トルコリラ円見通し ウクライナ情勢深刻化による円高に押される(22/3/2)

トルコリラ円の3月1日は8.34円から8.21円の取引レンジ、2日早朝の終値は8.25円で前日終値の8.30円からは0.05円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢深刻化による円高に押される(22/3/2)

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢深刻化による円高に押される

〇トルコリラ円、3/1高値8.34、戻り高値切り下げつつジリ安推移
〇対ドル、13.60まで戻すが上値重い、14リラ台への転落警戒
〇2月イスタンブール製造業PMI、昨年4月ピークに低下傾向
〇3/3には消費者物価上昇率発表予定、リラ売り再開のきっかけに注意
〇8.35以下での推移中は一段安余地ありとし、8.18割れからは8.10前後への下落を想定する
〇8.35超えからは高値試しへ向かうとみて8.40前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の3月1日は8.34円から8.21円の取引レンジ、2日早朝の終値は8.25円で前日終値の8.30円からは0.05円の円高リラ安だった。
ウクライナ情勢を背景としたリスク回避的なクロス円全般での円高とドルストレートでのドル高リラ安を背景に2月24日安値7.84円へ急落して1月3日以降続いてきた8円台での持ち合いからいったん下放れたが、当面の売り一巡として買い戻し優勢となり2月26日未明高値で8.40円まで戻した。2月28日午後に8.18円まで下げたところも買い戻されて28日夜に8.40円まで再び戻したものの新たな高値更新へは進めずに26日未明と28日午後の両高値がダブルトップ型となり、3月1日は戻り高値を切り下げつつジリ安で推移した。

【ドル/トルコリラ動向 13リラ台後半でもみ合う】

ドル/トルコリラの3月1日は13.97リラから13.60リラの取引レンジ、2日早朝の終値は13.91リラで前日終値の13.84リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
ロシアがウクライナに本格的な侵攻を開始した2月24日に14.63リラへ急落して1月10日以降の13リラ台での持ち合いからいったん下放れたものの、当面の売り一巡感から買い戻されて13リラ台を回復、3月1日朝には13.60リラまで戻していたが、ウクライナ情勢が深刻化する中でリラ買いも続かず上値が重くなり、再び14リラ台への転落も警戒される流れとなっている印象だ。

【トルコ製造業PMIは低下傾向】

【トルコ製造業PMIは低下傾向】

3月1日夕刻に発表された2月のイスタンブール製造業PMIは50.4となり1月の50.5からわずかに低下した。好不況の分岐点である50を昨年6月以降は維持しているが、4月の54.1をピークに低下傾向にある。
前日に発表されたトルコ10-12月期GDPでは前期比が1.5%増となり7-9月期の2.8%増からは伸びが鈍化したものの前年同期比では9.1%増となり7-9月期の7.5%増を上回り市場予想の9.0%増を若干上回った。パンデミック後の景気回復としてはG20の中で最も高成長を遂げている。しかし昨年末にかけてのリラ暴落が収まったものの低水準にとどまり、インフレ進行が重石となる中でウクライナにおけるロシア侵攻と欧米によるロシア制裁が今後のトルコ経済にも悪影響を及ぼすことが懸念される状況だ。

3月3日には2月消費者物価上昇率の発表がある。市場の事前予想では消費者物価の前月比は3.80%で1月の11.10%から鈍化するものの前年同月比は52.95%へと1月48.69%からさらに上昇すると見込まれている。
ロシア株とルーブルの暴落に市場の目も向かっているが、ロシア制裁がさらなる世界的なインフレ進行要因となっているため、トルコの高インフレも簡単には収まらないと思われる。3月3日の消費者物価上昇率の内容次第ではリラ売り再開のきっかけになりかねないと注目したい。

【ウクライナ情勢の圧迫感続く】

2月28日にはトルコの大統領補佐官が米国の大統領補佐官と電話会談を行い、ウクライナ停戦実現に向けた取り組み姿勢で一致したとトルコのメディアであるデミロレン通信が報じており、トルコとしてはNATO加盟国でありながらロシア製ミサイル導入等で孤立して米国との関係も悪化している状況を改善する外交的な好機ともいえるが、2月28日の停戦協議は不調に終わっており、停戦協議継続は確認されたものの先行きは不透明だ。
ロシアのタス通信は二度目の協議が3月2日に行われる予定と報じたが、トルコのカリン報道官はロシア側の要求が非現実的なために3月2日の停戦交渉は数日間延期されるだろうと述べている。
トルコは2月28日に1936年のモントルー条約によりボスポラス海峡とダーダネルス海峡の軍艦の通航を制限するとしたが、登録基地への帰港は認めている。今のところ航行に関する条約違反やトルコとの衝突はなく、ロシア軍艦の通過もないようだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月24日夜へ大幅下落してからV字反騰したために25日午前時点では24日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして2月28日午前から3月2日昼にかけての間への上昇を想定した。
2月26日未明と2月28日夜の両高値がダブルトップ型となり、3月1日もジリ安の推移が続いているため、現状をダブルトップ形成からの弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は3月1日夜から3日夜にかけての間と想定されるのですでに反騰注意期にあるが、8.35円を超えないうちは一段安警戒とする。8.35円を超える反騰からは新たな強気サイクル入りと仮定して3月2日深夜から7日朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、3月1日夜の下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落した。その後は下げ渋っているので、先行スパンを上抜き返せないうちはもう一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は40ポイント割れから持ち直して50ポイントに到達している。55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移を続けるようなら60ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.18円を下値支持線、8.35円を上値抵線とする。
(2)8.35円以下での推移中は一段安余地ありとし、8.18円割れからは8.10円前後への下落を想定する。8.10円以下は反騰注意とするが、8.20円以下での推移なら3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。またウクライナ情勢等をきっかけに急落商状に陥る場合は8.00円前後へ下値目途を引き下げる。
(3)8.35円超えからは高値試しへ向かうとみて8.40円前後への上昇を想定する。8.40円前後では戻り売りも出やすいとみるが、8.30円以上での推移なら3日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。またウクライナ情勢の状況好転等からリスク選好的に買われる場合は8.45円前後を目指す可能性もあるとみる。

【当面の主な予定】

3月03日
 16:00 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 11.1%、予想 3.80%)
 16:00 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 48.69%、予想 52.95%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (1月 6.9%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 39.4%)
 16:00 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 10.45%)
 16:00 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 93.53%)
 20:30 週次 外貨準備高 2/25時点 グロス (2/18 727.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2/25時点 ネット (2/18 198.0億ドル)
3月10日
 16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/4時点


注:ポイント要約は編集部

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