ドル円見通し 米FOMC通過で119円到達後は上昇一服(22/3/18)

18日未明には118.35円まで下落、18日午前序盤も118円台中盤にとどまっている。

ドル円見通し 米FOMC通過で119円到達後は上昇一服(22/3/18)

ドル円見通し 米FOMC通過で119円到達後は上昇一服

〇ドル円、3/18未明118.35まで下落、その後も118円台中盤にとどまる
〇イベント通過による買い一巡で上値重い、週末は騰勢継続かいったん調整安を入れるのか探る展開か
〇ロシアは3/17期日のドル建て国債の利払い実施、デフォルトはひとまず回避されたが今後も要警戒
〇米10年債利回りは上昇一服で高止まり、NYダウは4連騰、ナスダックは3連騰
〇本日、日銀金融政策発表、黒田総裁の会見予定される
〇118.60以下での推移中は下向きとし、118.35割れからは118.00、次いで117.69を試すとみる
〇118.60超えからは上向きとして119.12試しとし、高値更新からは119円台中盤を目指す流れとみる

【概況】

ドル円は3月17日未明に米連銀が0.25%の利上げを決定して年内7回(あと6回)の利上げ想定を発表したところで119.12円へ急伸、トランプ・ラリーで付けた2016年12月15日高値118.65円を超えて2016年2月以来となる119円台に到達したが、その後はイベント通過による買い一巡で上値が重くなり、18日未明には118.35円まで下落、18日午前序盤も118円台中盤にとどまっている。
米長期債利回りは上昇一服だが高止まりで先高感を継続、米経済指標は概ね良好、ウクライナ情勢では停戦合意への期待がやや強まっていたものの不調に終わるとの見方も再燃して不透明なまま、ロシア制裁によるロシアのデフォルトはひとまず回避されたことでダウが上昇したがいずれも決め手に欠いた。
週末は今後の主要国の金融引き締め状況に対する日銀のスタンス、ロシア情勢の成り行きを見ながら3月5日以降の騰勢継続か、いったん調整安を入れるのかを探る展開と思われる。

【ロシアのデフォルトはひとまず回避】

ロシア財務省は3月17日に期日を迎えたドル建て国債の利払いを実施したと発表。米メディアも利払いを確認した。ロシア制裁によりロシア中銀の欧米資産が凍結され、金融機関がSWIFTから締め出されたことで利払い不能に陥る可能性があったが、凡そ1億1700万ドル相当の利払いは米JPモルガン・チェースと米シティグループを経由して実施されたという。制裁発動前に発行されたロシア債の利払いについては5月25日まで受払が可能とされているが、それ以降については実施できなくなる公算。あくまでも制裁によるデフォルト発生リスクでありロシアが財政的に破綻してのデフォルトではないが、今後もデフォルト発生からの金融市場全般への影響が出てくる可能性は警戒される。
ロシアは今月中に凡そ6億ドル、4月4日には20億ドル、5月末までに20億ドルなどの利払い予定がある。

【米経済指標は概ね良好】

3月17日に発表されたフィラデルフィア連銀の3月製造業景況指数は27.4となり2月の16.0から改善、市場予想の15.0を上回った。
米連銀による2月の鉱工業生産指数は前月比0.5%上昇となり1月の1.4%からは伸びが鈍化したが市場予想と一致して2か月連続でプラスだった。設備稼働率は77.6%で市場予想の77.8%をわずかに割り込んだが1月の77.3%から改善した。
米商務省による2月の住宅着工件数は年換算で前月比6.8%増の176万9000戸となり1月の165.7万戸を超えて2か月振りのプラスで市場予想の169万戸を大幅に上回った。先行指標である住宅着工許可件数は前月比1.9%減の185万9000戸となり1月の189.5万戸を下回ったものの市場予想の185万戸を上回った。
米労働省による新規失業保険申請件数は3月12日までの週間で前週比1万5000件減少の21万4000件となり市場予想の22万件を下回る改善となった。失業保険受給者総数は3月5日までの週間で141万9000人となり前週から7万1000人の減少で市場予想の148万5000人も下回った。

