トルコリラ円見通し 8円割れから反発した後は円高に圧迫されて揉み合い(22/3/1)

ドル/トルコリラではドル高が緩んでリラが反発したため、トルコリラ円は円高とリラの反発に挟まれたことで2月25日の高安レンジ内にほぼ収まる動きだった。

トルコリラ円見通し 8円割れから反発した後は円高に圧迫されて揉み合い(22/3/1)

トルコリラ円見通し 8円割れから反発した後は円高に圧迫されて揉み合い

〇トルコリラ円、2/28は8.40から8.18の取引レンジ、円高と対ドルでのリラの反発に挟まれ揉み合い
〇対ドル、米長期債利回り低下でドル高が緩み、対ドルでの買い戻しが継続
〇昨日発表のトルコGDPは堅調な数字、今後はリラ安・高インフレ・ウクライナ情勢の影響が懸念材料
〇貿易赤字は悪化続く、ウクライナ情勢の悪化で貿易赤字拡大・経常収支悪化へとつながる可能性も
〇8.30以上での推移中はもう一段高余地ありとし、8.40超えからは8.50前後試しとする
〇8.18割れからは下落期入りとみて、8.00前後への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の2月28日は8.40円から8.18円の取引レンジ、3月1日終値は8.30円で先週末終値の8.35円からは0.05円の円高リラ安だった。
2月24日にロシア軍がウクライナに侵攻したところでのリスク回避によるドル高リラ安に円高が重なったことで2月24日安値で7.84円まで急落となり、1月3日以降続いてきた8円台での持ち合いからいったん転落したが、当面のリスクを織り込んだとして対ドルでリラが買い戻され、ドル円も114円台序盤から115円台後半へ反発する流れとなったことでトルコリラ円も8円台を回復、25日高値では8.40円まで戻した。

週末に欧米のロシア制裁が強化されてSWIFTからの締め出しが始まったこと、ロシアが核攻撃をちらつかせたことで週明けの28日午前にはドル円が一時急落、対ドルでリラが反落したがその後は28日夜のウクライナとロシアによる停戦協議結果を待つ展開となった。ドル円はリスク回避優勢と米長期債利回り低下により再び115円をいったん割り込むところまで下落、ドル/トルコリラではドル高が緩んでリラが反発したため、トルコリラ円は円高とリラの反発に挟まれたことで2月25日の高安レンジ内にほぼ収まる動きだった。

【ドル/トルコリラ動向 米長期債利回り低下でリラの買い戻し続く】

ドル/トルコリラの2月28日は14.09リラから13.73リラの取引レンジ、3月1日早朝の終値は13.84リラで先週末終値の13.82リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢は欧米によるロシア制裁の強化、特にSWIFTからのロシア排除が進んでいることやロシア中銀への制裁で米連銀や日銀におけるロシア中銀の外貨準備高が凍結される事態となっており、ロシアにおける株安ルーブル安が深刻化しているが、通貨危機的な様相になる場合も踏まえて金融市場全般の先行き不安は高まっており、28日はNYダウが下落、安全資産として米長期債が買われて利回りが低下する展開となり、ドル高が緩む形となったことでトルコリラも対ドルでの買い戻しが継続した。
2月28日夕刻のトルコ10-12月期GDPもまずまずの数字だったこともリラ買いにやや安心感をもたらして午前のドル高リラ安の流れが変わるきっかけとなった印象だ。

【トルコGDPは堅調な数字】

2月28日夕刻に発表されたトルコの10-12月GDPは前期比1.5%増となり7-9月期の2.8%増からは伸びが鈍化したが市場予想ではマイナスの可能性もあったところのためまずまずの数字だった。前年同期比では9.1%増となり7-9月期の7.5%増を上回り市場予想の9.0%増を若干上回った。
トルコ中銀による9月から12月までの4会合連続利下げによるリラ安が同期間に発生して特に12月は史上最安値を大幅に更新する暴落商状だったため、リラ安による影響も懸念されたが、リラ預金保護政策等で12月20日安値6.17円から12月23日高値11.14円へ反騰し、その後に反落したところでも8円台を維持したために史上最安値更新時の市場のマイナス印象よりも実際は悪くなかったといえる。

前年同期比は2020年4-6月期にパンデミック発生のショックを反映して10.4%減へ急低下した後はプラス圏で推移しており、2021年4-6月期に前年の反動もあって21.7%増へ急増したところを除いても2020年7-9月期の6.3%から上昇基調を継続している。
ただし、今後についてはリラ安状態が長期化していること、高インフレがやまないこと、ウクライナ情勢による貿易や観光業への影響が懸念される。

【貿易赤字の悪化続く】

2月28日に発表された1月のトルコ貿易収支は102.6億ドルの赤字となった。
トルコは慢性的な経常赤字体質であり、貿易収支の赤字を観光収入等で賄う構造になっているが、赤字幅は2021年10月に15億ドルだったところから11月に54.3億ドル、12月に67.9億ドル、そして1月に100億ドルを超えるまで3か月連続で急拡大している。
リラ安による赤字額の拡大と共に世界規模でのインフレ進行による資源エネルギー価格の高騰が影響していると思われる。
トルコにとってはウクライナ、ロシア共に大きな貿易及び観光の相手であり、戦局の泥沼化や欧米制裁によるロシアからの資源供給が削減されることで輸入インフレが一段と進むと貿易赤字の拡大から経常収支の悪化へとつながり、先行きのリラ安要因となりかねないと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月23日昼高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、24日夜へ大幅下落してからV字反騰したために25日午前時点では24日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして2月28日午前から3月2日昼にかけての間への上昇を想定した。
2月26日未明と2月28日夜の両高値がダブルトップ型となっているものの、ダブルトップの谷間にある28日午後安値8.18円割れを回避するうちはまだ上昇余地が残るとするが、8.18円割れからは弱気サイクル入りとして3月1日夜から3日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、26日未明から8.40円前後を抵抗として8.20円割れを買い戻される持ち合い型で推移しているため遅行スパンは実線と交錯しているが先行スパンからの転落は回避しているのでまだ上昇余地ありとして遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパンへ潜り込むところからは弱気転換注意とし、28日午後安値割れからはダブルトップ形成による下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は40ポイント前後から70ポイント手前までのレンジで推移しているが、45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとし、40ポイント割れからは下げに入るとみて30ポイント割れを目指す流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8.18円を下値支持線、8.40円を上値抵抗線とする。
(2)8.30円以上での推移中はもう一段高余地ありとし、8.40円超えからは8.50円前後試しとする。8.45円から8.50円にかけてのゾーンでは戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.30円以上を維持しての推移なら2日の日中も高値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)8.18円割れからは下落期入りとみて8.00円前後への下落を想定する。8.00円以下は反騰注意とするが、8.18円以下での推移なら2日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

3月01日
 16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 50.5)
3月03日
 16:00 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 11.1%、予想 3.80%)
 16:00 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 48.69%、予想 52.95%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (1月 6.9%)
 16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 39.4%)
 16:00 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 10.45%)
 16:00 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 93.53%)
 20:30 週次 外貨準備高 2/25時点 グロス (2/18 727.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2/25時点 ネット (2/18 198.0億ドル)
3月10日
 16:00 1月 失業率 (12月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 3/4時点


注:ポイント要約は編集部

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