米金融政策に注目のなかドル高基調は継続か(週報3月第2週)

先週のドル/円相場は、ドルが一段高。年初来高値を大幅に更新、2017年1月以来の高値圏へと達し、そのままのレベルを維持したまま越週している。

米金融政策に注目のなかドル高基調は継続か(週報3月第2週)

米金融政策に注目のなかドル高基調は継続か

〇先週のドル円、週末に高値117.35まで値を上げ2017年1月以来の高値圏へ
〇円は全面安商状、豪ドル円、NZドル円、カナダ円、ランド円などで年初来高値更新
〇中期的な上値メドは118.66(2016年12月高値)、ドルの続伸に要注意
〇今週15-16日に開催の米FOMCに注目、利上げ「0.25%」予想がやや優勢
〇今週のドル/円予想レンジは、116.20-118.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが一段高。年初来高値を大幅に更新、2017年1月以来の高値圏へと達し、そのままのレベルを維持したまま越週している。

前週末、3回目のウクライナ停戦交渉が「週明け7日にも行われる見込み」と報じられ話題に。また中国の国会に当たる全人代が開幕し、22年の国防費が驚異の「7.1%増、2294億ドルへと増額」されることが明らかになった。
そうした状況下、ドル/円は114.85-90円で寄り付いたのち、週間安値の114.77円を示現。しかし、そののちは緩やかな右肩上がりで、週末には高値117.35円まで一時値を上げている。また、高値を付けたのちもドルは底堅く、週末NYは117.20-30円のドル高値圏で取引を終え、越週していた。
なお、先週はドル/円以外、いわゆるクロスも軒並み上値を試す展開で、円は全面安商状。実際、豪ドル/円やNZドル/円、カナダ/円、ランド/円などが先週に年初来高値を更新する局面も観測されている。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「ウクライナ情勢」と「中国情勢」について。
前者は、予定通り週明け7日に「3回目のウクライナ停戦交渉」が行われたものの、さしたる実りのないまま協議は終了。逆にウクライナ各地で戦火に関する報道などが連日取り沙汰され、なかでもロシア軍による原発ならびに、病院への砲撃が物議を醸しただけでなく、世界各国からの非難を呼んでいたようだ。それもあり、欧米諸国を中心としたさらなる対露制裁措置も続々発表されている。なお、ウクライナをめぐる、いわゆる地政学リスクももちろん要注意ながら、原油価格の上昇や穀物不足への懸念、さらにはインフレリスクの高まりなど、世界経済に与える数々の悪影響も別途取り沙汰され始めていた。

対して後者は、北京パラリンピックが開幕されるなか、同時並行的に国会に相当する「全人代」も開催されていた。平和の祭典開催中とあって表立っての動きは例年より乏しかったが、それでも李首相から「台湾情勢で外国からの干渉には断固反対」との発言が聞かれるなど、基本的なスタンスを継続する旨は宣言されていたようだ。そうしたなか、ウクライナ情勢に対し、これまではロシアへの肩入れが目に付いていたものの、週末にかけては李首相が記者会見で「ウクライナ情勢を大変憂慮している」としたうえで、「国際社会とともに平和を取り戻すため、積極的な役割を果たしていきたい」とコメントするなど、国際世論に迎合するような姿勢へと変化しつつある。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は、過去3週間程度推移していたレンジの上限115.80円を上抜けただけでなく、年初来高値116.35円も突破するなどドル一段高。さすがにドルは買われ過ぎの域に入ってきたものの、リスクは間違いなくドル高方向か。当初は116.35円を抜けたことを受けた中期的な上値メドとして118.66円(2016年12月高値)が取り沙汰されていたが、その騰勢の強さから、意外に到達は早いといった声も聞かれていた。いずれにしても、ドルの続伸には今週もまずは要注意だ。

材料的には、今週15-16日に開催される米FOMCへの関心が極めて高い。ただ問題は利上げ幅で、取り敢えずは「0.25%」との予想がやや優勢ながら、インフレ抑制目的で「0.5%」の利上げを見込む向きも決して少なくない。そうしたなか引き続き波乱要因として懸念されているものがウクライナ情勢。3度にわたる停戦協議もすべて合意に至らず、依然として地政学リスクも懸念されている。とくに、チェルノブイリなど原発をめぐる動きには注意を払いたい。また、前記したようにウクライナ危機に端を発した原油価格の上昇や、穀物不足への懸念なども場合によっては市場の波乱要因に。

テクニカルに見た場合、今年に入ってからのドル/円は2.0-2.5円ほどの上昇で「第一波」が終了。そののち調整的な下押しを経て「上昇第二波」が到来するという展開となっている。翻り、足もとはというとドル高の起点は2月24日の114.40円であり、それからするとすでに上昇幅は3円近い。つまり、基本的な方向性はドル高。118円台方向への動きが予想されるものの、短期的には逆に調整が先行する動きにも一応注意しておきたいところだ。仮に下がるとすれば、たとえ調整であっても1円程度の下押しが入る公算が大きい。

材料的に見た場合、中長期的には、目に見える格好での対ロシア政策への変化が期待されている「中国情勢」、G7などで議論されるも有効な手段はなかなか見出されていない「エネルギー・穀物相場への懸念」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
そうしたなか今週は、3月のNY連銀製造業景況指数や2月の小売売上高といった米経済指標が発表されるものの、なんといっても16日に結果が発表される米FOMCとパウエルFRB議長の記者会見に要注意だ。ちなみに、利上げ幅は0.25%であっても0.5%であっても、発表される前後の市場は荒っぽい変動をたどる可能性もある。

そんな今週のドル/円予想レンジは、116.20-118.50円。ドル高・円安については先週高値117.35円をめぐる攻防にまずは注目。抜ければ117円台にそれほど強い抵抗がないことで118円台回復が意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗だったかつての年初来高値116.35円レベルはなかなか強いサポートか。下回れば116円割れで、本格調整も否定できない。

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ドル円日足

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