いで高止まりし、深夜からはウクライナ情勢の不透明感、原油急伸、パウエル米連銀議長によるインフレ対策と引き締め強化姿勢をきっかけとした米長期債利回りの一段高に押し上げられて22日朝には119.60円台へ高値を伸ばしている。

【ウクライナ停戦協議進まず原油反騰開始、利上げペース加速感で米長期債利回りが一段高】

3月21日のNYダウは前日比201.94ドル安と下落、ナスダック総合指数も55.38ポイント安と下落した。ウクライナ情勢の不透明感、原油相場高騰の再開、インフレ深刻化懸念で米連銀による利上げペースも上がるとみて米長期債利回りが高進したこと、中国東方航空のボーイング737型機墜落事故によるボーイング社株安等が響いた。NYダウは1月5日に史上最高値を付けたところから下落に転じ、ウクライナへのロシア軍侵攻が始まった2月24日安値まで急落したが、その後は当面の悲観を織り込んだとして下げ渋り、3月14日から18日までは5連騰の上昇だったがブレーキがかかった印象だ。ナスダック総合指数も4連騰後の反落となった。
株安なら債券買いで長期債利回りが低下してもよい環境だったが、パウエル米連銀議長発言等をきっかけに米長期債利回りは総じて上昇した。10年債利回りは前日比0.14%高の2.29%で一時は2.32%まで急伸した。30年債利回りは0.10%上昇の2.52%、2年債利回りは0.18%上昇の2.12%となり、いずれもパンデミック発生以降以降の最高値を更新した。

【米連銀 引き締めペースを加速へ】

パウエル議長は全米企業エコノミスト協会(NABE)での講演において「労働市場は極めて力強く、インフレは高過ぎる」とし、「1回の会合もしくは複数の会合で政策金利を0.25%以上引き上げて一段と積極的に対応することが適切となればそのように行動する」と述べたが、3月FOMCでの年7回利上げ方針からさらに利上げペースを加速させる必要に迫られている状況にあることを示し、米長期債利回りの一段高のきっかけとなった。

一方で欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は「ECBと米連銀の金融政策は当面同調しない」「ウクライナ紛争による欧州と米経済への影響が大きく異なる」と述べて利上げを急がない姿勢を強調しており、ユーロドルは17日深夜に1.10ドルを超えたところで戻り一巡となっての下落基調を続けた。
主要国がそろって金融引き締め姿勢に入っていること、先行して利上げを開始してきたことや、ウクライナ情勢に対しての地政学的リスクの距離感からドルに対する主要通貨の強弱感は分かれているが、金融緩和姿勢の継続を強調している日銀の姿勢を踏まえて日米金利差の拡大からドル買い円売りへ進みやすく、原油高騰再開によるインフレ深刻化懸念が日本の経常収支悪化を連想させて円売りの様相も強まっている。

【三角持ち合い上放れと、3〜4か月周期の底打ちサイクルにおける新たな上昇期】

ドル円の日足チャートでは概ね3か月から4か月周期の底打ちサイクルによる上昇が認められる。昨年1月6日底を起点とした上昇におけるこのサイクルの底打ちは3か月半となる昨年4月23日安値、3か月強となる同8月4日安値、4か月弱となる同11月30日安値で付けてきたが、そこから3か月を経過した2月24日安値で直近のボトムを付けて上昇期に入ったと思われる。
1月4日高値116.34円と2月10日高値116.33円がダブルトップ型の上値抵抗線となり、11月30日安値と1月24日安値を結んだ右肩上がりの下値支持線と三角持ち合いを形成していたが、3月11日の大上昇でダブルトップ型の上値抵抗線を突破して三角持ち合い上放れに入った。

3か月から4か月周期のサイクルにおける高値形成期も概ね3か月から4か月の周期で到来するが、より上位の上昇トレンドにおいては高値形成期が長引くケースも多い。また今回は前回のサイクルトップがダブルトップ型だったため、左肩の1月4日高値を基準とすれば次の高値形成期は4月序盤から5月序盤にかけての間と考えられるが、ダブルトップの右側である2月10日高値を基準とすれば次の高値形成期は5月序盤から6月初旬にかけての間まで延びる可能性も考えられる為、高値形成期についてはウクライナ情勢、インフレ状況等を踏まえて短期的には決着せずに長引く可能性も念頭に置きたい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、3月15日夕刻にいったん118円を割り込んでから切り返したために、3月14日夕安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして18日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定してきた。
22日午前序盤に一段高しているが、既に前回サイクルトップから5日目に入っているので、18日夜からの119円台序盤における横ばい型持ち合いの終点である21日夜安値を直近のサイクルボトムとして新たな強気サイクル入りしている可能性がある。このため、119円台を維持するうちは18日夜高値を基準として23日夜から25日夜にかけての間への上昇継続とみる。弱気転換は119円割れからとし、その際は当初に22日夜にかけての間への下落とその後の反騰を想定するが、23日以降へ続落の場合は21日夜安値を基準として24日夜から28日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では3月18日夜の上昇で遅行スパンが再び好転し、先行スパンを上回った状況も維持しているので遅行スパン好転中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは一時的に遅行スパンが悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とし、弱気転換は先行スパン転落からとする。

60分足の相対力指数は3月21日夜にかけての横ばい推移で50ポイントを試したところから一段高に入って70ポイントを超えてきている。80ポイント手前では抵抗感も出やすいとみるが、50ポイント以上での推移中は上向きとし、弱気転換は50ポイント割れからとする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、119.00円を下値支持線、120円を上値抵抗線とする。
(2)119.20円以上での推移中は上向きとして120円を試すとみる。120円到達では売りも出やすいとみるが、119.50円以上での推移なら22日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)119円割れからはいったん調整安に入るとみて118円台中盤(118.75円から118.30円)にかけてのゾーンを試すとみるが、そこは押し目買いされやすい水準とみる。

【当面の主な予定】

3/22(火)
12:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、パネル討論会に参加
18:00 (欧) 1月 経常収支 (12月 226億ユーロ)
19:00 (欧) 1月 建設支出 前月比 (12月 -4.0%)
19:00 (欧) 1月 建設支出 前年同月比 (12月 -3.9%)
22:00 (欧) パネッタECB理事、講演
22:15 (欧) ラガルドECB総裁、講演
23:00 (米) 3月 リッチモンド連銀製造業指数 (2月 1、予想 0)
23:35 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、BIS討論会
24:15 (米) カンリフ英中銀副総裁、講演
27:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、討論会
30:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

3/23(水)
G7貿易相会合
16:00 (英) 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 -0.1%、予想 0.6%)
16:00 (英) 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 5.5%、予想 5.9%)
16:00 (英) 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 4.4%、予想 4.9%)
16:00 (英) 2月 小売物価指数 前月比 (1月 0.0%、予想 0.7%)
16:00 (英) 2月 小売物価指数 前年同月比 (1月 7.8%、予想 8.1%)
21:00 (英) ベイリー英中銀総裁、BIS講演
21:30 (英) スナック英財務相、予算案

23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (1月 80.1万件、予想 81.5万件)
23:00 (米) 2月 新築住宅販売件数 前月比 (1月 -4.5%、予想 1.8%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:00 (欧) 3月 消費者信頼感速報値 (2月 -8.8、予想 -13.0)
24:45 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、イベントに参加
26:00 (米) 財務省2年物変動利付債、20年債入札



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る