トルコリラ円見通し ウクライナ情勢では地政学的に近いリラに売り圧力(22/2/24)

トルコリラ円は、23日は8.39円から8.27円の取引レンジで24日早朝の終値は8.30円となり前日比0.03の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢では地政学的に近いリラに売り圧力(22/2/24)

ウクライナ情勢では地政学的に近いリラに売り圧力

〇トルコリラ円、24日早朝終値8.30で前日比0.03の円高リラ安、16日から6日間続落
〇1/3からの持ち合い相場の下限試し、あるいは持ち合い下放れへ進みかねない状況
〇対ドルではウクライナ情勢の地政学的リスクからリラ安感強まり13.60リラ台での下値支持帯から転落
〇トルコはウクライナ危機への政治介入と調停者をアピールするも今のところは具体的な成果得られず
〇8.30割れからは22日夜安値8.27試し、底割れからは8.20台前半を目指す流れとみる
〇8.35を超えは8.37台への反発を想定するが、その後8.34を割り込むところからは下げ再開とみる

【概況】

トルコリラ円は2月22日終値で8.34円へ下落、21日終値8.36円からは0.02円の円高リラ安だったが、23日は8.39円から8.27円の取引レンジで24日早朝の終値は8.30円となり前日比0.03の円高リラ安となった。
日足ベースでは2月16日から6日間の続落となっている。
12月20日への暴落による史上最安値6.17円からリラ預金為替差損補填政策発表による12月23日高値11.14円への急反騰の後、揺れ返しの下落で1月3日に8.13円まで下げてからは8円台での持ち合いで推移してきたが、その中でも1月12日以降は8.60円前後では売られて8.40円割れでは買い戻される範囲に持ち合いのレンジを縮小してきた。しかし2月11日高値で8.63円を付けたところを起点とした下落基調がつづいて8.40円を割り込んだところも切り返せなくなっており、1月3日からの持ち合い相場の下限試し、あるいは持ち合い下放れへ進みかねない状況になってきている印象だ。

【ドル/トルコリラ動向 ウクライナ情勢緊張でリラも売られる】

ドル/トルコリラの2月22日終値は13.78リラで前日終値の13.68リラからは0.10リラのドル高リラ安となり、2月23日は13.87リラから13.70リラの取引レンジで24日早朝終値は13.81リラとなり、前日比0.03リラのドル高リラ安となった。
1月に入ってからは13リラ台の持ち合いで推移してきたが、その中でも1月18日以降は13.60リラ台では買い戻しが入り、徐々に戻り高値が切り下がるレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となっていた。しかしウクライナ情勢の緊迫感が強まる中でロシアとウクライナの双方に隣接して地政学的リスクも強まりやすいトルコへの影響懸念が対ドルでのリラ安感を強めており、2月22日には13.70リラを割り込んだところからリラ売りが加速して13.91リラへと下落したことで13.60リラ台での下値支持帯から転落した。23日は新たな安値更新を回避したものの終値ベースでは続落しており、安値更新を試しやすい状況に入っている印象だが、1月10日安値13.93リラを割り込むようだと1月からの日足レベルにおける持ち合いからの転落へ進み下げ足がさらに加速する可能性もあると思われる。

【ウクライナ情勢によるトルコリラへの圧迫感】

2月22日にウクライナ東部を実効支配するドンバス地区の2つの人民共和国が独立を宣言、ロシアがこれを承認して平和維持を目的に抱えてロシア軍が進駐し始め、欧米が対抗的にドンバス地域及びロシアへの制裁を決定、ウクライナが非常事態宣言するところまでウクライナ危機がエスカレートしてきた。
トルコは2月3日にエルドアン大統領がウクライナを訪問、経済協力のほかにトルコ製の軍事ドローンのウクライナにおけるライセンス生産で合意する一方、2月23日にはプーチン大統領と電話会談を行う等、ウクライナ危機への政治介入と調停者としての役割をアピールしているが、今のところは具体的な成果を得ていない。

ウクライナ情勢においては、米国がロシアとドイツを結ぶ天然ガス・パイプラインのノルドストリーム2を制裁対象としたが、EUのロシア産天然ガスへの依存度は40%前後とされており、ウクライナやトルコ等を経由した欧州への天然ガス供給もあることから、トルコとしてはロシア産天然ガスに対する欧米側の制裁やロシアによる対抗的な供給停止等による天然ガス価格高騰や原油価格高騰等への懸念と共に、NATO加盟国として欧米による制裁行動への参加強要による政治対立の発生等にも懸念が生じる状況にある。うまく立ち回れば米国やEUとの関係改善に役立つが、逆に孤立を招く可能性もあるところだ。
トルコ経由のロシア産天然ガス・パイプラインではトルコストリームが昨年1月8日に開通したばかりだが、同パイプライン2本のうち1本はトルコを経由してブルガリア、セルビア、ハンガリーへつながっている。またこのほかにもブルーストリームがトルコ向けのパイプラインとして活用されている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月19日早朝に2月17日夜安値を割り込んだために2月8日午前高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして22日夜から24日夜にかけての間への下落を想定した。
2月22日夜に8.27円まで急落したところから23日昼に8.39円までいったん戻し、その後に8.30円近辺へ失速しているため、現状は2月22日夜安値を直近のサイクルボトム、23日昼高値を同サイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしているところと思われる。ボトム形成期は25日夜から3月1日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとみる。強気転換には8.36円を超えて23日昼高値に迫る必要がありそうだ。

60分足の一目均衡表では、2月23日昼への反騰では先行スパンの下限が抵抗となって失速に転じており、2月18日以降の先行スパン転落状態が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパンが一時的に好転しても先行スパンを上抜き返せないうちはその後に悪化するところから下げ再開とみる。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は2月23日昼の上昇時に60ポイントまで戻してから再び50ポイント割れへ失速してるので50ポイント以下での推移中は30ポイント割れを目指す流れとみる。強気転換は55ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持する上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)2月22日夜安値8.27円を下値支持線、8.35円を上値抵線とする。
(2)8.35円以下での推移中は下向きとし、8.30円割れからは2月22日夜安値8.27円試しとし、底割れからは8.20円台前半(8.25円から8.20)を目指す流れとみる。8.25円以下は反発注意とするが8.32円以下での推移が続く場合は25日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.35円を超える場合は8.37円台への反発を想定するが、その後に8.34円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

2月24日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会)議事録
 20:30 週次 外貨準備高 2/18時点 グロス (2/11時点 751.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2/18時点 ネット (2/11時点 158.2億ドル)
2月25日
 16:00 2月 経済信頼感指数 (1月 100.8)
2月28日
 16:00 10-12月期GDP 前期比 (7-9月 2.7%)
 16:00 10-12月期GDP 前年同期比 (7-9月 7.4%)
 16:00 1月 貿易収支 (12月 -67.9億ドル)  

注:ポイント要約は編集部

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