ドル円、リスク回避の円買いと有事のドル買いに挟まれ身動き取れず。ユーロは急落
〇ドル円、ロシアの軍事行動激化、米長期金利低下に米国時間にかけて、安値114.69まで下落
〇ユーロドル、地政学的リスクの高まり、欧州経済の先行き不透明感に一時1.1090まで急落
〇ドル円、「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」に挟まれる形で方向感を見出しづらい
〇テクニカルにはダウンサイドに複数のサポートポイントが見られ、下値余地は限定的
〇本日はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインに加えて、2月ADP雇用統計や、米当局者発言に注目
〇本日の予想レンジ:114.50ー115.50
海外時間のレビュー
1日(火)のドル円相場は方向感に欠ける展開。アジア時間朝方にかけて、高値115.29まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ショイグ露国防相による「目標を達成するまでウクライナでの軍事行動を継続する」との発言など)や、A上記@を背景とした世界的なリスクオフ(株式市場急落)、B質への逃避の米国債買い(米長期金利急低下→米10年債利回りは2/16に記録した2.06%をトップに反転すると昨日は一時1.68%まで急低下→米ドル売り)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値114.69まで下落しました。しかし、一目均衡表雲上限をバックに下げ渋ると、引けにかけて値を戻し、本稿執筆時点(日本時間3/2午前6時20分現在)では、114.85前後で推移しております。尚、昨日発表された米2月ISM製造業景況指数(結果58.6、予想58.0)は市場予想を上回る結果となりましたが、市場の反応は限定的となりました。
1日(火)のユーロドル相場は大幅下落。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ショイグ露国防相による「目標を達成するまでウクライナでの軍事行動を継続する」との発言など)や、A上記@を背景とした世界的なリスクオフ(株式市場急落→有事のドル買い)、B欧州経済の先行き不透明感(地政学的リスクを背景に原油価格や天然ガス価格が急上昇→WTI原油先物価格は心理的節目100ドルを突破し、2014年6月以来の高値圏へ→欧州経済への下押し圧力)、CレーンECB専務理事によるハト派的な発言(時期早々のECBの行動で域内経済がリセッションに陥る可能性)、D欧州債利回りの急低下(ECBによるタカ派傾斜観測後退→ドイツ10年債利回りはマイナス圏へ急低下→ユーロ売り)が重石となり、米国時間にかけて、安値1.1090(2020年5月29日以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/2午前6時20分現在)では、1.1125前後で推移しております。
本日の見通し
ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクを背景に金融市場はリスク回避ムードに包まれていますが、ドル円は「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」に挟まれる形で方向感を見出しづらい時間帯が続いております。事実、昨日はユーロドルが約1年9ヵ月ぶり安値圏へ急落する中、ドル円はレンジ相場に終始しました(普段であればユーロドル急落→ユーロ円急落→ドル円連れ安の流れで円買いが進む展開だったが昨日は思ったほどドル円が下がらず)。ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの波及経路が「リスク回避の円買い」から「有事のドル買い」にシフトしつつあると判断できます(昨日は米金利が急低下したにも係わらずドル売り・円買いでの反応が限定的)。
こうした中、本日はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインに加えて、週末の米雇用統計の前哨戦となる米2月ADP雇用統計や、米当局者発言(シカゴ連銀エバンス総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、パウエルFRB議長による下院金融委員会で半期に1度の議会証言)に注目が集まります。雇用情勢の強さが確認される場合や、エネルギー価格急騰を背景に米当局者がタカ派的なスタンス(インフレ抑制スタンス→3月FOMCの大幅利上げ観測)を維持する場合などには、米長期金利の持ち直しに伴うドル買いと、ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクを背景とした有事のドル買いが重なることから、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。テクニカル的にもダウンサイドに複数のサポートポイントが見られることから、下値余地は限定的であり、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:114.50ー115.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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