ドル円見通し 株安の一方で米長期債利回り上昇だが、リスクオフ優勢で安値を試す流れ(22/2/24)

ドル円は、2月18日午前安値114.78円を割り込み、22日午前には114.48円へと一段安した。

ドル円見通し 株安の一方で米長期債利回り上昇だが、リスクオフ優勢で安値を試す流れ(22/2/24)

株安の一方で米長期債利回り上昇だが、リスクオフ優勢で安値を試す流れ

〇ドル円、リスク回避による円高と米長期債利回り上昇による下支えが交錯し22日夜115.23まで戻す
〇24日午前には22日深夜以降の安値切り下げ、もみ合いから下離れし安値試しへ向かう
〇ウクライナ情勢がインフレ進行強め、米連銀の金融引き締め姿勢も続くとの見方から債権売られる
〇NY原油は22日に96.00ドルへ一時的に急伸、パンデミック初期の暴落以降の最高値更新
〇114.70割れからは22日午前安値114.48試し、底割れからは114円前後への下落を想定
〇22日深夜高値115.23超えは22日午前からのリバウンド継続とみて115.50手前を試すとみる

【概況】

ドル円は2月21日夜にウクライナ東部で親ロ派勢力が実効支配して独立を宣言した2つの人民共和国をロシアが承認したことからウクライナ情勢の緊張感が一段とエスカレートしたとして2月18日午前安値114.78円を割り込み、22日午前には114.48円へと一段安した。
有事リスクを背景にNYダウが大幅続落してリスク回避感が強まる中でドル円も売られたのだが、米長期債利回りは先週末までは株売り債券買いにより低下していたものの米連銀による金融引き締め姿勢は続くとして22日、23日と連騰で戻しており、ドル円はリスク回避による円高と米長期債利回り上昇による下支えが交錯する形の中で22日夜に115.23円までいったん戻した。その後は115円を挟んだ揉み合いとなっていたが、24日午前序盤は22日深夜以降の安値を切り下げてきており、揉み合いから下放れて安値試しへ向かい始めている印象だ。

【NYダウ大幅続落、米長期債利回りは連騰で上昇】

2月23日のNYダウは前日比464.85ドル安と下落したが、2月16日から5日間の続落となり安値で33084.90ドルを付けて1月24日安値33150.33ドルを割り込み1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の安値を更新した。2月10日から14日までの3日間で千ドルを超える下落となり、15日に反発したものの再び続落に入っており、1月5日からの下落は二段下げに、2月17日からは4日連続の日足陰線での下落となった。ナスダック総合指数も2月23日は344.03ポイント安と下落、1月24日安値を割り込んで11月22日の史上最高値以降の安値を更新している。

ウクライナ情勢緊張によるリスク回避なら株売り債券買いで米長期債利回りが低下してもよいところだが、米長期債利回りは22日から反騰に転じている。2月23日の米10年債利回りは前日比0.05%上昇の1.99%となり22日序盤の1.84%からの切り返しを続けて2月16日に付けた昨年来最高値2.06%へ迫ってきている。2年債利回りは0.05%上昇の1.61%を付けて2月10日の1.64%へ迫っている。
ウクライナ情勢の緊張はさらに続くと思われるが、その一方でウクライナ情勢がさらにインフレ進行感を強めることになるため米連銀等による金融引き締め姿勢の強化も続くとの見方から債券も売られ始めている印象だ。
米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は2月23日の講演でウクライナ情勢については不透明感をもたらしているものの「我々の利上げ計画を中断させる程ではない」と語った。

【原油相場の高止まり】

2月23日にはバイデン米政権がロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプラインのノルドストリーム2を制裁対象としたが、ドイツ政府もすでに同パイプラインの稼働承認をしないとしている。現時点ではノルドストリーム1やその他の欧州向けパイプラインは稼働しているものの、欧米の制裁が一段と厳しくなる場合やロシアが欧米への対抗手段としてガス供給を停止させるような事態、あるいは軍事衝突によるパイプライン網への攻撃等による供給不安が続いている。

