今晩のトルコ中銀金融政策決定会合控えて小動き
〇昨日のトルコリラ円は8.51から8.46の取引レンジ、17日早朝終値は8.48で前日終値と変わらず
〇16日は決め手を欠いての小動きにとどまったが戻り高値は切り下がり気味で上値の重い印象
〇対ドルでも日足チャートはほぼ横ばいだが高値ラインは徐々に切り下がっている状況
〇本日夜の金融政策決定会合、事前予想は政策金利14%で2会合連続の据え置きで一致
〇16日にエルドアン大統領がエネルギー価格高騰への対策として補助金を支給すると発表
〇8.52超えからは8.55前後への上昇、金融政策発表後に強気反応なら8.60に迫る上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の2月16日は8.51円から8.46円の取引レンジ、17日早朝の終値は8.48円で前日終値と変わらず。
1月3日以降は8.13円から9.00円の高安レンジ内での推移が続いており、12月の暴落と急反騰及びその後の揺れ返しの下落が激しかったために1月3日以降の日足チャートはほぼ横ばい程度の動きであり、1月後半からは8.60円超えを売られて8.40円前後へ下げたところは買い戻されてややレンジを縮小した形で持ち合いを継続している。
2月3日安値8.40円から2月11日未明高値8.61円への上昇から下落に転じてきたが、2月15日夜安値で8.45円まで安値を切り下げた後は新たな安値更新を回避している。2月16日は決め手に欠いての小動きにとどまったが、戻り高値は切り下がり気味で上値の重い印象だ。
【対ドルではおおむね横ばい推移】
ドル/トルコリラの2月16日は13.65リラから13.57リラの取引レンジ、17日早朝の終値は13.59リラで前日終値と変わらずだった。
12月の暴落と反騰、その後の揺れ返しが落ち着いた1月10日以降は13リラ台での持ち合いが続いており、日足チャートはほぼ横ばいの状態にある。
1月18日以降では13.60リラ台では買われて底固さを見せるものの、高値ラインは1月13日の13.16リラ、1月20日の13.26リラ、2月1日の13.31リラと徐々に切り下がっており、13.60リラ台の下値支持帯を維持できるかどうか試される状況にあるようだ。
ウクライナ情勢については2月15日夕刻のロシア軍一部撤退報道でいったん楽観的な受け止め方となったものの、その後に緊張継続感が再燃して一喜一憂が見られるが、トルコリラとしては2月17日の中銀金融政策決定会合まで動き難く反応も鈍い。
エルドアン大統領は2月3日にウクライナで首脳会談を行った直後にコロナ陽性となったが、状況は落ち着いた模様でウクライナとロシアを含めた3首脳会談による調停を模索していると言われているものの、先のウクライナ訪問では評判の高いトルコの軍事ドローンのウクライナにおけるライセンス生産合意によりロシアを刺激することになっており、NATO側としての有効な立ち回りとは言えない状況だ。
【今晩、トルコ中銀金融政策決定会合、2会合連続の据え置き予想】
2月17日20時にトルコ中銀の金融政策決定会合が開かれるが、市場の事前予想は政策金利が14%で2会合連続の据え置きとなることで一致している。トルコ中銀は9月から12月まで4会合連続で利下げを行い19%だったところから14%へと引き下げてきたが、高インフレ下での利下げ強行によりリラ暴落を招いた。
暴落対策として12月20日にはエルドアン大統領がリラ預金の為替差損補填政策を発表したことで一時的にリラが急伸したものの早々に失速し、年初からは様子見の展開が続いている。
トルコ中銀総裁及び財務相は1-3月期に様子を見る姿勢を強調、エルドアン大統領も1月時点では利下げ継続姿勢を示しつつも利下げを急がないとして当面の利下げ見送りを示唆した。
トルコ政府は高インフレによる国民生活の困窮が報じられる中、2月14日からは食料品の付加価値税(消費税)を従来の8%から1%へと大幅に引き下げた。16日にはエルドアン大統領がエネルギー価格高騰への対策として補助金を支給すると発表した。利下げ強行によるリラ安が世界的なインフレ進行の中においてもトルコのインフレ率の高騰を一層招いてきたことに対する批判への対応であり、来年の大統領選挙へ向けた支持層維持の政策と思われるが、利上げによる物価抑制政策をとれない中で難しい対応が続いている。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月11日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、15日夜安値へ一段安したところから0.05円以上を戻したために16日午前時点では15日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして16日夜から18日夜にかけての間への上昇を想定したが、戻りは短命の可能性もあるので8.47円割れを弱気転換注意とした。
2月17日早朝への下落で8.47円を割り込んだものの15日夜安値割れには至らずにいるのでまだ上昇再開余地ありとみるが、15日夜安値8.45円割れからは弱気サイクル入りとして18日夕から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、8.45円から8.52円近辺までのレンジで持ち合いとなっているために方向感に欠けるが、先行スパンを上抜き返せないか一時的に超えても再び転落する場合は遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパンを上抜き返して続伸に入る場合はさらに上昇継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月17日未明への下落時に40ポイントを割り込んだがその後に50ポイント台を回復しているのでまだ上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント前後を試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.45円を下値支持線、8.52円を上値抵抗線とする。
(2)8.52円超えからは8.55円前後への上昇を想定する。8.55円以上は反落注意とみるがトルコ中銀金融政策発表後に強気反応の場合は8.60円に迫る上昇を想定する。また8.50円以上での推移なら18日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.45円割れからは8.40円台序盤(8.42円から8.40円)を試すとみる。8.42円以下は反落注意圏とみるが、8.45円以下での推移なら18日の日中も安値試しを継続しやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月17日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%)
20:30 週次 外貨準備高・グロス 2/11時点 (2/4時点 757.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 2/11時点 (2/4時点 163.3億ドル)
2月18日
16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 73.2)
2月21日
17:00 1月 観光客数 前年比 (12月 170.6%)
23:30 1月 中央政府債務 (12月 2兆7477億リラ)
2月22日
16:00 2月 製造業景況感 (1月 109.5)
16:00 2月 設備稼働率 (1月 77.6%)
注:ポイント要約は編集部
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