約4ヵ月半ぶり高値圏へ急伸するも続伸余地は限定的か
〇今週の南ア円、週明け早々週間安値7.44まで下落後、週末にかけて、週間高値7.80まで急伸
〇4QGDPの良好な結果、資源価格の堅調推移等がサポート
〇テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状
〇但し、ファンダメンタルズは米タカ派傾斜観測、南ア経済の不透明感等が重石
〇南ア円相場の更なる上昇は想定しづらく、来週は一巡後の反落リスクに注意が必要
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.90
今週のレビュー(3/7−3/11)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.45円で寄り付いた後、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりを背景に、週明け早々に、週間安値7.44円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、A南ア第4四半期GDP(結果+1.2%、前回▲1.7%)の良好な結果(プラス圏へ浮上)や、B南アフリカの主要産品である金やプラチナ、パラジウムなどの資源価格の堅調推移、C南ア1月製造業生産(結果+1.9%、予想+0.9%)の良好な結果、D南ア中銀の追加利上げ観測、Eテクニカル的な地合いの強さ(これまでレジスタンスとして意識されていた7.70円前後のレジスタンスを上方ブレイク)、F本邦貿易赤字拡大に伴う円売り圧力(ドル円急上昇→南アランド円連れ高)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.80円(約4ヵ月半ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/12午前6時00分現在)では7.79円前後で推移しております。
来週の見通し(3/14−3/18)
南アランド円相場は3/2に記録した直近安値7.39円をボトムに反発に転じると、週末にかけて、昨年10/22以来、約4ヵ月半ぶり高値となる7.80円まで急伸しました。この間、200日移動平均線や21日移動平均線、一目均衡表転換線や基準線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や直近高値の上方ブレイクも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となっております。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(有事のドル買い→新興国から米国への資金流出圧力)や、A米FRBによるタカ派傾斜観測(米長期金利上昇→新興国から米国への資金流出圧力)、B南アフリカ経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる「計画停電の規模を従来の2倍にする」とのネガティブ発言。南アフリカで燻るスタグフレーション懸念も南ア経済の下押し要因)、C上記Bを背景とした南ア中銀の追加利上げ観測の後退(景気に配慮する形で慎重スタンスに転じる恐れ)、D過去最大規模の失業率を背景とした南アフリカ国内の政情不安など、南アフリカランド円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえると、南アランド円相場の更なる上昇は想定しづらく、来週は一巡後の反落リスクに注意が必要でしょう。尚、来週は3/16に発表される南ア1月小売売上高や、3/17の南ア1ー3月期BER消費者信頼感指数など、南アフリカの重要イベントが複数予定されているものの、市場の関心は、ロシア・ウクライナを巡るヘッドラインや、米金融政策動向(3/15ー16の米FOMCおよびパウエル議長記者会見)、商品価格や米株・米債市場の動向に集まりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.60ー7.90
南アフリカランド円日足
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