トルコリラ週報:『膠着相場からの下放れに成功。ダウンサイドリスクに引き続き警戒』(2/26朝)

トルコリラの対円相場は約2ヵ月に亘り続いた膠着相場を下放れし、一時7.78円まで急落しました。

トルコリラ週報:『膠着相場からの下放れに成功。ダウンサイドリスクに引き続き警戒』(2/26朝)

『膠着相場からの下放れに成功。ダウンサイドリスクに引き続き警戒』

〇今週のトルコ円、週初8.48まで上昇後、ロシアによるウクライナ侵攻に7.78まで下落
〇週末にかけてはリスク回避の動きが和らぎ、ショートカバー主導に8.38前後まで回復
〇トルコ円約2ヵ月に亘り続いた膠着相場を下放れ、下落トレンド再開の可能性
〇テクニカル、ファンダメンタルズともにトルコリラ円のダウンサイドリスクを連想させる材料が増加
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.00ー8.60

今週のレビュー(2/21−2/25)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.41円で寄り付いた後、早々に週間高値8.48円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@トルコ2月景気動向指数および、Aトルコ2月設備稼働率の冴えない結果や、Bウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(プーチン露大統領がウクライナの親ロシア派2地域の独立を承認すると共に、ロシアによるウクライナ侵攻を開始)、C上記Bを背景とした世界的なリスク回避ムード(株式市場急落→新興国通貨急落)、Dトルコ経済の先行き不透明感(原油価格や天然ガスなどエネルギー価格が高騰→エネルギーの外部依存度が高いトルコ経済に下押し圧力)が重石となり、週後半にかけて、昨年12/20以来、約2ヵ月ぶり安値となる7.78円まで急落しました。もっとも、週末にかけてはショートカバー主導(ロシア政府がウクライナとの協議のためベラルーシ・ミンスクに代表団を送る用意があるとの発言→株式市場急反発→リスク回避ムード後退→ショートカバー誘発)で持ち直し、本稿執筆時点(日本時間2/26午前4時50分現在)では8.38円前後で推移しております。

来週の見通し(2/28−3/4)

トルコリラの対円相場は約2ヵ月に亘り続いた膠着相場を下放れし、一時7.78円まで急落しました。週末にかけて持ち直すも戻りは鈍く、下落トレンド再開の可能性が警戒されます。ローソク足が主要チャートポイントを下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となりつつあります。ファンダメンタルズ的に見ても、@ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(リスク回避の新興国通貨売り)や、A上記@を背景とした観光産業の大打撃(トルコはウクライナ・ロシア両国と親密な関係→ウクライナ・ロシア両国によるトルコへの観光客数は全体の3割を占める水準)、B米FRBのタカ派傾斜転換(資源価格高騰→世界的なインフレ昂進→米国による金融引き締め強化の思惑→トルコから米国への資本流出懸念)、Cトルコ中銀による追加利下げ観測(エルドアン大統領による利下げ圧力)、

D上記BCを背景としたトルコ・米国の金融政策格差、Eトルコ中銀による介入余力の乏しさ(外貨準備拡充を目的にUAEと通貨スワップ協定を締結するも、外貨準備は引き続き脆弱)、F経常収支の悪化懸念(上記Aに伴う観光客数減少や、エネルギー価格高騰が経常収支にマイナス寄与)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/28に予定されているトルコ10ー12月期GDPや、1月貿易収支、3/1の2月イスタンブール製造業PMI、3/3の2月消費者物価指数、2月生産者物価指数に注目が集まります。特にCPIやPPIなどのインフレ指標の上振れが確認されれば、エルドアン大統領による利下げ圧力の再燃を通じて、トルコリラ円相場に下押し圧力が加わる恐れがあるため、注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):8.00ー8.60

注:ポイント要約は編集部

『膠着相場からの下放れに成功。ダウンサイドリスクに引き続き警戒』

トルコ円日足

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