ドル円見通し ウクライナ情勢が一段と緊張でリスク回避の円高が加速(22/2/22)

2月22日未明に2月18日午前安値114.78円を割り込んで2月10日夜高値116.33円以降の安値を更新、22日朝には114.48円まで一段安した。

ドル円見通し ウクライナ情勢が一段と緊張でリスク回避の円高が加速(22/2/22)

ドル円見通し ウクライナ情勢が一段と緊張でリスク回避の円高が加速

〇ドル円、2/22未明に2/18安値114.78を割り込み、2/22朝に114.48まで一段安
〇ロシア、ウクライナ東部の2地域の独立を承認、ウクライナ情勢の緊張感が一段と高まる
〇2/21は米国市場休場の中、ダウ先物急落、米長期債利回り低下、原油・ゴールドが急伸
〇ドル円、ウクライナ情勢の更なる緊張により円高加速の場合、11/30安値以降の支持線を試すか
〇115.00以下での推移中は下向きとし、114.50以下での推移中は114.14試しへ向かうとみる
〇114.85から115.00にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすく、115円超えからは反騰入りとみる

【概況】

2月21日夜、ウクライナ東部で親ロ派勢力が実効支配しているドンバス地方の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」がロシアに対して独立承認を要請、プーチン大統領はこれらの独立を認める法令に署名し、平和維持活動を目的とした同地域へのロシア軍進駐を指示した。ロシア下院は2月22日にロシアと両人民共和国間の軍事協力と国境保護に関する合意を審議、大統領が署名する模様。欧米はこの動きを非難、ロシア制裁へと動き始めた。
ドル円はこれらの動きを見て2月22日未明に2月18日午前安値114.78円を割り込んで2月10日夜高値116.33円以降の安値を更新、22日朝には114.48円まで一段安した。

【ダウ先物急落、米長期債利回り低下、原油とゴールドが急伸】

2月21日は米国市場が休場だったが、ウクライナ情勢が一段と緊張感を高めたことによりCMEダウ先物はダウ比で500ドル安を超える急落、米10年債利回りは休場前の1.92%から22日朝には1.86%へ低下、日経平均は前日比500円安を超える下落で開始している。
NY原油期近は先週末終値の91.07ドルから22日早朝高値で94.05ドルまで急伸、ゴールド(ドル建てスポット)は1914ドルへ上昇して先週末高値を更新、昨年8月安値1680.23ドル以降の高値を更新している。
原油相場についてはロシア制裁の内容次第だが、欧州へのロシア産天然ガス供給がストップするか大幅に削減される場合はエネルギー市場全般の大混乱が発生して100ドルを超えていくことも考えられるが、北米シェールオイルの大増産による逆オイルショックで暴落する前の高値である2013年の112.24ドル、リーマンショック後の大上昇で付けた2010年5月の114.83ドル等を試して行く可能性も考えられる。

ゴールドは2020年8月高値2074.59ドルが史上最高値であり、有事の金買いで2000ドル台を目指す可能性がある一方、2020年のパンデミックショック発生時やリーマンショック時には株暴落の影響による換金売りで株安と同調した経緯もある。また軍事衝突緊張感が当初にピークを見せればその後は事態収拾への動きとして下落に転じるケースも多いが、しばらくは今回のウクライナ情勢の落ち着きどころが見えない限りは株安債券高、ドル高、クロス円全般の円高、原油高、ゴールド高、国際商品が総じて上昇する可能性が考えられる。

【11月30日安値以降の支持線を試す】

2月10日高値で116.33円を付けたものの1月4日高値116.34円に一歩届かずに下落したことにより両高値によるダブルトップ形成の可能性が浮上していたが、115円割れから続落に入っていることでダブルトップ感が強まっている。
また昨年11月30日安値112.52円から今年1月24日安値113.46円へと底上げしてきた下値支持線が114円近辺に来ており、昨年1月6日底を起点とした大上昇の下値支持線を昨年1月6日安値と9月15日安値を結ぶラインとすれば113.50円近辺に来ており、ウクライナ情勢の緊張エスカレートによる円高が加速する場合にはこれらの下値支持線を割り込み、昨年1月底を起点とした大上昇に一服感が出てやや大きめの調整安につかまる可能性も考えられる。

昨年1月底以降における中勢レベルの調整安としては昨年3月31日高値から4月23日安値までの下げ幅3.50円、昨年7月2日高値から8月4日安値への下げ幅2.94円がある。今年1月4日高値から1月24日安値への下げ幅は2.88円にとどまったが、1月24日安値を割り込む場合には昨年4月への下落時並みとして112.84円、昨年11月30日安値112.52円等へと下値目途が切り下がってゆく可能性もあるところと注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月15日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして17日夕から21日夜にかけての間への下落を想定していたが、2月18日午前安値からいったん115円台序盤へ戻してから一段安しているため、現状は2月18日午前高値を直近のサイクルトップとして新たな弱気サイクル入りしているところと思われる。ボトム形成期は23日午前から25日午前にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとし、強気転換には115円台を回復する上昇が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では2月19日早朝への下落で遅行スパンが再び悪化、先行スパンからの転落は17日午後から続いている。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは反騰入りとみて高値試し優先とするが、その際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいと思われ、2月10日夜以降の下落基調から脱却するには先行スパンを上抜く上昇が必要と思われる。

60分足の相対力指数は2月22日朝に20ポイント台へ低下しているので目先は突っ込み警戒感も出やすいところだが、40ポイント台までの戻りにとどまるうちはもう一段安余地ありとみる。一時的に戻してから一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰入り注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月2日夜安値114.14円を下値支持線、115.00円を上値抵抗線とする。
(2)115.00円以下での推移中は下向きとし、114.50円以下での推移中は2月2日夜安値試しへ向かうとみる。2月2日夜安値を割り込む場合は113円台中盤(113.70円から113.30円)を目指す下落へ発展する可能性もあるとみる。
(3)114.85円から115.00円にかけてのゾーンは戻り売りにつかまりやすいとみる。115円超えからは反騰入りとみて2月18日午前高値115.29円を試すとみるが、115円台序盤へ戻してもその後に114.75円を割り込むところからは下落再開とみる。

【当面の主な予定】

2/22(火)
18:00 (独) 2月 IFO企業景況感指数 (1月 95.7、予想 96.5)
19:45 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
23:00 (米) 12月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (11月 1.1%、予想 1.0%)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (11月 18.3%、予想 18.0%)
23:45 (米) 2月 製造業PMI速報値 (1月 55.5、予想 56.0)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI速報値 (1月 51.2、予想 53.0)
24:00 (米) 2月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (1月 113.8、予想 110.0)
24:00 (米) 2月 リッチモンド連銀製造業指数 (1月 8、予想 10)
27:00 (米) 財務省2年債入札
29:30 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、討論会参加

2/23(水)
休場、日本
09:30 (豪) 10-12月期 賃金指数 前期比 (7-9月 0.6%、予想 0.7%)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.75%、予想 1.00%)
16:00 (独) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -6.7、予想 -6.3)
18:30 (英) 英中銀ベイリー総裁、ブロードベント副総裁、ハスケル委員、テンレイロ委員の議会証言
19:00 (欧) 1月 HICP消費者物価指数改定値 前年同月比 (速報 5.1%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 1月 HICP消費者物価コア指数改定値 前年同月比 (速報 2.3%、予想 2.3%)
26:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
27:00 (米) 財務省2年物変動利付債、5年債入札


注:ポイント要約は編集部

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