【米10年債利回りは上昇一服だが高止まり】

3月17日の米10年債利回りは前日比0.01%低下の2.18%となった。17日未明のFOMCによる利上げ決定から2.24%へ上昇し、その後はイベント通過で上昇一服となったが依然として高止まりとなっている。30年債利回りは前日比0.01%低下の2.47%、2年債利回りもFOMC後に2.00%まで急伸した後は上昇一服だが、前日比0.01%低下の1.93%で高止まりしている。
一方でNYダウは前日比417.66ドル高と上昇、15日の599.10ドル高、16日の518.76ドル高に続く連騰であり、2月24日のロシア軍侵攻時に32272.64ドルまで下げて1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の安値を更新した後は下げ渋り、11日の小幅上昇を含めて4連騰となって持ち直しの気配だ。米連銀の利上げ開始やロシア情勢への不透明感はあるもののインフレを伴った米国の景気回復は続くと楽観を取り戻している印象だ。ナスダック総合指数も178.23ポイント高と上昇、15日の367.40ポイント高、16日の487.93ポイント高から3連騰目となった。

ドル円としては米長期債利回り上昇一服でやや売られているものの、今後のFOMC毎の利上げ継続見通しに対して日銀がマイナス金利を維持してゆくことの対比により短期的な調整を消化しながら高値追及を続けやすい状況と思われる。ダウの反騰もドル円にはプラスと思われる。ウクライナ情勢についても、かつてのような有事の円買いはさほど積極性が見られず、それよりも輸入インフレによる円売りという側面が目立つ状況であり、当面はドル円の上昇基調を阻害するには至らないと思われる。昼頃に日銀金融政策発表、午後に黒田総裁の会見がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、3月15日夕刻にいったん118円を割り込んでから切り返したために、3月14日夕安値を直近のサイクルボトムとした新たな強気サイクル入りとして18日午前から22日午前にかけての間への上昇を想定した。
現状は17日未明へ一段高してからは新たな高値更新へ進めずにいるため、17日未明高値で直近のサイクルトップを付けて調整安に入っている印象であり、高値更新へ進めないうちは18日午後から22日夕刻にかけての間への下落余地ありとみるが、高値更新からは新たな強気サイクル入りとして22日未明から24日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月17日未明高値からのジリ安で遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパン転落からは下げ足がやや早まる可能性もあると注意するが、遅行スパンが再び好転するところからは上昇再開とみて高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は3月15日から17日未明にかけての一段高に際して指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生して50ポイントを割り込んできた。50ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安余地ありとして30ポイント割れを試すとみるが、60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント台中盤を目指す上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、118.35円を下値支持線、119.12円を上値抵抗線とする。
(2)118.60円以下での推移中は下向きとし、118.35円割れからは118.00円、次いで3月15日安値117.69円を試すとみる。117.75円以下は反騰注意とするが、118.35円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)118.60円超えからは上向きとして119.12円試しとし、高値更新からは119円台中盤(119.30円から119.70円)を目指す流れとみる。119.12円を超える場合は来週前半も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3/18(金)
日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
13:30 (日) 1月 第三次産業活動指数 前月比 (12月 0.4%、予想 -1.0%)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、定例記者会見
19:00 (欧) 1月 貿易収支・季調済 (12月 -97億ユーロ、予想 -90億ユーロ)
19:00 (欧) 1月 貿易収支・季調前 (12月 -46億ユーロ)
19:30 (露) ロシア中銀、政策金利発表
23:00 (米) 2月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (1月 650万件、予想 610万件)
23:00 (米) 2月 中古住宅販売件数・前月比 (1月 6.7%、予想 -6.1%)
23:00 (米) 2月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (1月 -0.3%、予想 0.3%)
26:20 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) ボウマン連銀理事、講演
27:00 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、討論会参加


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る