ドル円見通し ウクライナ情勢の深刻化でクロス円が全面安、米長期債利回り低下と株安を嫌気(3/2)

ドル円は3月2日未明安値で114.68円まで下落、その後も115円を割り込んでの推移となっている。

ドル円見通し ウクライナ情勢の深刻化でクロス円が全面安、米長期債利回り低下と株安を嫌気(3/2)

ウクライナ情勢の深刻化でクロス円が全面安、米長期債利回り低下と株安を嫌気

〇ドル円、3/2未明114.68まで下落、情勢深刻化でクロス円全面安2/24安値に迫る
〇NYダウ前日比597.65ドル安、株安からの逃避、安全資産買いで米長期債利回り大幅低下
〇3月米FOMC利上げ予想0.25%、先行き不透明感から大幅利上げ可能性後退
〇115円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、114.39割れからは114円台序盤試しとみる
〇115.28超えからはいったん戻しに入るとみて115.50から115.60円台への上昇を想定する

【概況】

ドル円は3月2日未明安値で114.68円まで下落、その後も115円を割り込んでの推移となっている。
2月24日にロシアがウクライナ侵攻を本格化させたことにより24日夜に114.39円まで下落したところからは当面のリスクを織り込んだとしていったんは買い戻し優勢となって2月26日早朝に115.76円まで戻したが、週末から情勢は悪化しており停戦協議の不調とロシアによるウクライナ第二都市ハリコフへの砲撃激化、欧米のロシア制裁強化と世界経済への悪影響を懸念してドルストレートではドル高、クロス円は全面安、安全資産買いで米長期債利回りが低下する中でドル円も2月24日安値に迫ってきている。

【株売り債券買いで米長期債利回り大幅低下】

3月1日のNYダウは前日比597.65ドル安と大幅下落した。ウクライナ情勢を背景に2月24日安値32272.64ドルまで安値を切り下げて1月5日の史上最高値36952.65ドルからは二段下げ型に発展したが、当面の売り一巡として先週末の2月25日は前日比834.92ドル高と買い戻されていた。しかしウクライナ情勢の深刻化はさらにエスカレートするとみられて2月28日に166.15ドル安と下落、1日も一時は780ドル安を超えるなど大幅続落となり先安感が強まっている。ナスダック総合指数も218.94ポイント安と4日ぶりに反落した。
株安からの逃避と安全資産買いにより米長期債利回りは総じて大幅低下している。10年債利回りは前日比0.10%低下の1.73%、一時は1.68%まで下げて1月5日以来の低水準となった。30年債利回りも0.06%低下の2.11%、2年債利回りも0.08%低下の1.35%となった。

3月15-16日に開催される米連銀の連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げが予想されているが、一時盛り上がっていた0.50%への大幅利上げの可能性はウクライナ情勢による先行き不透明感から後退している。ロシア制裁はロシア株とルーブルの暴落を招いてロシアには大打撃となっているが、ロシアからの天然ガスや原油、穀物、貴金属や非鉄金属等の供給不安が昨年来のインフレを一段と進行させることが懸念されるものの、インフレ対策として大幅利上げに踏み切れば景気回復の腰折れとなりかねないこともあり、債券市場は当面の利回り上昇が一巡して低下局面に入っている印象だ。
ドル円にとっては株安によるリスク回避的なクロス円の買い戻しからの円高、米長期債利回り低下による円高の両面から押されやすい状況にあるが、かつてのようには円への安全資産買いが勢い付いていない側面もある。3月1日はNY原油が一時106ドル台に到達して2020年4月以降の最高値を更新しているが、輸入物価上昇による日本経済への打撃もやや円買いを鈍らせており、クロス円の手仕舞いによる買い戻しの動きが中心という印象だ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月22日午前と24日午後の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしたが、2月26日早朝高値でサイクルトップを付けて弱気サイクル入りしている。ボトム形成期は3月1日午後から3日夕にかけての間と想定されるので既に反騰注意期に来ているものの115円以下での下げ渋り程度の動きのためもう一段安余地ありとみる。強気転換は3月1日午前の戻り高値115.28円を超えるところからと考える。

60分足の一目均衡表では2月28日夜からの下落で遅行スパンが悪化、先行スパンから転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻しに入るとみるが先行スパンを上抜き返せないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は3月1日早朝安値からの一段安に際しては指数のボトムが切り上がって強気逆行の気配が見られるものの50ポイント台回復へ進めずにいる為、もう一段下げる可能性を見込む。強気転換には55ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する反発が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月24日安値114.39円を下値支持線、3月1日午前高値115.28円を上値抵抗線とする。
(2)115円以下での推移中はもう一段安余地ありとし、114.39円割れからは114円台序盤(114.20円から114.00円)試しとみる。114.20円以下は反発注意圏とみるが114.75円以下での推移が続くか安値から0.50円以上の反発が見られないうちは3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)115.10円超えを強気転換注意とし、115.28円超えからはいったん戻しに入るとみて115.50円から115.60円台への上昇を想定する。115.50円以上は反落注意圏とみるが、115.28円を超えた後も115円台を維持する推移なら3日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。

【当面の主な予定】

3/2(水)
OPECプラス閣僚級会合
17:55 (独) 2月 失業者数 前月比 (1月 -4.80万人、予想 -2.50万人)
17:55 (独) 2月 失業率 (1月 5.1%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 2月 HICP消費者物価指数速報値 前年同月比 (1月 5.1%、予想 5.4%)
19:00 (欧) 2月 HOCP消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (1月 2.3%、予想 2.5%)
22:15 (米) 2月 ADP非農業部門就業者数 前月比 (1月 -30.1万人、予想 38.8万人)
23:00 (米) エバンス・シカゴ連銀総裁、講演
23:30 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、講演
24:00 (加) カナダ銀行 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
24:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、下院金融委員会で半期議会証言
24:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (欧) レーンECB理事、講演
27:30 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
28:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
29:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演

3/3(木)
09:30 (豪) 1月 住宅建設許可件数 前月比 (12月 8.2%、予想 -3.5%)
09:30 (豪) 1月 貿易収支 (12月 83.56億豪ドル、予想 95.00億豪ドル)
10:45 (中) 2月 財新サービス業PMI (1月 51.4、予想 50.8)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 36.7、予想 35.0)
17:55 (独) 2月 サービス業PMI改定値 (1月 56.6、予想 56.6)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI改定値 (1月 55.8、予想 55.8)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI改定値 (1月 60.8、予想 60.8)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 2.9%、予想 2.4%)
19:00 (欧) 1月 生産者物価指数 前年同月比 (12月 26.2%、予想 27.0%)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 7.0%、予想 7.0%)
21:30 (欧) 欧州中銀(ECB)理事会議事要旨

22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性改定値 前期比 (7-9月 6.6%、予想 6.7%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 23.2万件、予想 22.7万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 147.6万人)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI改定値 (速報 56.7)
24:00 (米) 2月 ISM非製造業景況指数 (1月 59.9、予想 61.0)
24:00 (米) 1月 製造業新規受注 前月比 (12月 -0.4%、予想 0.5%)
24:00 (米) パウエル米連銀(FRB)議長、上院銀行委員会で半期議会証言


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