トルコリラ円見通し ウクライナ情勢で乱高下、一時は8円を大幅に割り込む
〇2/24はロシア軍のウクライナ侵攻で金融市場の動揺が増し、トルコリラ円は一時8円割り込む
〇しかし最悪の事態は織り込まれたとして、夜以降対ドルでのリラ反騰とドル円の下落重なりV字反騰
〇対ドル、ドル全面高と新興国通貨売りで14リラ台へ急落、13リラ台の持ち合いからいったん下放れる
〇その後NYダウが反騰する中トルコリラも買い戻しが急がれ、13リラ台後半へ持ち直す
〇8.15以上での推移中はもう一段高余地ありとし、8.28超えからは8.30前後試しとする
〇8.15割れからは下向きとし、下げ足が早まる場合は8.10割れから8.00前後試しへ向かうとみる
【概況】
トルコリラ円の2月24日は8.33円から7.84円の取引レンジ、25日早朝の終値は8.12円で前日終値の8.30円から0.18円の円高リラ安となった。
市場はウクライナ情勢に関して、ロシア軍の侵攻は既に親ロ派勢力が実効支配しているドンバス地方に限定されて当該地域の独立とロシア勢力化までと踏んでいたところ、24日にはウクライナ全土への侵攻となったことで金融市場の動揺がエスカレートし、欧米によるロシアへの制裁も厳しくなるとみてダウ先物が大幅安となりアジア株と欧州株も売られて世界連鎖株安となり、為替市場ではドルストレートでのドル高、クロス円は全面安で円高、ドル円が2月22日安値を割り込む一段安となったためにトルコリラ円も対ドルでのリラ安と円高が重なって8円を割り込んだ。ベンダーによっては7.73円や7.64円等の安値提示もみられた。
しかしロシアへの制裁ではドル決済からの締め出しはなく、ロシア産欧州向け天然ガス供給停止等に至らず、NATO軍投入もあり得ないというレベルにとどまったことで当面する最悪の事態は織り込まれたとして夜以降はユーロやポンド等が反騰、ドル円も急伸したことでトルコリラ円は対ドルでのリラ反騰とドル円の下落が重なってV字反騰となった。
2月25日午前序盤は8.20リラ台前半でもみ合いとなっている。
【ドル/トルコリラ動向 13リラ台の持ち合いからいったん下放れてからV字回復】
ドル/トルコリラの2月24日は14.63リラから13.76リラの取引レンジ、25日早朝の終値は14.00リラで前日終値の13.81リラからは0.19リラのドル高リラ安となった。
ウクライナ情勢の緊張によるリスク回避感から2月18日高値13.52リラを起点として下落に転じ、2月22日には13.91リラへ下落して1月18日以降の下値支持帯であった13.60リラ台から転落したが、2月24日にロシア軍がウクライナ全域へと侵攻し始めたことで金融市場全般の動揺が増し、ドルストレートにおけるドル全面高と新興国通貨売りにより14リラ台へ急落して13リラ台の持ち合いからいったん下放れとなり、安値では14.63リラ(ベンダーによっては14.68リラや14.59リラ等)まで失速した。
しかしNYダウが大幅下落開始から下げ幅解消へと反騰する中でトルコリラも対ドルで買い戻しが急がれて13リラ台後半へ持ち直した。2月25日午前序盤は14.00リラを挟んで揉み合いとなっている。
【8円台の持ち合いから下放れ】
トルコリラ円はトルコ中銀による9月から12月にかけての4会合連続利下げを嫌気して暴落的な下げに見舞われて12月20日に6.17円の史上最安値を付けた。暴落対策としてエルドアン大統領がリラ預金の為替差損補填政策を発表したことから12月23日に11.14円まで一時急騰したものの先行き不透明感は解消されないとみて揺れ返しの下落で1月3日には8.13円まで失速した。
その後は8円台での持ち合いが続いて日足レベルではほぼ横ばいの推移が続いてきたが、8.60円以上では戻り売りにつかまるパターンを繰り返し、2月11日高値からは下落に転じて徐々に安値を切り下げてきていた。そこにウクライナ情勢が重なったこと、特に24日は予想外にロシアによるウクライナ全土侵攻が始まったことで新興国通貨売りが加速してトルコリラ円も急落に見舞われたために8円台での持ち合いからの転落となった。
2月24日夜安値で7.94円まで下げてからV字反発となり8円台をひとまず回復しているものの、持ち合いから下放れたことの意味も大きい。8.20円前後までの戻りで上値が重くなり、再び8円割れへと下げれば持ち合い下放れによる安値試しの継続となり、12月20日の史上最安値6.17円を再び試す流れへ進みかねないところと思われる。
2月24日の日足は長い下ヒゲを付けた。この下ヒゲを維持して切り返しの陽線連続で戻しに入ればいわゆる「たくり足」として当面の底打ちとなる可能性があるが、下ヒゲをつぶす下落で8.10円割れ、8.00円割れへと下げるようだとたくり足効果は消失してかえって弱気な姿となりやすいと注意したい。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月22日夜に8.27円まで急落したところから23日昼に8.39円までいったん戻し、その後に8.30円近辺へ失速したため、24日午前時点では2月22日夜安値を直近のサイクルボトム、23日昼高値を同サイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしているところとして25日夜から3月1日夜にかけての間への下落を想定した。しかし24日夜へ大幅下落してからV時反騰しているので、24日夜安値で短めのサイクルボトムを付けて反騰入りしたと思われる。
高値形成期は23日昼高値を基準として28日午前から3月2日昼にかけての間と想定されるが、乱高下が続いて戻りも短縮される可能性があるため、8.10円割れからは下げ再開と仮定して8月24日夜安値試しを想定する。
60分足の一目均衡表では、2月24日夜安値からのV字反騰により遅行スパンは好転しやすい位置に戻しているが、先行スパンを上抜くにはまだ距離が残る。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンを上抜けないうちはその後に遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみる。先行スパンが上値抵抗となりやすいとみる。
60分足の相対力指数は2月24に氏夜に20ポイントを割り込んでから60ポイント手前へ反騰しているので、40ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとみるが60ポイント台中盤では戻り売りも出やすいと注意し、40ポイント割れからは下げ再開とみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.15円を下値支持線、8.28円を上値抵抗線とする。
(2)8.15円以上での推移中はもう一段高余地ありとし、8.28円超えからは8.30円前後試しとする。8.30円から8.32円にかけてのゾーンでは戻り売りにつかまりやすいとみてその後に8.20円を割り込むところからは下げ再開を疑う。
(3)8.15円割れからは下向きとし、下げ足が早まる場合は8.10円割れから8.00円前後試しへ向かうとみる。8.00円以下は反騰注意とするが、8.15円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月25日
16:00 2月 経済信頼感指数 (1月 100.8)
2月28日
16:00 10-12月期GDP 前期比 (7-9月 2.7%)
16:00 10-12月期GDP 前年同期比 (7-9月 7.4%、予想 9.0%)
16:00 1月 貿易収支 (12月 -67.9億ドル)
3月01日
16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 50.5)
3月03日
16:00 2月 消費者物価指数 前月比 (1月 11.1%)
16:00 2月 消費者物価指数 前年同月比 (1月 48.69%)
16:00 2月 消費者物価コア指数 前月比 (1月 6.9%)
16:00 2月 消費者物価コア指数 前年同月比 (1月 39.4%)
16:00 2月 生産者物価指数 前月比 (1月 10.45%)
16:00 2月 生産者物価指数 前年同月比 (1月 93.53%)
注:ポイント要約は編集部
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