トルコリラ円見通し 原油急落でオイルショック懸念和らぐもリラ安継続で8円割れ続く(22/3/10)

トルコリラ円の3月9日は7.99円から7.88円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.89円で前日終値7.97円からは0.08円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し 原油急落でオイルショック懸念和らぐもリラ安継続で8円割れ続く(22/3/10)

原油急落でオイルショック懸念和らぐもリラ安継続で8円割れ続く

〇トルコリラ円、10日早朝終値7.89で前日から0.08円の円高リラ安
〇対ドルでは9日深夜に14.68をつけ2/28以降の安値更新、終値ベースでの続落7日目に
〇エネルギー危機は根底的な解決見通せず、高インフレ続くとみられリラ売り継続か
〇11日からアンタルヤで開催の外交フォーラムにロシア・ウクライナ両外相を招き会談の場を提供
〇7.95以下での推移中は一段安警戒、7.88割れからは7.80台中盤を試す流れとみる
〇7.93から7.95手前にかけては戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の3月9日は7.99円から7.88円の取引レンジ、10日早朝の終値は7.89円で前日終値7.97円からは0.08円の円高リラ安となった。
高騰していた原油相場が急落に転じ、国際商品が全面安となったことで第三次オイルショックへの懸念がやや緩み、ウクライナ戦争とロシア制裁によりこれまで大幅下落していた欧米株が大幅高へと切り返し、株買い債券売りと基底のインフレ進行感から米長期債利回りが3連騰の上昇となる中、ドル円は116円に迫るところまで上昇した。為替市場はユーロやポンドが戻し、南アランドやメキシコペソ等が上昇したものの、トルコリラは対ドルでの下落基調を継続したためにトルコリラ円も一時的な上昇で8円に迫る場面が見られたが早々に売られた。
3月10日午前は7.90円を挟んで揉み合いとなっているが、ベンダーによっては7.80円台序盤への下落もみられる。

【ドル/トルコリラ動向 3月1日から7日間の続落、米長期債利回りと新興国通貨安に押される】

ドル/トルコリラの3月10日は14.68リラから14.40リラの取引レンジ、10日早朝の終値は14.63リラで前日終値の14.47リラからは0.16リラのドル高リラ安となった。
2月24日に14.63リラへ急落して1月10日以降の13リラ台での持ち合いから一時的に転落したところからはいったん戻したものの、3月1日から8日まで6日間の続落となり、9日は原油相場が急落したことでオイルショック懸念がやや緩んで欧米株が大幅反騰しリスク選好感の回復も見られたが、株買い債券売りにより米長期債利回りが3連騰の上昇となり2年債利回りがパンデミック発生以降の最高値を更新したことに圧迫されて対ドルでのトルコリラは9日深夜に14.68リラをつけて2月28日以降の安値を更新、終値ベースでの続落が7日目となった。
このところのリラ安についてはトルコ中銀による市場介入でのリラ防衛効果が薄れていること、ウクライナ情勢がすでに通商と財政面を圧迫していることを反映しているのではないかとの見方もある。

【原油は大上昇一服で急落型調整、先行き不透明感は続く】

3月9日は急騰していたNY原油が一時は前日比16%安まで急落した。3月7日に欧米がロシア産原油禁輸検討と報じられたことで3月7日に130.50ドルまで急騰したが、その後は高値更新へ進めず、8日夜に米国が即時の禁輸を発表したもののロシアへの依存度が高いEUはロシア産輸入依存度をゼロにする目標を2030年とし、依存度の低い英国も2022年末までに依存度をゼロとする方針としたことで、EUによる即時禁輸からのエネルギー市場パニックの発生はひとまず回避されると市場は受け止めた。また9日にはUAEやイラクが増産を表明したことも不安をやや和らげた。3月に入ってからの過剰反応的な上昇には急ブレーキがかかった印象で、原油高に同調していた小麦等の穀物、植物油、非鉄金属、有事の安全資産として買われていた金が急落し、その反面で欧米株が急反騰する展開だった。

トルコとしてはロシアとウクライナに対してエネルギーと小麦や植物油の依存度が高いことと、ウクライナ戦争が勃発する前から高インフレが収まらない状況にあったために3月からの国際商品高騰が大きなリラ売り圧力となっていたわけで、国際商品の反落はリラ売り圧力を緩めるものとなってもよいところだが、エネルギー危機状況が根底的に解決する見通しとなったわけではなく、高インフレは続くとみられてリラ売りも継続と市場は判断しているようだ。
3月9日にはチェルノブイリ原発(事故以来稼働は長期停止)の冷却電源供給停止報道があったが、ロシアによるウクライナの原発制圧は事故リスクも抱えており、近隣としてのトルコには大きな懸念となっている。

【外交プレゼンスの向上機会】

3月9日にロシア外務省はラブロフ外相がウクライナのクレバ外相と10日に協議するために9日にトルコに向かうと発表した。トルコのチャウシュオール外相が3月7日にロシアとウクライナの外相を招いて三者会談を行うと発表していたが、3月11日から地中海沿岸のアンタルヤで開催する外交フォーラムに両外相を招いて会談の場を提供するとしている。
3月9日にはイスラエルのヘルツォグ大統領が15年ぶりにトルコを訪問してエルドアン大統領と会談したが、地政学的リスクが高まる中で両国の関係改善を探りつつウクライナ問題での仲介に尽力したいという両国の姿勢が見られる。トルコとしては米軍及びNATO諸国との関係改善も期待したいところだが、ロシアとの関係も継続が外交バランス的に必要であり難しいかじ取りとなる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月3日昼高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日夜から9日深夜にかけての間への下落を想定してきたが、8日深夜安値からいったん8円到達まで戻したために9日午前時点では8日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは9日の日中から10日午後にかけての間への上昇余地ありとしたが、既に9日早朝高値でサイクルトップを付けた可能性があるとし、7.92円割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
9日夜に7.92円割れから続落して8日深夜安値も割り込んだため、現状は9日早朝高値を直近のサイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしたところと思われる。ボトム形成期は11日夜から15日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとし、強気転換には7.95円を超えて9日早朝高値に迫るような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、3月1日夜の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンの悪化も続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは先行スパンの下限を試す上昇を想定するが、強気転換には先行スパンを上抜く必要があるため、先行スパンを上き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は3月4日夜から9日夜へと安値の切り下がりが続いている中で指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せているものの、50ポイント前後を壁として強気転換しきれずに安値更新を繰り返す展開となっている。このため50ポイントを超えてさらに続伸するような上昇へ進めないうちはもう一段安余地ありとし、30ポイント割れからは下げが勢い付く可能性もあると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.88円を下値支持線、7.95円を上値抵抗線とする。
(2)7.95円以下での推移中は一段安警戒とし、7.88円割れからは7.80円台中盤(7.87円から7.83円)を試す流れとみる。7.85円以下は反騰注意とするが、7.92円以下での推移が続く場合は11日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)7.93円から7.95円手前にかけては戻り売りにつかまりやすいとみてその後に7.90円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/4時点 (2/26時点 702.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/4時点 (2/26時点 181.9億ドル)
3月11日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 14.4%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -2.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 15.5%)
 16:00 1月 経常収支 (12月 -38.41億ドル)
3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 +300億リラ)
3月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現状 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点

注:ポイント要約は編集部

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