トルコリラ週報:『年初来安値を更新し、約2か月半ぶり安値圏へ。続落リスクに警戒』(3/12朝)

トルコリラの対円相場は心理的節目8.00円を下抜けすると、週後半にかけて、約2ヵ月半ぶり安値となる7.76円まで急落しました。

トルコリラ週報:『年初来安値を更新し、約2か月半ぶり安値圏へ。続落リスクに警戒』(3/12朝)

『年初来安値を更新し、約2か月半ぶり安値圏へ。続落リスクに警戒』

〇今週のトルコ円、週明け早々に週間高値8.15まで上昇後、週後半にかけて、7.76まで急落
〇ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念、トルコでの露烏外相会談不調が背景
〇主要テクニカルポイントを下抜け、三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、バンドウォークも全て成立
〇ファンダメンタルズもトルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料増えつつある
〇トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):7.50ー8.10

今週のレビュー(3/7−3/11)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.11円で寄り付いた後、早々に週間高値8.15円まで上昇しました。しかし、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念や、A上記@を背景としたトルコの主要輸出産品である青果物価格の急反落(ロシア・ウクライナ向け輸出が滞ったことで供給過剰状態に)、Bトルコの経常赤字拡大リスク(欧州向け輸出の急減少)、Cトルコ南部アンタルヤで開かれたロシア・ウクライナ・トルコ3者外相会談の冴えない結果(停戦合意が期待されたが進展なし)、Dテクニカル的な地合いの弱さ(心理的節目8.00円を下方ブレイク→短期筋の見切り売り)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.76円(昨年12/20以来、約2か月半ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/12午前6時00分現在)では7.93円前後で推移しております。

来週の見通し(3/14−3/18)

トルコリラの対円相場は心理的節目8.00円を下抜けすると、週後半にかけて、約2ヵ月半ぶり安値となる7.76円まで急落しました(通貨防衛を目的にエルドアン大統領が昨年12/20に発表したリラ建て預金を外貨換算の価値で保証する新たな預金保護策開始以来の安値圏)。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドといった主要テクニカルポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも全て成立するなど、テクニカル的に見て地合いは極めて弱いと判断できます。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(市場心理悪化→新興国通貨売り)や、Aトルコ経済の先行き不透明感(トルコはウクライナ・ロシア両国と親密な関係にあり。ロシア・ウクライナに対する輸出の減少や、ロシア・ウクライナからの観光客数激減見通しがトルコ経済の下押し懸念)、Bトルコ国内のインフレ昂進リスク(エネルギー価格高騰→インフレ加速→トルコリラの実質金利急低下)、Cトルコ中銀による追加利下げ圧力(エルドアン大統領はインフレを利下げで退治するといった独自理論を展開している為、トルコ国内のインフレ昂進は追加利下げ観測を高める要因)、Dトルコ中銀の漸弱な外貨準備(介入余力の乏しさ)、

E経常赤字の拡大懸念(通貨安やエネルギー価格高騰に伴う輸入増と欧州やロシア・ウクライナ向け輸出減少に伴う輸出減で貿易赤字急拡大)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします(約2ヵ月半に亘って継続した8.00ー8.70円レンジを下方ブレイクしたことで、均衡状態が崩れており、来週はもう一段下げ幅を広げる恐れあり。尚、来週は3/17にトルコ中銀の金融政策決定会合が予定されていますが、政策金利の据え置きが見込まれているため、トルコリラ円相場に与える影響は限定的となりそうです)。

来週の予想レンジ(TRYJPY):7.50ー8.10

注:ポイント要約は編集部

『年初来安値を更新し、約2か月半ぶり安値圏へ。続落リスクに警戒』

トルコ円日足

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