NY原油は2月22日に96.00ドルへ一時的に急伸して2020年4月のパンデミック初期の暴落以降の最高値を更新して100ドル台に迫った状況にある。EUは天然ガス供給の凡そ4割をロシア産に依存している。ドイツは天然ガス輸入量の55%、原油の34%、石炭の48%がロシア産であり、仮に既存のパイプライン網への供給停止となれば世界の天然ガス需給と代替先の原油需給がひっ迫して価格高騰を招き、世界規模で進行しているインフレがさらに深刻化する可能性がある。またウクライナは半導体原料や穀物の輸出国であり、ロシアと戦争状態に陥る場合は穀物価格や各種資源価格の高騰も招く可能性がある。こうした状況を踏まえれば、米連銀や英中銀、ECB等は金融引き締め姿勢を緩めるわけにもいかない。それが2月22日と23日の米長期債利回り上昇に反映していると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月18日午前高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしていたが、22日午前安値から22日深夜へいったん0.70円以上の反発を入れたため、22日午前安値で直近のサイクルボトムを付けたと思われる。このため底割れ回避のうちは25日夜にかけての上昇余地が残るものの、24日午前序盤へジリ安の推移に入っているため既に22日深夜高値でサイクルトップを付けている可能性が高そうだ。
114.70円以上での推移中は115.10円超えから上昇再開に入る可能性を残すが、114.70円割れからは22日午前安値試しとし、底割れからは弱気サイクル入りとして25日午前から3月1日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月22日深夜への上昇で遅行スパンがいったん好転したものの24日午前序盤への下落で再び悪化しており、先行スパンからも転落しつつある。このため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、22日深夜高値を超えるところからは上昇再開として遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2月22日深夜への上昇で70ポイントに迫ったところから失速して24日午前序盤には50ポイントを割り込んでいるので戻り一巡から下落再開に入っている印象だ。60ポイントを超えないうちは30ポイント割れを試す可能性ありとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月22日午前安値114.48円を下値支持線、2月22日深夜高値115.23円を上値抵抗線とする。
(2)114.70円割れからは22日午前安値試しとし、底割れからは114円前後への下落を想定する。114円以下は反発注意とするが、114.70円以下での推移が続く場合及び直前安値からの戻りが0.50円以下での推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)115.23円を超える場合は22日午前からのリバウンドの継続とみて115.50円手前を試すとみるが、115.50円手前は戻り売りにつかまりやすいとみてその後に115.20円を割り込むところからは下げ再開と考える。

【当面の主な予定】

2/24(木)
22:15 (英) ベイリー英中銀総裁、英中銀会議で開会挨拶
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 24.8万件、予想 23.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 159.3万人、予想 158.0万人)
22:30 (米) 10-12月期 GDP改定値 前期比年率 (速報 6.9%、予想 7.0%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費改定値 前期比年率 (速報 3.3%、予想 3.4%)
22:30 (米) 10-12月期 コアPCE改定値 前期比年率 (速報 4.9%、予想 4.9%)
23:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演

24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (12月 81.1万件、予想 80.3万件)
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 前月比 (12月 11.9%、予想 -1.0%)
25:00 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (英) ブロードベント英中銀副総裁、質疑応答
25:10 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (英) ピル英中銀理事、講演
27:00 (米) 財務省7年債入札

2/25(金)
06:45 (NZ) 10-12月期 小売売上高 前期比 (7-9月 -8.1%、予想 6.1%)
08:30 (日) 2月 東京区部消費者物価指数・生鮮食品除く 前年同月比 (1月 0.2%、予想 0.4%)
09:01 (英) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -19、予想 -17)
14:00 (日) 12月 景気先行指数CI改定値 (速報 104.3)
14:00 (日) 12月 景気一致指数CI改定値 (速報 92.6)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 -0.7%、予想 -0.7%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 1.4%、予想 1.4%)
16:00 (独) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.1%、予想 1.6%)

16:00 (独) 1月 輸入物価指数 前年同月比 (12月 24.0%、予想 23.8%)
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 112.7、予想 113.0)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感確定値 (速報 -8.8)
20:15 (欧) ラガルドECB総裁、ユーロ圏財務相会合後会見
22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.3%、予想 -0.3%)
22:30 (米) 1月 個人消費支出(PCE) 前月比 (12月 -0.6%、予想 1.5%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 5.8%、予想 6.0%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前月比 (12月 0.5%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (12月 4.9%、予想 5.2%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 -0.9%、予想 0.9%)

22:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 0.4%、予想 0.4%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 -3.8%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 -6.6%)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 61.7、予想 61.7)

注:ポイント要約は編集部

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