3月2日深夜から戻すもウクライナ情勢の圧迫感続く、今夕に消費者物価発表
〇トルコリラ円、2日は8.30から8.16の取引レンジ、3日早朝終値は前日から0.02円の円高リラ安
〇2/26未明と28日夜のダブルトップ型形成後は戻り高値切り下がり基調での推移
〇対ドルでは3日早朝終値14.00で前日終値13.91から0.09のドル高リラ安に
〇トルコは黒海を挟み地政学的なリスクに直面、ウクライナ情勢の深刻化はリラのプレッシャーに
〇3日に2月物価上昇率発表、消費者生産者ともに前年同月比では上昇基調が続くと予想される
〇物価統計等をきっかけに勢い付く場合は8.33から8.35前後へ上値目途引き上げ
〇8.20割れからは2日深夜安値8.16試し、底割れからは8.10前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の3月2日は8.30円から8.16円の取引レンジ、3日早朝の終値は8.23円で前日終値の8.25円からは0.02円の円高リラ安となった。
ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日に安値で7.84円へ急落して1月3日以降続いてきた8円台での持ち合いからいったん下放れたが、当面の売り一巡として買い戻されて2月26日未明には8.40円まで戻した。しかしその後は戻り高値切り上げへ進めずに2月28日夜高値も8.40円にとどまり3月1日、2日とジリ安の推移となった。
3月2日深夜にかけてはドル円が上昇したものの対ドルでのリラ安から8.16円まで下落、その後はドル高リラ安が緩んだことで8.20円台中盤まで持ち直した。2月26日未明と28日夜のダブルトップ型形成後は戻り高値切り下がり基調での推移となっている。
【ドル/トルコリラ動向 ウクライナ情勢による圧迫感続く】
ドル/トルコリラの3月2日は14.13リラから13.80リラの取引レンジ、3日早朝の終値は14.00リラで前日終値の13.91リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢による有事リスクからユーロドルが昨年1月高値以降の最安値を更新したが、その一方では豪ドル米ドルが1月後半からの上昇基調を継続するなど、地政学的な距離感から強弱感が分かれている。ロシア制裁が強化されれば天然ガス等によるロシアへの通商面での依存度が大きいユーロは売られやすく、逆に原油高騰等による資源通貨買いの側面から豪ドルが買われているという印象だが、トルコは黒海を挟んで地政学的なリスクに直面するところでもあり、穀物や天然ガス、観光客等でのロシア及びウクライナとの関係も深いため、情勢の深刻化はトルコリラにとっても大きなプレッシャーとなっている。
【トルコ物価上昇率に注目】
3月3日16時にトルコの2月物価上昇率の発表がある。
消費者物価の前月比については1月の11.1%上昇から2月は3.80%上昇への鈍化が予想されているものの、前年同月比では1月の48.69%から2月は52.95%へと伸びが加速すると見込まれている。生産者物価も前年同月比では1月の93.53%から95%超へと上昇基調が続くと予想されている。
エルドアン大統領は利下げが高インフレを抑制するとの持論を主張してトルコ中銀に昨年9月から12月までの4会合連続の利下げを強要してきた。しかし世界規模のインフレが進行する中での利下げは市場に受け入れられずにリラの暴落を招いたため1月と2月は追加利下げを見送って現状維持としてきた。
インフレが落ち着けば追加利下げを再開したいところではあろうが、ウクライナ情勢により原油価格が高騰、穀物や植物油等の価格高騰も続いている。NY原油は2月28日に前日比4.13ドル高、3月1日に7.69ドル高、2日も7.19ドル高と急伸しており3月2日高値では112.51ドルを付けている。シカゴコーン、大豆油、小麦等も昨年来の最高値を更新している。こうした環境にあってはトルコのインフレ高進も収まらないため、当面は追加利下げが見送られると思われる。利下げ回避という側面ではリラの下値を支えるとしても、米連銀の利上げ開始も迫る状況にあってはインフレと地政学的リスクに圧迫されるトルコリラへの売り圧力が徐々に高まりやすいところと思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日未明と2月28日夜の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして3月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定してきたが、3月2日深夜へ続落したところから8.25円まで戻したため、現状は3月2日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたところと思われる。高値形成期は3月3日未明から7日夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるため、8.20円以上での推移中は上昇余地ありとするが、8.20円割れからは弱気サイクル入りと仮定して7日夜から9日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、3月1日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、その後も両スパンの悪化が続いているが、3月2日深夜安値からの反発で遅行スパンは好転しやすい位置に来ている。先行スパンを上抜き返す場合は上昇に勢いも付くとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返せないうちは戻りが続かずに一段安しやすい状況とし、2日深夜安値割れからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月2日夕刻から深夜への下落に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて60ポイントまで戻しているため、50ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、50ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を試す流れへ進みやすくなると考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.20円を下値支持線、8.30円を上値抵抗線とする。
(2)8.20円以上での推移中は上昇余地ありとみる。8.30円前後では戻り売りにつかまりやすいとみるが、物価統計等をきっかけに勢い付く場合は8.33円から8.35円前後にかけてのゾーンへ上値目途を引き上げる。また8.25円以上での推移なら4日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.20円割れからは3月2日深夜安値8.16円試しとし、底割れからは8.10円前後への下落を想定する。8.10円以下は反騰注意とするが、物価統計やウクライナ情勢等で勢い付く場合は8.00円台中盤(8.07円から8.03円)へ下値目途を引き下げる。
【当面の主な予定】
3月03日
16:00 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 11.1%、予想 3.80%)
16:00 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 48.69%、予想 52.95%)
16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (1月 6.9%)
16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 39.4%)
16:00 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 10.45%)
16:00 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 93.53%)
20:30 週次 外貨準備高 2/25時点 グロス (2/18 727.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2/25時点 ネット (2/18 198.0億ドル)
3月10日
16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
20:30 週次 外貨準備高 3/4時点
注:ポイント要約は編集部
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