トルコリラ円見通し ウクライナ情勢による圧迫続き6日続落(22/3/8)

トルコリラ円の3月7日は8.09円から7.99円の取引レンジ、8日早朝の終値は8.02円で先週末終値の8.09円からは0.07円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢による圧迫続き6日続落(22/3/8)

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢による圧迫続き6日続落

〇トルコリラ円、3/7は8.09から7.99の取引レンジ、終値ベースでは6日間続落
〇ウクライナ情勢緊迫する中インフレ進行感が一段と悪化、トルコリラへの売り圧力が強まる状況
〇対ドルでは5日間続落、3/8早朝の終値は14.36、昨年12/23以降の終値ベースでの安値更新
〇3/10にトルコでウクライナ・ロシアとの三者外相会談、外相同士の会合は戦争開始以降初となる
〇8.05以下での推移中は一段安警戒とし、7.99割れからは7.95前後試しとする
〇8.05超えからはいったん戻しに入るとみて、8.10前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月7日は8.09円から7.99円の取引レンジ、8日早朝の終値は8.02円で先週末終値の8.09円からは0.07円の円高リラ安だった。ドル円は114円台中盤から115円台後半までのレンジで持ち合い型の往来が続いているが、対ドルでのリラ安が続いており、終値ベースでは2月16日からロシア軍のウクライナ侵攻が始まった2月24日まで7日間続落し、25日に下げ一服した後の2月28日から3月7日まで6日間の続落となっている。
3月7日もウクライナとロシアの停戦協議が行われたものの不調に終わり、欧米がロシア産原油の禁輸を検討と報じられたことから原油が一時1バレル130ドルまで急伸、ニッケルやアルミ、銅などが史上最高値を更新、穀物相場の高騰も続き、インフレ進行感が一段と悪化している中で、高インフレ率が政策金利を大幅に上回る実質マイナス金利状態にあるトルコリラへの売り圧力が強まる状況にある。
3月7日の安値では7.95円や7.87円等のレート提示のあるところも見られた。

【ドル/トルコリラ動向 3月1日から5日間の続落】

ドル/トルコリラの3月7日は14.42リラから13.98リラの取引レンジ、8日早朝の終値は14.36リラで先週末終値の14.18リラからは0.18リラのドル高リラ安となった。
2月24日にロシア軍がウクライナに本格侵攻したところで14.63リラへ急落して1月10日以降の13リラ台の持ち合いから下放れ、目先の売り一巡としていったん戻したものの、3月1日から7日まで5日間の続落だが、終値ベースでは2月24日の14.00リラを3月2日に割り込んでから続落しており、昨年12月23日以降の終値ベースでの安値更新となっている。

【3月10日にトルコでウクライナ・ロシアとの三者外相会談】

トルコのチャブシオール外相は3月7日の会見で3月10日にトルコ南部アンタルヤでロシアのラブロフ外相、ウクライナのクレバ外相と3者会談を行うと発表した。2月28日からロシアとウクライナの停戦協議が行われてきたが外相同士の会合は戦争開始以降で初となる。
NATO加盟国でありながらロシアとの密接な関係のあるトルコは現在のところ欧米によるロシア制裁には参加していない。ウクライナに対しては軍事ドローンを供給する一方、ロシアからは地対空ミサイルシステムの導入を行い欧米から非難されている。天然ガスについてもロシアとのパイプラインであるトルコストリームで供給を受けている。また黒海の海峡監視国として戦争当事国の軍艦渡航制限を宣言している。
この外相会談に期待を持ちたいところではあるが、3月7日夜に行われたロシアとウクライナの三度目の停戦協議は不調に終わり、3月7日に実施された市民避難のための人道回廊設置による時限的地域的な一時停戦についても両国の交戦が続いてうまく機能していない。

エルドアン大統領は3月6日にロシアのプーチン大統領と電話会談して即時停戦を要請したものの、プーチン大統領はマクロン大統領等との電話会談で繰り返しているようにウクライナが抵抗をやめてロシア側の要求を満たさない限りは作戦を遂行すると主張したとされる。
トルコにとってはウクライナ情勢の勃発以前から高インフレに見舞われてきた中でロシア制裁がさらにインフレを助長する要因になっていることに危機感を持っているだろうと思われる。高インフレ対策として付加価値税の大幅削減やリラ防衛のための預金保護政策をとっているが、燃料価格高騰が続くと大打撃となる。ロシアルーブルの暴落が1990年代後半の新興国通貨危機の再来へと発展する可能性も懸念され、脆弱なトルコリラもそれらに巻き込まれて最安値を試しにかかりかねない状況に置かれていると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月2日深夜安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとして3日未明から7日夜にかけての間への上昇を想定していたが、3月3日午後の下落で弱気転換目安とした8.20円を割り込んでさらに続落したために3月4日午前時点では3月3日昼高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日夜から9日深夜にかけての間への下落を想定した。
3月7日夜へ続落した後は下げ渋っているのでボトムを付けた可能性もあるところだが、8.05円を下回るうちはもう一段安余地ありとし、8.05円超えからは強気サイクル入りとして8日午後から10日午後にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月1日夜の下落で先行スパンから転落し、遅行スパンの悪化も続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは先行スパン帯の上下限を試す上昇を想定するが、強気転換は先行スパン突破からとし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。

60分足の相対力指数は3月4日夜から7日夜への一段安に際しては指数のボトムが切りあがる強気逆行型になっているため戻しやすいところにある。50ポイント超えからは60ポイントを目指す上昇を想定するが、60ポイント手前は戻り売りにつかまりやすいとし、30ポイント割れからはもう一段安へ進むとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
中勢としては2月28日以降の下落基調の継続とし短期サイクル的に反発するところは戻り売り有利な状況と考える。
(1)当初、7.99円を下値支持線、8.05円を上値抵抗線とする。
(2)8.05円以下での推移中は一段安警戒とし、7.99円割れからは7.95円前後試しとする。7.95円以下は反発注意とするが、下げ足が早まる場合は7.90円台序盤(7.92円から7.90円)へ下値目途を引き下げる。また8.05円以下での推移なら9日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.05円超えからはいったん戻しに入るとみて8.10円前後への上昇を想定する。8.10円前後は反落注意とし、その後に8.05円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/4時点 (2/26時点 702.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/4時点 (2/26時点 181.9億ドル)
3月11日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 14.4%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -2.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 15.5%)
 16:00 1月 経常収支 (12月 -38.41億ドル)
3月15日
 17:00 2月 財政収支 (1月 +300億リラ)
3月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現状 14.00%、予想 14.00%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/11時点


注:ポイント要約は編集部

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