トルコリラ円見通し ウクライナ情勢緊張でのドル高リラ安に円高も重なる(22/2/22)

トルコリラ円の2月21日は8.46円から8.36円の取引レンジ、22日早朝終値は8.36円で先週末終値の8.41円からは0.05円の円高リラ安となった。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢緊張でのドル高リラ安に円高も重なる(22/2/22)

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢緊張でのドル高リラ安に円高も重なる

〇トルコリラ円、2/21深夜に2/21早朝安値8.39を割り込み、2/22午前序盤に8.35まで下げる
〇ウクライナ情勢の緊張感が増し円高が進行、円高に圧迫されトルコリラ円は下落に転じる
〇対ドル、ウクライナ情勢緊張でドル高リラ安の動きが加速、2/22午前序盤に一時13.72へ下落
〇昨日発表のトルコ1月海外観光客数、観光客入国数はパンデミック前の7割にとどまる
〇トルコにとって隣接地域での有事緊張であるウクライナ情勢、トルコリラへの圧迫感をもたらすか
〇8.42以下での推移中は下向きとし、8.35割れからは8.33から8.30を試すとみる
〇8.42超えからは8.45手前を試すとみるが、8.45手前では戻り売りにつかまりやすいとみてる

【概況】

トルコリラ円の2月21日は8.46円から8.36円の取引レンジ、22日早朝終値は8.36円で先週末終値の8.41円からは0.05円の円高リラ安となった。
ウクライナ情勢が一段と緊張感を増す中でドルストレートでのドル高とクロス円全般における円高が進行、ドル円も円高優勢で売られて22日未明には18日午前安値114.78円を割り込み、22日午前序盤には114.48円まで一段安したが、円高に圧迫されてトルコリラ円も21日昼過ぎの戻り高値で8.46円を付けたところから下落に転じて21日深夜には21日早朝安値8.39円を割り込み、22日午前序盤にドル円が114.50円を割り込んだところでは8.35円まで安値を切り下げている。

【ドル/トルコリラ動向 ウクライナ情勢緊張でリラも売られる】

ドル/トルコリラの2月21日は13.70リラから13.58リラの取引レンジ、22日早朝の終値は13.68リラで先週末終値の13.64リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
ウクライナ情勢の緊張感が増している中でドルストレートではドル高感が強まっており、トルコリラもウクライナ近隣として地政学的リスクも高いと受け止められてドル高リラ安の動きが加速しつつある印象だ。
1月18日以降は13.60リラ台では買い戻しが入ってきたが、ロシアがドンバス地方で親ロ派勢力が実行支配する2つの人民共和国の独立を承認、平和維持のためにロシア軍が進駐し、欧米が経済制裁発動へ動いたことで22日未明から緊張感が一段と強まっており、22日午前序盤には一時13.72リラへ下落しており、13.60リラ台での下値支持帯から転落し始めた印象だ。ベンダーによっては13.76リラの安値もみられた。

【トルコの観光客入国数はまだパンデミック前の7割】

トルコ文化観光庁が2月21日夕刻に発表した1月の海外観光客数は128万1666人で前年同月比は151.4%の増加だったが、パンデミック発生前の2020年1月の178万7435人と比較すれば71%(29%減)にとどまっている。

トルコリラ円見通し ウクライナ情勢緊張でのドル高リラ安に円高も重なる

トルコの観光最盛期は6月から10月までであり、海外観光客としてはリラ安の恩恵で買い物はかなり割安感を伴い集客には都合がよいところであり、感染拡大の波が繰り返されても世界の主流がウィズコロナ政策による規制緩和に動いているため、ウクライナ情勢のさらなる緊張が無ければ初夏からの観光収入も期待できるところだ。しかし、2021年の通年では入国先の1位がロシアの469.4万人で19%、2位がドイツの308.5万人で12.5%、3位がウクライナの206万人で8.3%であり、有事緊張によるロシアとウクライナからの入国が減るようだと打撃になる。

【ウクライナ情勢によるトルコリラへの圧迫感】

ウクライナ情勢が一段と緊張感を増す中、2月21日深夜から22日午前序盤にかけて、ダウ先物や日経平均が大幅下落、米長期債利回りが一段と低下、ロシア制裁に絡んで欧州への天然ガス供給が遮断される懸念でNY原油が反騰、有事の金買いでゴールドが一段高となっている。

ウクライナ東部で親ロ派勢力が実効支配しているドンバス地方の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立をロシアが承認、プーチン大統領は平和維持活動を目的とした同地域へのロシア軍進駐を指示した。ウクライナと国境線確立とロシア正規軍による防衛陣地=基地建設へ向かう可能性が高まっている。先週末からすでに2014年のウクライナ騒乱とロシアによるクリミア併合後に締結されたミンスク合意による停戦協定破りの砲撃や爆発等が相次いでいる。2014年のロシア軍クリミア侵攻ではウクライナ海軍司令官が投降して大規模な戦闘は回避されたものの、今回のドンバス地方へのロシア軍進駐によりウクライナ正規軍との激突があるのか、その際にNATO側が軍事援助ないしは間接的な参戦となるのか注目される。またウクライナを通過する欧州向けロシア天然ガスのパイプラインの稼働やドイツへの供給等が停止するのかどうかによりエネルギー価格の高騰が一段と進む可能性もある。

トルコにとっては隣接地域での有事緊張であること、ウクライナに対しては軍事ドローン供給等を行っていること、観光業への影響、原油価格高騰によるトルコ国内のインフレが一段と加速する懸念等、取り巻く状況はトルコ経済とトルコリラへの圧迫感をもたらすものだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は欧米とロシアにトルコも加えた協議を提唱しているため、トルコのエルドアン大統領としては外交的なプレゼンスをアピールする好機になる可能性もあるが、立ち回りに失敗すると米国との従来からの対立関係の悪化、ロシアとの関係も悪化しかねないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月17日夜安値でサイクルボトムを付けたとしたが底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。19日早朝への下落で17日夜安値を割り込んために現状は18日午前高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしていると思われる。ボトム形成期は22日夜から24日夜にかけての間と想定されるのでさらに一段安警戒とみる。強気転換には8.42円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、2月18日午後に先行スパンから転落し、その後は遅行スパンの悪化と先行スパンからの転落状態が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からはいったん戻りを試すとみるがその際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいとみる。

60分足の相対力指数は2月22日朝に30ポイントを割り込んだ。その後の戻りも鈍いため40ポイント以下での推移か一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.35円を下値支持線、8.42円を上値抵抗線とする。
(2)8.42円以下での推移中は下向きとし、8.35円割れからは8.30円台序盤(8.33円から8.30円)を試すとみる。8.32円以下は反発注意とするが、8.41円以下での推移なら23日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.42円超えからは8.45円手前を試すとみるが、8.45円手前では戻り売りにつかまりやすいとみてその後に8.40円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

2月22日
 16:00 2月 製造業景況感 (1月 109.5)
 16:00 2月 設備稼働率 (1月 77.6%)
2月24日
 20:00 トルコ中銀MPC(金融政策委員会)議事録
 20:30 週次 外貨準備高 2/18時点 グロス (2/11時点 751.2億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2/18時点 ネット (2/11時点 158.2億ドル)
2月25日
 16:00 2月 経済信頼感指数 (1月 100.8)
2月28日
 16:00 10-12月期GDP 前期比 (7-9月 2.7%)
 16:00 10-12月期GDP 前年同期比 (7-9月 7.4%)
 16:00 1月 貿易収支 (12月 -67.9億ドル)  


注:ポイント要約は編集部

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