トルコリラ週報:『不自然な膠着相場が継続中。来週はトルコ中銀会合に注目』(2/12朝)

トルコリラの対円相場は昨年後半にかけての大暴落のあと、不自然なほど狭いレンジ内での横ばい推移が続いております

トルコリラ週報:『不自然な膠着相場が継続中。来週はトルコ中銀会合に注目』(2/12朝)

『不自然な膠着相場が継続中。来週はトルコ中銀会合に注目』

〇今週のトルコ円、8.39-63レンジで方向感に欠ける値動き
〇テクニカルにも主要チャートポイントが実勢相場近辺に密集、レンジ相場の長期化意識される
〇トルコ政府による通貨安定策、投資家のトルコリラ離れが背景か
〇一方でFRBのタカ派転換、トルコの追加利下げ観測、ファンダメンタルの脆弱さ等売り材料多い
〇2/17のトルコ中銀による金融政策決定会合に注目集まる
〇引き続きトルコリラ円のレンジ相場からの下放れをメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.10ー8.90

今週のレビュー(2/7−2/11)

今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週を通して方向感に欠ける値動きとなりました。週初8.49円で寄り付いたトルコリラ円相場は、@エルドアン大統領夫妻が新型コロナウイルス・オミクロン株に感染したとの発表や、Aトルコ国内のディーゼル価格引き上げに伴う警戒感(インフレ高進→トルコ政府への求心力低下)を背景に、翌2/8にかけて、週間安値8.39円まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、週末にかけて持ち直し、2/11には週間高値8.63円まで上昇する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、B米FRBによるタカ派傾斜観測(米10年債利回りが約2年半ぶり高水準となる2.04%へ急上昇)や、C上記Bに伴う新興国から米国への資本流出懸念、D株式市場の軟調推移(リスク回避ムード)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/12午前3時15分現在)では8.59円前後で推移しております。

来週の見通し(2/14−2/18)

トルコリラの対円相場は昨年後半にかけての大暴落のあと、不自然なほど狭いレンジ内での横ばい推移が続いております(昨年末以降、8円台半ばを中心としたレンジ相場が約1ヵ月半に亘り継続中)。一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線やボリンジャーミッドバンドなどの主要チャートポイントが実勢相場近辺に密集している他、ボリンジャーバンドのバンド幅も急縮小する等、テクニカル的に見てレンジ相場の長期化が意識されます。こうした動きの背景には、(A)トルコ中銀がリラ安防止を目的に実施しているリラ建て預金の米ドルペッグ措置や、(B)外貨準備拡充を目的としたUAEとの通貨スワップ締結、(C)トルコ中銀による非公式な為替介入の継続に加えて、(D)市場参加者によるトルコ離れ(投資家によるトルコリラへの興味急低下→トルコリラを取り扱うマーケットメーカーの急減)などの影響が考えられます。

但し、@米FRBによるタカ派転換の明確化(2/4の米雇用統計と2/10の米消費者物価指数を受けてFRBによる3月50bp利上げ観測が再燃→米長期金利急上昇→新興国通貨への下押し圧力)や、Aトルコ中銀による追加利下げ観測(エルドアン大統領による追加利下げ圧力)、B上記@Aを背景とした米・トルコの金融政策格差、Cトルコ経済の先行き不透明感、Dトルコ中銀による介入余力の乏しさといった脆弱なファンダメンタルズを考慮すれば、足元の膠着相場は嵐の前の静けさと捉えることも出来そうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場のダウンサイドリスク(レンジ相場からの下放れ)をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/17日本時間20時00分に予定されているトルコ中銀による金融政策決定会合に注目が集まります。市場予想は政策金利(14.00%)の据え置きとなっていますが、サプライズ的な利下げ実施や、声明文や記者会見での将来的な利下げ示唆の可能性も否めないため、同イベント終了後にボラティリティ拡大に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(TRYJPY):8.10ー8.90

『不自然な膠着相場が継続中。来週はトルコ中銀会合に注目』

トルコ円日足

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