ドル円見通し ウクライナ情勢の緊張続き2月10日夜高値からは二段下げに(22/2/18)

2月10日夜高値からの下落は二段目に入った。

ドル円見通し ウクライナ情勢の緊張続き2月10日夜高値からは二段下げに(22/2/18)

ドル円見通し ウクライナ情勢の緊張続き2月10日夜高値からは二段下げに

〇ドル円、ウクライナ情勢の緊張から円高感、2/17夜115円割り込む、2/18午前序盤114.70台まで続落
〇NYダウ、年初以降で最大の下げ幅で下落、米長期債利回りが低下したこともドル売り圧力となる
〇ウクライナ情勢の緊張解けず、ロシア側と欧米側との駆け引きで市場の混乱続くか
〇1/4高値と2/10高値によるダブルトップ形成の可能性、上昇トレンドを維持できるか試されるところ
〇115.10以下での推移中は下向きとして、114.50前後試しを想定する
〇115.10超えを強気転換注意とし、115.25超えからは反騰入りとみて115.50台への上昇を想定する

【概況】

ドル円は2月17日昼過ぎにウクライナ東部で親ロ派勢力が実効支配するドンバス地方において砲撃があったとの報道から売られ、夜に入っても有事リスクが解消しないとして円高感が強まり、NYダウが大幅下落する一方で米長期債利回りが低下したことも売り圧力となり17日夜には115円を割り込んだ。18日午前序盤には114.70円台まで続落している。
米連銀による金融引き締め姿勢の強化を背景に2月10日夜高値で116.33円を付けて1月4日高値116.34円に迫ったところから下落基調に転じているが、12日早朝と14日夜のダブルボトムラインを割り込んだことで2月10日夜高値からの下落は二段目に入った。

【ウクライナ情勢の緊張解けず】

2月15日夜にウクライナ国境近辺に展開していたロシア軍の一部が演習終了により帰還し始めたとの報道からいったんは有事リスクが後退し始めたとして市場は楽観していたが、16日にはロシア軍の撤退は確認されないとされ、ベラルーシではロシア軍の活発な動きがみられ、ウクライナ東部にはロシア側の傭兵部隊がすでに侵入しているとの情報や、ウクライナ国防省へのサイバー攻撃があったとの報道から楽観が後退していた。
2月17日昼にはウクライナ東部に展開する親ロ派勢力の実効支配地域をウクライナ軍が砲撃したとの一報から緊張が走った。ウクライナ軍側は親ロ派勢力が攻撃したとして双方が非難の応酬をした。
夜に入るとロシアがウクライナへの侵攻意図はないと米国側に返答したもののウクライナがNATOに加盟すれば武力衝突を招くと警告した。

米国務省報道官はロシア政府が在ロシア米大使館のゴーマン次席公使を追放したと発表し、ブリンケン米国務長官は国連安保理事会の会合において「ロシア軍が数日中にウクライナに対する攻撃を開始する用意を整えている」と述べ、バイデン米大統領も記者団に対して数日以内にもロシア軍の侵攻が行われる可能性があるとし、ロシアが開戦の口実を得るために親ロ派勢力への破壊工作を自演する偽旗作戦を実行していると述べた。
2014年のキエフ騒乱から始まったウクライナ危機とロシアによるクリミアへの軍事侵攻も緊張の激化と緩和が繰り返されたが、今回もロシア側と欧米側との駆け引きが続き市場の混乱も続くと思われる。

【米長期債利回り低下、ダウは大幅下落、有事リスク買いで金が大幅高】

2月17日のNYダウは有事リスクへの懸念から前日比622.24ドル安と大幅下落したが、年初以降で最大の下げ幅となった。ナスダック総合指数も407.37ポイント安と大幅下落した。
株売り債券買いにより米長期金利は低下、指標の10年債利回りは前日比0.07%低下の1.97%、30年債利回りが0.05%低下の2.30%、2年債利回りも0.05%低下の1.47%と下げた。
株安によるリスク回避感と米長期債利回り低下がドル円の圧迫要因となった。
有事の際に変われるゴールドが大幅上昇して1900ドル台に到達、昨年8月底の1680.23ドル以降の高値を更新、円建ての国内金先物市場では先限が2020年8月7日に付けた史上最高値7032円に迫る7020円へ上昇している。

