南アランド週報:『ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク顕在化で冴えない動き』(2/26朝)

南アランドの対円相場は、2/10に記録した約3ヵ月半ぶり高値7.73円をトップに反落に転じると、週後半にかけて2/8以来となる安値7.42円まで急落しました

南アランド週報:『ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク顕在化で冴えない動き』(2/26朝)

『ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク顕在化で冴えない動き』

〇今週の南ア円、南ア政府による法人税率の引き下げ、プラチナ価格の急上昇に週央7.69まで上昇
〇その後ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり等に週後半にかけて、週間安値7.42円まで急落
〇週末は株式市場の持ち直し、プラチナ価格の反発に7.61前後で推移
〇遅行線の26日前のローソク足接触を経て、三役好転が終了、テクニカルの地合い悪化が懸念される
〇ファンダメンタルズも南アランド円相場の反落を連想させる材料が揃う
〇南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.75

今週のレビュー(2/21−2/25)

今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.61円で寄り付いた後、@南ア12月景気先行指数(結果126.2、前回125.9)の良好な結果や、A南アフリカ政府による法人税率の引き下げ決定(28%→27%)、Bプラチナ価格の急上昇が支援材料となり、週央にかけて、週間高値7.69円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、Cウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ロシア軍によるウクライナ攻撃)や、D上記Cを背景とした世界的なリスクオフ(リスク回避の新興国通貨売り)、E格付会社フィッチによる南ア予算案に対する厳しい指摘(2/23に発表された南ア政府の予算案に対して、最近の大幅な歳入の伸びは一時的。支出抑制も困難であるとの見解発表)、

F南ア1月生産者物価指数(結果+10.1%、予想+10.4%、※前年比)の市場予想を下回る結果、Gプラチナ価格の急反落(週央にかけて約7ヵ月ぶり高値圏へ急伸したプラチナ価格が週後半にかけて急反落)が重石となり、週後半にかけて、週間安値7.42円まで急落しました。もっとも、週末にかけては、H株式市場の持ち直し(リスク回避ムードの後退)や、Iプラチナ価格の反発(対露制裁で供給逼迫リスク)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間2/26午前4時45分現在)では7.61円前後で推移しております。

来週の見通し(2/28−3/4)

南アランドの対円相場は、2/10に記録した約3ヵ月半ぶり高値7.73円をトップに反落に転じると、週後半にかけて2/8以来となる安値7.42円まで急落しました(週末にかけて持ち直すも戻りは鈍い)。遅行線の26日前のローソク足接触を経て、強い買いシグナルを示唆する三役好転が終了した他、上方に複数のレジスタンスポイントも控えているため、テクニカル的に見て地合いの悪化が警戒されます(現時点で下落トレンドに転換したとは言えないものの、上昇の勢いは着実に衰えつつある)。目先は7.51円前後に控える200日移動平均線を終値ベースで下抜けられるか否かに注目が集まりそうです。

ファンダメンタルズ的に見ても、@ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(リスクオフ再開で新興国通貨に下押し圧力)や、A米FRBによるタカ派転換(次回3月FOMCに向けての大幅利上げ・早期QT開始観測)、B上記@Aを背景とした新興国から米国への資金流出圧力(リスクオフに伴う有事のドル買いと、米金利上昇に伴うドル買いの同時進行)、C南ア経済の先行き不透明感(国営電力会社エスコムによる計画停電)、D過去最悪の失業率に端を発した南ア国内の政情不安など、南アランド円相場の反落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、南アランド円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週は南アフリカ国内のイベントに乏しいことから、ウクライナ情勢を巡るヘッドラインや、米長期金利の動向を睨みながらの神経質な展開を想定)。

来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.75

注:ポイント要約は編集部

『ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスク顕在化で冴えない動き』

ランド円日足

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