トルコリラ円見通し トルコ中銀の政策金利据え置きから失速で上値重い(22/3/18)

トルコリラ円の3月17日は8.15円から8.01円の取引レンジ、18日早朝の終値は8.06円で前日終値の8.09円からは0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し トルコ中銀の政策金利据え置きから失速で上値重い(22/3/18)

トルコリラ円見通し トルコ中銀の政策金利据え置きから失速で上値重い

〇トルコ中銀、3会合連続での政策金利据え置きを発表
〇トルコリラ円、3/17は8.15から8.01の取引レンジ、政策金利発表後売られたが売り一巡後下げ幅を削る
〇対ドルは、3/17夜政策金利据え置き発表後14.80まで売られ、一巡後落ち着くも14.70台後半にとどまる
〇トルコ大統領とロシア大統領が電話協議、トルコはウクライナ紛争解決へ近隣として奔走
〇8.10以下での推移中は一段安警戒とし、8.01割れからは7.90台中盤への下落を想定する
〇8.10手前は戻り売りにつかまりやすいく、8.10超えから続伸の場合は8.15前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月17日は8.15円から8.01円の取引レンジ、18日早朝の終値は8.06円で前日終値の8.09円からは0.03円の円高リラ安だった。
3月10日安値7.77円から反発に転じて16日までは終値ベースで4日間の続伸だったが、17日夜のトルコ中銀による政策金利据え置き発表から売られ、一部ベンダーでは8円割れの安値提示も見られたが、売り一巡後は下げ幅を削っている。
3月17日未明の米FOMCが利上げ再開を決定したことでドル円が119円台へ急伸したものの、その後は材料消化でやや下落となる一方、トルコ中銀が利上げをしないことが先行きのインフレ悪化とトルコ景気への悪影響をもたらすとして利上げ催促的に売られた印象だ。

【ドル/トルコリラ動向 リラの買い戻し一巡】

ドル/トルコリラの3月17日は14.80リラから14.50リラの取引レンジ、18日早朝の終値は14.70リラで前日終値の14.60リラからは0.10リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢と原油高騰等を背景に3月11日に14.99リラまで安値を切り下げたところからリラ売り一服で買い戻しに入り、3月15日には14.49リラまで戻していた。しかし17日未明のFOMCを通過後は再び売り優勢となり、17日夜のトルコ中銀による政策金利据え置き発表後に14.80リラまで売られた。売り一巡後は落ち着いたが14.70リラ台後半にとどまっている。
高インフレ下で利上げをせずに現状維持としていることでのリラ売りに加え、ロシアとウクライナの停戦協議が不調との見方も再燃したことで圧迫されている。

【トルコ中銀、予想通りに3会合連続で政策金利据え置き】

3月17日夜のトルコ中銀金融政策決定会合では政策金利の週間レポレートを現状の14.0%で据え置いた。エルドアン大統領による「利下げがインフレを抑制する」という金融政策姿勢に基づいてトルコ中銀は昨年9月から12月までの4会合連続で利下げを強行、19%から14%へと引き下げてきたが、インフレは収まらずに2月のトルコ消費者物価上昇率は前年比で54.44%、生産者物価に至っては105.01%の上昇となり高インフレが続いている。

トルコリラ円が12月20日に6.17円まで大暴落した際に、エルドアン政権はリラ預金の為替差損を補填する政策を発表したことで12月23日には11.14円まで一時的に急伸したが、その効果への疑問や政策の継続性への不信感から1月3日に8.13円へ下落した。トルコ中銀による市場介入もあり8円台での持ち合いを続けてきたが、ウクライナ情勢に圧迫されて2月中盤からは下落に転じて2月24日にロシア軍が侵攻を開始した際には地政学的に近い近隣の戦争勃発として一時的に8円を割り込んだところからいったん戻したものの、3月8日には終値ベースで8円を割り込んで持ち合い下放れとなり、3月11日には7.77円まで安値を切り下げていた。
ウクライナ紛争による売り一巡と、リラ預金保護政策に関連したリラ防衛的な買いに8円台を回復してきたが、今回の政策金利現状維持に対しては、利上げをしないためにインフレ進行がさらに続きかねないとしてリラ売り材料とされた。

