ドル円、ウクライナ情勢に一喜一憂。祝日明けの米国勢の動きに要警戒
〇ドル円、ロシア軍がウクライナの工作員を殺害したとの報道に米国時間に114.75まで反落
〇(その後ロシアはウクライナの親ロシア2地域の一方的独立承認を発表)
〇ユーロドル米露首脳会談開催報道に1.1388まで急伸後1.1309まで急反落
〇独連銀22年1Qのドイツ経済リセッション入りとの見込みを公表
〇地政学リスクが高まる場合「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」が並走ドル円の下値限られるか
〇本日の予想レンジ:114.50ー115.50
海外時間のレビュー
週明け21日(月)のドル円相場は方向感に欠ける展開。@「マクロン仏大統領がバイデン米大統領とプーチン露大統領の首脳会談を提案し両者が原則合意した」との正式発表や、A上記@を背景とした地政学的リスクの後退が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値115.13まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B株式市場の軟調推移(リスク回避の円買い圧力)や、C「ロシア軍がウクライナからの越境を試みた工作員を殺害した」との一部報道、D上記Cを背景とした地政学的リスクの再燃が重石となり、米国時間午後にかけて、安値114.75まで反落しました。米国祝日(プレジデンツデー)で米株・米債共に休場となる中、動意に乏しく、本稿執筆時点(日本時間2/22午前5時00分現在)では、114.80前後で推移しております。
週明け21日(月)のユーロドル相場は上昇後に急反落。@「マクロン仏大統領がバイデン米大統領とプーチン露大統領の首脳会談を提案し両者が原則合意した」との正式発表や、A上記@を背景とした地政学的リスクの後退、Bユーロ圏2月総合PMI速報値(結果55.8、予想52.7、前回52.3)の力強い結果(5カ月ぶり高水準)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.1388まで急伸しました。しかし、心理的節目1.1400をバックに伸び悩むと、C「ロシア軍がウクライナからの越境を試みた工作員を殺害した」との一部報道や、D上記Cを背景とした地政学的リスクの再燃、Eドイツ連銀による「2022年1ー3月期のドイツ経済はマイナス成長となり、定義上のリセッション入りとなる見込み」との見解発表が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1309まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間2/22午前5時00分現在)では、1.1318前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は米国勢が休場となる中、心理的節目115.00を挟んで方向感に欠ける値動きとなりました。ローソク足近辺に主要チャートポイント(一目均衡表基準線や雲上限、21日移動平均線など)が密集するなど、市場参加者の気迷いムードが確認されます(ウクライナ情勢に一喜一憂する中、ロング・ショート共にポジションを傾けづらい状態)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(ボウマンFRB理事は昨日、「3月FOMCでは25bpまたは50bpの利上げが議論される可能性あり」と発言)や、A日銀による金融緩和スタンスの明確化、B上記@Aを背景とした日米金融政策格差と、Cそれに伴う日米名目金利差拡大の思惑など、ドル高・円安を連想させる材料が揃っています。
目先はウクライナ情勢を巡るヘッドラインに一喜一憂する展開が見込まれますが、地政学的リスクが高まる局面では、「リスク回避の円買い」と「有事のドル買い」が並走するため、ドル円の下値余地は限られると予想されます。仮にロシア軍によるウクライナ侵攻が実現する場合(地政学的リスクが極度に高まる場合)には、ロシア企業に対する米ドルアクセス遮断制裁措置(ドル高要因)や、資源価格(原油や天然ガスなど)高騰に伴う世界的なインフレ懸念(米FRBによる大幅利上げ観測→米金利上昇→米ドル買い)を通じて、ドル円にはむしろ上昇圧力が加わる展開も想定されます。
一方、地政学的リスクが後退する局面では、リスク選好の円売りと、米債売りに伴う米金利上昇・米ドル高が重なることから、こちらもドル円には上昇圧力が加わるものと推察されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(ダウンサイドリスクよりもアップサイドリスクに要注意)。尚、本日海外時間は米2月製造業/非製造業PMI速報値や米2月リッチモンド連銀製造業指数、米2月消費者信頼感指数、米2年債入札、アトランタ連銀ボスティック総裁発言などに注目が集まる他、米祝日明けの米株市場、米債市場の動向にも注意が必要でしょう。
本日の予想レンジ:114.50ー115.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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