トルコリラ円見通し トルコ中銀は予想通りに政策金利を据え置く
〇昨日のトルコリラ円、夜8.43まで下げるが深夜以降持ち直し、2/18午前時点で8.49近辺まで戻す
〇対ドル、2/17は当面のリラ売り一巡感でやや買い戻し優勢の動き、2/18午前には13.52台まで戻す
〇トルコ中銀、予想通りに政策金利14%で据え置く、市場の反応は鈍い
〇8.51超えからは、8.53前後への上昇を想定する
〇8.46割れからは下げ再開とみて、8.43前後への下落を想定する
【概況】
トルコリラ円の2月17日は8.49円から8.43円の取引レンジ、18日早朝の終値は8.46円で前日終値の8.48円からは0.02円の円高リラ安となた。
2月17日夜のトルコ中銀金融政策決定会合では市場予想通りに政策金利が据え置かれたが、市場の反応は鈍く、日中からのドル円の下落に圧される展開で発表後も軟調な推移を続けて8.43円まで安値を切り下げた。しかし深夜以降は目先の材料消化と、ドル/トルコリラで深夜からドル安リラ高となったことで持ち直し、18日午前時点では8.49円近辺まで戻している。2月3日安値8.40円から2月11日高値8.63円までの上昇分をほぼ解消するところまで下げたことでやや下落に一服感もみられる。
【対ドル、17日はリラ売り一巡感でやや買い戻し優勢の動き】
ドル/トルコリラの2月17日は13.63リラから13.56リラの取引レンジ、18日早朝の終値は13.57リラで前日終値の13.59リラからは0.02リラのドル安リラ高だった。
12月の暴落とその後の反騰と揺れ返しの下落が落ち着いからの1月18日以降では13.60リラ台では買われて底固さを見せるものの、高値ラインは1月13日の13.16リラ、1月20日の13.26リラ、2月1日の13.31リラ、2月11日の13.43リラと徐々に切り下がる展開となっている。
2月15日安値で13.68リラまで売られたところも買い戻されて確りし、16日も13.65リラまで売られたところから切り返したため、17日も当面のリラ売り一巡感でやや買い戻し優勢の動きとなった印象だ。18日午前には13.52リラ台まで戻している。
【トルコ中銀、予想通りに政策金利14%で据え置き】
トルコ中銀は2月17日の金融政策決定会合で政策金利の週間レポレートを14.00%で据え置いた。2会合連続の据え置きで、市場予想通りだった。
トルコ中銀はエルドアン大統領による「低金利がインフレを抑制する」との主張に沿い、利下げ反対派の副総裁らの相次ぐ解任を経ながら昨年9月から12月まで4会合連続の利下げを強行して週間レポレートを19%から14%まで引き下げてきた。高インフレの中での利下げ強行を嫌気してトルコリラは大暴落となり史上最安値を大幅に更新したが、この間にトルコの消費者物価上昇率は世界的なインフレ進行とリラ安が重なったことで9月の19.58%から今年1月には48.69%まで急上昇し、生産者物価は9月の43.96%から1月には93.53%まで上昇した。
政策金利と消費者物価上昇率の差による実質金利は8月時点でマイナスに転じ、1月時点ではマイナス34.69%まで拡大した。
リラ暴落阻止のためにエルドアン政権は12月20日にリラ預金の為替差損分を国家が補填するという奇策を打ち出したことで12月23日にかけてリラは一時的に急伸したものの長続きせずに失速し、年初からは乱高下一服によりトルコリラ円で8円台の持ち合い、ドル/トルコリラで13リラ台での持ち合いを続けている。
エルドアン政権はリラ預金の損失補填のほか、輸出企業のドル保有を中銀に預託する比率を高め、UAEなどとの通貨スワップ協定強化により為替市場介入で大幅減少していた外貨準備高の立て直しを図り、2月14日からは国民生活対策で食料品などの付加価値税を8%から1%へと大幅減税とするなどの方策をとってきた。しかし原油高騰やウクライナ情勢による有事リスクの高まり、ウィズコロナ政策下での景気回復によるサプライチェーン停滞での世界全体でのインフレ進行もあり、利下げ強行を続けられない状況に陥っている。
トルコ中銀は17日の声明で「最近の一連の政策決定の影響を見極めつつ今後の対応を決めていく」とした。1月から3月にかけては現状維持で様子を見るとの姿勢を12月の利下げ時点で表明しており、3月までは現状維持を続けそうだが、利下げを継続したいエルドアン大統領は17日にも「トルコは金利の束縛を断ち切る」と演説しており、高インフレが継続しても利上げはせずに利下げの機会をうかがう姿勢を保持しそうだ。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月11日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、15日夜安値へ一段安したところから0.05円以上を戻したために16日午前時点では15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日夜から18日夜にかけての間への上昇を想定した。
2月17日午前時点ではまだ上昇余地も残るとしたが、2月17日夜へ一段安したところでいったん弱気サイクル入りしたもののその後に8.50円まで戻しているため、17日夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りした思われる。高値形成期は16日朝高値を基準として19日朝から23日朝にかけの間と想定するが、戻りは短命の可能性もあるので8.46円割れからは弱気転換注意とし、8.43円割れからは新たな弱気サイクル入りとして22日夜から24日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、2月17日夜からの反騰で先行スパンを上抜き返しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、再び先行スパンから転落し始めるところからは下げ再開注意として遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月17日夜に30ポイントを割り込んだところからの切り返しで60ポイントに到達したので50ポイント以上での推移中は70ポイントに迫る可能性があるとみるが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.46円を下値支持線、8.51円を上値抵抗線とする。
(2)8.51円超えからは8.53円前後への上昇を想定する。8.53円以上は反落注意とみるが8.50円以上での推移が続く場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.46円割れからは下げ再開とみて8.43円前後への下落を想定する。8.43円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、下げ足が早まる場合は8.42円から8.40円にかけてのゾーンへ下値目途を引き下げる。また8.45円以下での推移なら週明けも安値試しを継続しやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月18日
16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 73.2)
2月21日
17:00 1月 観光客数 前年比 (12月 170.6%)
23:30 1月 中央政府債務 (12月 2兆7477億リラ)
2月22日
16:00 2月 製造業景況感 (1月 109.5)
16:00 2月 設備稼働率 (1月 77.6%)
注:ポイント要約は編集部
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