【2月17日発表の米経済指標は冴えない内容】

2月17日に発表された米経済指標は総じて冴えない内容だった。
米商務省による1月の住宅着工件数は年換算で前月比4.1%減の163.8万戸となり4か月振りに減少して市場予想の170万戸を下回った。先行指標となる着工許可件数は前月比0.7%増の189.9万戸で予想の176万戸を上回った。
米労働省によるが新規失業保険申請件数は2月12日までの週間で前週比2万3000件増の24万8000件となり市場予想の21万9000件を上回って4週ぶりの増加となった。失業保険受給者総数は2月5日までの週間で159万3000人となり前週比2万6000人減で市場予想の160万5000人を下回った。
フィラデルフィア連銀による2月の製造業景況指数は16.0となり1月の23.2から低下して市場予想の20.0を下回った。

ウクライナ情勢へと市場の関心が集中する中で経済指標への市場反応は鈍かったが、米連銀による金融引き締め強化姿勢を遮るものではなく、セントルイス連銀のブラード総裁は17日に「今年前半の3会合で合計1.0%の利上げを行うべき」との主張を繰り返し、年後半についてもインフレ動向を踏まえて利上げペースが早まる可能性もあるとしている。

【1月4日と2月10日の両高値によるダブルトップ形成の可能性】

1月4日高値116.34円に対して2月10日高値116.33円で迫ったところから失速している。115円を割り込んで60分足レベルでは二段下げの様相だが、2021年1月6日底からの上昇も1年を経過したところでのダブルトップ形成気配であり、昨年来の上昇トレンドを維持できるかどうか試されるところと思われる。
直近では昨年11月30日安値112.52円と今年1月24日安値113.46円を結ぶ底上げラインが下値支持線であり、このラインは現時点では114円台序盤に来ている。114円台序盤を試してから115.50円以上へ切り返せば支持線維持による上昇再開としてダブルトップ破りへ進む可能性が浮上するが、114円を割り込むような下落へ進む場合は支持線からの転落となるダブルトップ完成目安となる1月24日安値試しへ向かう可能性も出てくると注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、2月12日早朝と2月14日夜の115円試しとなった両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしていたが、17日午前時点では15日深夜高値を直近のサイクルトップとして弱気サイクル入りしたとして17日夕から21日夜にかけての間への下落を想定した。
2月18日午前も続落しているためまだ一段安余地ありとし、強気転換には115.25円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では2月17日早朝への下落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落したが、その後の続落により両スパンそろっての悪化が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。遅行スパン好転からは反騰入りとみて高値試し優先とするが、その際は先行スパンが上値抵抗帯となりやすいと思われ、2月10日夜以降の下落基調から脱却するには先行スパンを上抜く上昇が必要と思われる。

60分足の相対力指数は2月17日夜に20ポイント台へ低下し、その後も40ポイント以下での推移にとどまっているのでさらに一段安余地ありとみる。強気転換には50ポイントを超える必要があると思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.50円を下値支持線、115.25円を上値抵抗線とする。
(2)115.10円以下での推移中は下向きとして114.50円前後試しを想定する。下げ足が早まる場合は114円台序盤(114.30円から114.00円)へ下値目途を引き下げる。また115円以下での推移が続く場合及び直近の安値から0.50円以上の反騰とならないうちは週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)115.10円超えを強気転換注意とし、115.25円超えからは反騰入りとみて115.50円台への上昇を想定する。115.50円以上では戻り売りも出やすいとみるが、115.25円を超えてからも115.10円以上での推移なら週明けは高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/18(金)
ミュンヘン安全保障会議(民間主催、ダボス会議の安保版、米副大統領ら出席、2/20日まで)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -3.7%、予想 1.0%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 -0.9%、予想 8.7%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -3.6%、予想 1.2%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 -3.0%、予想 7.9%)
18:00 (欧) 12月 経常収支・季調済 (11月 236億ユーロ)
19:00 (欧) 12月 建設支出 前月比 (11月 -0.2%)
19:00 (欧) 12月 建設支出 前年同月比 (11月 0.5%)

24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数・年率換算 (12月 618万件、予想 610万件)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数 前月比 (12月 -4.6%、予想 -1.3%)
24:00 (米) 1月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (12月 0.8%、予想 0.2%)
24:00 (欧) 2月 消費者信頼感速報値 (1月 -8.5、予想 -8.0)



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