トルコリラ円見通し ウクライナ情勢・原油高騰による圧迫続き7日続落、終値で8円を割る(22/3/9)

トルコリラ円の3月8日は8.00円から7.92円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.97円で前日終値の8.01円からは0.04円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢・原油高騰による圧迫続き7日続落、終値で8円を割る(22/3/9)

ウクライナ情勢・原油高騰による圧迫続き7日続落、終値で8円を割る

〇トルコリラ円、8日深夜安値7.92、ウクライナ情勢悪化と原油価格高騰で7日続落
〇対ドル14.26へ下落、地政学的リスク・インフレリスクともにリラ売られやすい状況
〇原油価格のみならず国際商品全般の上昇、トルコ経済への打撃となる可能性懸念
〇8.00以下での推移中は一段安警戒とし、7.95割れからは8日深夜安値7.92試しとする
〇8.00を上抜くところからは、8.03から8.05にかけてのゾーンを試すとみる


【概況】

トルコリラ円の3月8日は8.00円から7.92円の取引レンジ、9日早朝の終値は7.97円で前日終値の8.01円からは0.04円の円高リラ安となった。
ウクライナ情勢の深刻化を背景に近隣での地政学的リスクの上昇感からドル高リラ安が続いており、2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始したところでは7.78円へ急落して1月3日以降の8円台での持ち合いから一時的に転落した。24日の当日に8円台を回復し、2月25日と28日には8.40円まで持ち直したものの、その後はウクライナ情勢の悪化と原油価格高騰によるインフレ圧力から下落基調に入り、2月28日から7日までは6日間の続落となっていた。
3月8日は米国がロシア産原油の禁輸を決定、英国も年内にロシア産原油輸入を停止するとし、EUも2030年までにロシア産依存から脱却すると発表したことで原油価格の高騰が継続、米長期債利回りもインフレ圧力から大幅連騰となったことでトルコリラは対ドルで下落、ドル円が上昇したものの支えにならず、8日深夜安値で7.92円(ベンダーによっては7.89円等の安値提示もみられた)へと安値を切り下げ、終値も8円を割り込んで7日目の続落となった。

【ドル/トルコリラ動向 3月1日から6日間の続落、米長期債利回りと原油の上昇に押される】

ドル/トルコリラの3月8日は14.60リラから14.26リラの取引レンジ、9日早朝の終値は14.47リラで前日終値の14.36リラからは0.11リラのドル高リラ安となった。
2月24日にロシア軍がウクライナ侵攻を開始したところで14.63リラへ急落して1月10日以降の13リラ台での持ち合いから一時転落し、いったんは戻したものの3月1日から7日まで5日間の続落となったが、8日も米国などのロシア産原油禁輸方針発表による情勢悪化懸念から14.26リラへと下落、続落も6日目となった。
終値ベースでは3月2日に12月23日以降の安値更新に入ったが、8日も5日連続で終値ベースの安値更新となった。

地政学的リスクが最も影響しているユーロドルは7日夜安値の後は大幅下落後の下げ渋りに入っているが、ポンドドルは8日も安値を更新、原油高を反映して資源通貨としてユーロ安に逆行して買われてきた豪ドル米ドルも7日午前高値からは下落に転じている。ドルの強弱はまちまちなところもあるものの、地政学的リスク及び資源エネルギー価格高騰による影響を受けやすい通貨は売られており、通商外交関係でも密接である隣国での戦争勃発という状況にあり、資源エネルギー輸入国としてウクライナ情勢の勃発前に高インフレに見舞われてきたトルコリラとしては地政学的リスクでもインフレリスクでも売られやすい状況と思われる。

【原油価格高騰は新たなオイルショック】

3月8日のNY原油期近は前日比4.30ドル高と上昇、3月4日の8.01ドル高、7日の3.72ドル高からの3日続伸となり、終値は123.70ドルまで切り上がった。先週末に欧米によるロシア原油禁輸検討と報じられたことで3月7日には一時130.50ドルまで急伸した後、欧州諸国が禁輸にはネガティブとされたことでいったんは落ち着いたものの、3月8日に米国が禁輸を決定した。
当面はEU諸国による禁輸は回避されるものの、先行きのロシア産からの脱却計画を示しており、欧州諸国は新たな原油と天然ガスの調達先を探し始めることになる。ロシア産に対してはアジアの依存度も大きいが、ロシア産を除いた原油や石油製品の調達合戦が市場の混乱をさらにヒートアップさせる可能性があることと、ロシアが経済制裁やウクライナへの武器・資金援助に対抗して欧州向けの天然ガス供給をストップさせて混乱を強いる可能性もある。

トルコはロシアへの経済制裁に加わっていないため、ロシアからの天然ガス供給がストップすることは今のところ可能性が低いが、原油価格のみならずLMEにおいてニッケル取引が相場の異常な暴騰により停止されるなど、国際商品全般の上昇が既に高インフレ下にあるトルコ経済への大きな打撃となる可能性があると懸念されるところだ。またウクライナとロシアが穀物と飼料の大輸出国であることから先行きの穀物・食糧価格高騰問題が発生することも懸念される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3日未明から7日夜にかけての間への上昇を想定していたが、3月3日午後の下落で弱気転換目安とした8.20円を割り込んでさらに続落したために3月4日午前時点からは3月3日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日夜から9日深夜にかけての間への下落を想定してきた。
8日深夜に7.92円へ一段安したところからいったん8円台に到達したので、8日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは9日の日中から10日午後にかけての間への上昇余地ありとするが、既に9日早朝高値でサイクルトップを付けた可能性があると注意し、7.95円割れを弱気転換注意、7.92円割れからは新たな弱気サイクル入りとして11日夜から15日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月1日夜の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンの悪化も続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは先行スパンへもぐりこむ上昇を想定するが、強気転換は先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は3月4日夜から7日夜及び8日深夜へと安値を更新する中で指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて9日早朝に50ポイント台へ戻した。このため40ポイント以上での推移中は60ポイント台を目指す上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、7.95円を下値支持線、8.00円を上値抵抗線とする。
(2)8.00円以下での推移中は一段安警戒とし、7.95円割れからは下げ再開の可能性を優先して8日深夜安値7.92円試しとし、底割れからは7.80円台中盤(7.87円から7.83円)を試す流れとみる。8.95円以下での推移が続く場合は10日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.00円を上抜くところからは8.03円から8.05円にかけてのゾーンを試すとみるが戻り売りにつかまりやすいとみてその後に7.95円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/4時点 (2/26時点 702.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/4時点 (2/26時点 181.9億ドル)
3月11日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 14.4%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -2.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 15.5%)
 16:00 1月 経常収支 (12月 -38.41億ドル)
3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 +300億リラ)
3月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現状 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点


注:ポイント要約は編集部

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