3月17日夜に発表された週次の外貨準備高は3/11時点のグロスで653.4億ドルとなり3月4日時点の681.8億ドルから減少、ネットでは158.6億ドルとなり3月4日時点の181.5億ドルから減少している。トルコ中銀によるドル売り介入を反映していると思われる。

【ウクライナ紛争解決へ近隣として奔走するトルコ】

トルコのチャブシオール外相は3月16日にモスクワを訪問してロシアのラブロフ外相と会談、停戦に向けたトルコ政府の外交努力姿勢を示した。トルコのエルドアン大統領は17日にプーチン大統領に電話し、プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談を実現させたい意向を示したが、ラブロフ外相は「プーチン大統領とゼレンスキー大統領の会談は具体的な合意が行われる場合にのみ開催される」と述べている。
ウクライナのクレバ外相はロシアとの停戦についてはウクライナに安全保障を提供する国にトルコが含まれるべきとした。

ウクライナ紛争ぼっ発からトルコは活発に動いている。歴史的にもクリミア戦争でのロシアとの対立、NATO加盟国でありながらロシア製ミサイルシステムを導入しており、シリア紛争やリビア紛争ではトルコとロシアは対立した側面支援で敵対してきた。今回のロシア制裁には参加せずに外交通商のチャンネルを確保しつつ、周辺の地政学的リスクの増大に対処するためにこれまで敵対的だったイスラエルやギリシャとの首脳会談を実現したり、ナゴルノカラバク紛争でアゼルバイジャンを支援して敵対的な関係となっていたアルメニアとの国交樹立の動きも見せている。
トルコはウクライナとロシアに対する通商依存度も大きいが、ウクライナとの貿易は主にトラック輸送、ロシアとは海運が中心となっており、戦場拡大の影響で大規模な輸送遅延が発生しておりトルコ国内の物資不足への影響も懸念が強まっているため、実経済にとっても紛争解決がきわめて重要になっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月11日夜に強気転換目安とした7.87円を超えて14日に8円到達まで続伸したために3月10日夜安値を直近のサイクルボトムした強気サイクル入りとしてきたが、3月17日早朝へと一段高したために3月16日夕刻安値を起点として既に新たな強気サイクル入りしているとして高値形成期を18日夜から22日夜にかけての間へと延長した。また8.07円割れを弱気転換注意とし、16日夕安値を割り込むところからは弱気サイクル入りとした。
3月17日夜の反落で16日夕安値に並ぶとところまで下げたため、17日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日午後から23日夕にかけての間への下落を想定する。3月17日朝高値を超えないうちは一段安余地ありとし、強気サイクル入りは17日朝高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では、3月17日夜の下落で遅行スパンが悪化しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落は回避しているものの先行スパン転落からは下げ足が早まる可能性があると注意する。強気転換は17日朝高値超えからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月17日夜に30ポイント台序盤へ低下したところから50ポイント到達まで戻している。55ポイントを超えてくる場合は上昇再開の可能性を優先して60ポイント台後半を目指す上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指すと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.01円を下値支持線、8.10円を上値抵抗線とする。
(2)8.10円以下での推移中は一段安警戒とし、8.01円割れからは7.90円台中盤(7.97円から7.93円)への下落を想定する。7.95円以下は反発注意とするが、8.01円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かう流れと考える。
(3)8.10円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが8.10円超えから続伸の場合は8.15円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

3月21日
 17:00 2月 観光客数 前年同月比 (1月 151.4%)
 23:30 2月 中央政府債務 (1月 284.4億リラ)
3月23日
 16:00 3月 消費者信頼感指数 (2月 71.2)



注:ポイント要約は編集部

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