トルコリラ円見通し 2月11日からの下落一服、17日の中銀金融政策決定会合迫る
〇トルコリラ円、8.50円台回復、2/11からの下落基調に一服感
〇対ドル、中銀会合控え13リラ台で慎重な推移
〇2/17トルコ中銀金融政策決定会合、政策金利は現状維持予想
〇会合後、利下げ継続姿勢強調する発言に注意
〇8.52超えからは8.55前後への上昇を想定する
〇8.45割れからは8.40台序盤(8.42から8.40)を試すとみる
【概況】
トルコリラ円の2月15日は8.50円から8.45円の取引レンジ、16日早朝の終値は8.48円で前日終値の8.48円からは変わらずだった。
1月3日以降は8.13円から9.00円の高安レンジ内での推移が続き、1月後半からは8.60円を超えるところでは戻り売りにつかまり8.40円前後へ下げたところは買い戻される騰落を繰り返しているが、2月3日安値8.40円を起点とした上昇が2月11日未明高値8.61円で一巡して下落基調に入り、2月15日もこの流れを継続して夜安値で8.45円まで安値を切り下げてきた。
2月15日夕刻にウクライナ国境に集結していたロシア軍の一部が演習終了を名目に帰還し始めたとの報道からドル円が上昇したところではトルコリラ円の反応は鈍かったが、22時半の米生産者物価上昇率の上ブレや独ロ首脳会談による対話継続姿勢の確認によりドル円が深夜にかけて上昇したためにトルコリラ円も8.50円に迫るところまで若干持ち直した。
2月16日午前序盤には8.50円台を一時的に回復しており、ひとまず2月11日未明高値からの下落基調に一服感が見られるところだが、2月17日のトルコ中銀金融政策決定会合も迫る中で積極的なリラ買い材料にかけて戻りも鈍いところか。
【対ドルでは2月8日からのジリ高基調続く】
ドル/トルコリラの2月15日は13.67リラから13.52リラの取引レンジ、16日早朝の終値は13.59リラで前日終値の13.58リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
1月13日以降は13.60リラ台では買い戻されるものの13.20リラ前後では戻り売りにつかまる展開が続いてきたが、2月3日以降は13.60リラ台での買い戻しは続いているものの高値は13.40リラ前後に抑えられて持ち合いのレンジが縮小している状況だ。
2月15日は夕刻に露軍一部撤退の報道からリスク選好感が回復してユーロやポンドが反発するなどドルストレートではドル安、クロス円全般が上昇してドル円も上昇だったが、ドル/トルコリラは逆にドル高リラ安反応での推移となり、18時台安値で13.67円へ下落した。13.60リラ台では買い戻されてきたこの間のリズムを踏襲して深夜以降はドル安リラ高へ揺れ返して下げ幅を削ったが、為替市場全般の動きに左右されるよりも2月17日に迫るトルコ中銀金融政策決定会合を見定めたいとした慎重な動きの範囲で推移している印象だ。
【2月17日のトルコ中銀金融政策決定会合は2会合連続で据え置き予想】
2月17日の20時にトルコ中銀の金融政策決定会合が開かれる。
昨年9月から12月にかけて4会合連続の利下げにより政策金利の週間レポレートは19%から14%へと大幅に引き下げられた。その一方でトルコの消費者物価指数の前年同月比は昨年9月の19.58%から今年1月の48.69%へと大上昇し、生産者物価指数は43.96%から93.53%まで跳ね上がった。
エルドアン大統領は「利下げがインフレを抑制する」と主張して利下げ反対派の中銀委員を解任しつつ中銀に利下げを強行させてきたが、世界規模のインフレ進行には勝てず、中銀は1月に政策金利を据え置き、大統領は利下げ政策の継続を強調しつつも追加利下げを急がない姿勢を示し、財務相は1-3月期は様子を見るとして内外投資家を落ち着かせてきた。
12月20日には大統領がリラ預金の為替差損補填政策を発表したことで一時的にリラ買いが殺到してトルコリラ円も急伸したが長続きはせずに失速した。その後も輸出企業のドル保有を中銀に預託させ、UAEなどとの通貨スワップ協定等による見かけの外貨準備高の増加に努め、ゴールドの預託やリラ預金の推奨キャンペーンなどを実施してきたが、トルコの独自政策だけでは物価高騰を抑えることも難しい。
2月17日は政策金利現状維持で波乱はないと思われるが、その後に利下げ政策の継続姿勢を強調するような大統領発言等が飛び出すようだと落ち着いた動きを見せているトルコリラ円、ドル/トルコリラもざわつくことになりかねない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月8日夕安値を直近のサイクルボトムとした上昇が2月11日夜高値8.61円でサイクルトップをつけて下落に転じてきた。安値形成期は2月8日夕安値を基準として11日夕から15日夕にかけての間と想定されたが、15日夜安値へ一段安したところから0.05円以上を戻しているので、15日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしたと思われる。高値形成期は16日夜から18日夜にかけての間と想定されるのでまだ上昇余地ありとするが、戻りは短命の可能性もあるので8.47円割れを弱気転換注意とし、15日夜安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして18日夕から22日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、2月15日夜安値からの反発で先行スパンの下限に到達している。先行スパンへ潜り込み戻り高値を切り上げ始めるところからは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンを突破しきれないうちは遅行スパンが悪化するところから下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月14日夜安値から15日夜安値への一段安に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せて50ポイント超えへ戻している。このため45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとして60ポイント台を目指すとみるが、45ポイント割れからは下げ再開を疑い、40ポイント割れからは30ポイント弱を目指す下落期に入るのではないかと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.45円を下値支持線、8.52円を上値抵線とする。
(2)8.52円超えからは8.55円前後への上昇を想定する。8.55円以上は反落注意とみるが8.50円以上での推移が続く場合は17日の日中も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.45円割れからは8.40円台序盤(8.42円から8.40円)を試すとみる。8.41円以下は反落注意とするが、8.45円以下での推移が続く場合は17日の日中も安値試しを継続しやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月17日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%)
20:30 週次 外貨準備高・グロス 2/11時点 (2/4時点 757.2億ドル)
20:30 週次 外貨準備高・ネット 2/11時点 (2/4時点 163.3億ドル)
2月18日
16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 73.2)
2月21日
17:00 1月 観光客数 前年比 (12月 170.6%)
23:30 1月 中央政府債務 (12月 2兆7477億リラ)
2月22日
16:00 2月 製造業景況感 (1月 109.5)
16:00 2月 設備稼働率 (1月 77.6%)
注:ポイント要約は編集部
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