トルコリラ円見通し トルコのインフレ収まらず、CPIは50%超えに(22/3/4)

トルコリラ円の3月3日は8.26円から8.15円の取引レンジ、4日早朝の終値は8.16円で前日終値の8.23円からは0.07円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し トルコのインフレ収まらず、CPIは50%超えに(22/3/4)

トルコリラ円見通し トルコのインフレ収まらず、CPIは50%超えに

〇トルコリラ円、3/3は8.26から8.15の取引レンジ、夕刻の2月消費者物価の発表を挟み下落
〇対ドル、消費者物価の発表を挟んで売られ14.15へ下落し2/28以降の安値更新、その後下落一服
〇昨日発表のトルコCPIは前年同月比50%超えで20年ぶりの高水準、PPIは前年比で100%を超える
〇8.20以下での推移中は一段安警戒とし、8.13割れからは8.10前後試しとする
〇8.20超えから続伸の場合は、8.25前後への上昇を想定する。

【概況】

トルコリラ円の3月3日は8.26円から8.15円の取引レンジ、4日早朝の終値は8.16円で前日終値の8.23円からは0.07円の円高リラ安となった。
ウクライナ情勢による地政学的リスクに圧迫される中、3月3日16時のトルコ2月消費者物価の発表を挟んで下落した。3月4日午前序盤にはウクライナの原発がロシア軍の攻撃で火災が発生したとの報道もありユーロドルが一段安するとともにドル円もリスク回避で売られたことに圧迫されて2月28日以降の安値を更新しつつある。

【ドル/トルコリラ動向 ウクライナ情勢による圧迫感続き14円台序盤】

ドル/トルコリラの3月3日は14.15リラから13.98リラの取引レンジ、4日早朝の終値は14.09リラで前日終値の14.00リラからは0.09リラのドル高リラ安だった。
3月3日16時のトルコ消費者物価上昇率の発表を挟んで売られて14.15リラへ下落して2月28日以降の安値を更新したが、その後は下落一服で14リラ台序盤で横ばい推移となった。
ウクライナ情勢は膠着状態にあり、3月3日夜の二度目の停戦協議も不調に終わった。ロシアによる進撃は継続拡大しており、欧米によるロシア制裁も一段と強化されており、隣国として地政学的リスクを意識させられるトルコリラには大きな圧迫要因となっているが、3月4日午前はウクライナ原発の火災報道から安値更新を伺う展開となっている。

【トルコCPIは20年ぶり高水準、PPIは前年比100%を超える】

3月3日16時に発表された2月のトルコ消費者物価上昇率は前月比が4.81%となり1月の11.1%から鈍化したものの市場予想の3.8%を上回り、前年同月比は54.44%となり1月の48.69%から伸びが加速、市場予想の52.95%を上回った。50%超えは2002年4月の52.7%以来。このうち輸送部門は75.75%、生活雑貨が64.83%、食品飲料が64.47%となっている。
エネルギーや食品等を除くコア指数の伸びは前月比3.8%となり1月の6.9%から伸びが鈍化したがも前年同月比で44.05%となり1月の39.45%を超えた。
2月の生産者物価上昇率は前月比で7.22%となり1月の10.45%から伸びが鈍化したものの前年同月比は105.01%となり1月の93.53%から伸びが加速した。100%超え=前年度の2倍となる上昇は統計の遡れる1995年3月の144.33%以来の高水準となった。

トルコリラ円見通し トルコのインフレ収まらず、CPIは50%超えに

トルコ中銀や財務相は年後半にはインフレ低下を見込んでいるが、感染の波が繰り返す中での景気回復による人手不足とモノ不足によるインフレ進行に加えてウクライナ情勢とロシア制裁の影響から原油等の資源エネルギーや穀物、飼料等が高騰しており、トルコの自力的な政策では何ともならない状況にある。トルコ中銀とエルドアン政権は1-3月期の政策金利を据え置いて追加利下げを急がない姿勢を示しているので3月17日のトルコ中銀金融政策決定会合では政策金利据え置きと予想されるが、トルコとの関係も深いウクライナとロシアの戦争及び欧米によるロシアへの経済制裁の影響がしばらく続くとすればインフレ対策としての利上げを拒んでリラ安が再び進む可能性もあるところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月26日未明と2月28日夜の両高値をダブルトップとして弱気サイクル入りしてきたが、3月2日深夜へ続落したところから8.25円まで戻したために3月3日午前時点では3月2日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしたところとした。また高値形成期は3月3日未明から7日夜にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるとし、8.20円割れからは弱気サイクル入りとした。
3月3日午後の下落で8.20円を割り込んでからさらに続落しているため、3月3日昼高値を直近のサイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしていると思われる。ボトム形成期は7日夜から9日深夜にかけての間と想定されるので4日夜から週明けにかけては一段安へ向かいやすいところとみる。強気転換には3月3日昼高値を上抜く必要があるとみる。

60分足の一目均衡表では、3月1日夜の下落で先行スパンから転落し、3月3日昼への反発時に遅行スパンは実線に迫ったものの届かずに失速しており、現状は両スパン揃って悪化している状況にある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。強気転換には先行スパンを上抜き返す反騰が必要と思われる。

60分足の相対力指数は3月3日午前に60ポイントへ到達したところから40ポイント割れへ失速しているため、50ポイント以下での推移中は20ポイント前後を試す下落を想定する。強気転換には55ポイントを超える反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.13円を下値支持線、8.20円を上値抵抗線とする。
(2)8.20円以下での推移中は一段安警戒とし、8.13円割れからは8.10円前後試しとする。8.10円前後では買い戻しも入りやすいとみるが、ドル円の急落ないしは対ドルでのリラ安が加速する場合は8.00円台後半(8.09円から8.05円)へ下値目途を引き下げる。
(3)8.20円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.20円超えから続伸の場合は8.25円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

3月10日
 16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 3/4時点 (2/26時点 702.0億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 3/4時点 (2/26時点 181.9億ドル)
3月11日
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 1.6%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 14.4%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 -2.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 15.5%)
 16:00 1月 経常収支 (12月 -38.41億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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