『約3ヵ月半ぶり高値圏へ急伸するも上値余地は限定的か』
〇今週の南ア円、約3ヵ月半ぶり高値となる7.73円まで急伸
〇プラチナ価格の堅調推移、計画停電の一時停止、南ア指標好調等がサポート
〇テクニカルは転換線や基準線、21日、90日、200日移動平均線上抜け、三役好転も実現
〇一方でファンダメンタルズはダウンサイドリスクを連想させる材料が揃う
〇南アランド円の反落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.80
今週のレビュー(2/7−2/11)
今週の南アフリカランド円(ZARJPY)相場は、週初7.44円で寄り付いた後、@国営電力会社エスコムによる計画停電再開(同社の石炭火力発電所の故障を理由に2/7より計画停電実施)が重石となり、週明け早々に週間安値7.39円まで下落しました。しかし、一目均衡表基準線に続落を阻まれると、A南アフリカの主要産品であるプラチナ価格の堅調推移や、B国営電力会社エスコムの計画停電の一時停止、C南ア1月SACCI景況感指数(結果94.1、予想92.5)の力強い結果、D南ア12月製造業生産(結果+2.3%、予想+0.9%、※前年比)の良好な結果、
E米1月消費者物価指数発表後の乱高下(材料出尽くしに伴うショートカバー)が支援材料となり、週後半にかけて、昨年10/26以来、約3ヵ月半ぶり高値となる7.73円まで急伸しました。しかし、F米FRBによるタカ派傾斜観測(米1月CPIが約40年ぶり伸び率を記録した他、セントルイス連銀ブラード総裁が7/1までに100bpの利上げを支持すると発言→米10年債利回りが約2年半ぶり高水準となる2.04%へ急上昇)や、G上記Fを背景としたリスクアセットへの下押し圧力が重石となると、週末にかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間2/12午前3時10分現在)では7.68円前後で推移しております。
来週の見通し(2/14−2/18)
南アフリカランド円相場は、11/26に記録した約9ヵ月ぶり安値6.93円をボトムに反発に転じると、今週後半(2/10)にかけて、約3ヵ月半ぶり高値となる7.73円(昨年10/26以来の高値圏)まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や90日移動平均線、200移動平均線といった主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のバンドウォークも実現するなど、テクニカル的に見て地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります(これまで強力なレジスタンスとして何度も跳ね返されてきた200日線の上抜けに成功したことで短期筋のみならず中長期筋のストップBUYを誘発)。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米FRBによる明確なタカ派転換(米雇用統計の力強い結果と米CPIの伸び率加速を受けて、米FRBによる大幅利上げ観測・早期QT着手観測が再浮上→米長期金利急上昇→リスクオフ再燃)や、A上記@を背景とした南アフリカから米国への資金流出圧力、B南ア経済の先行き不透明感(南アフリカの国営電力会社エスコムによる計画停電→南ア経済への下押し圧力)、C南ア中銀による追加利上げ観測の後退(南ア中銀は1月会合で利上げに踏み切るも、投票は全会一致ではなく4対1での決定。ハニャホ総裁も会合後の記者会見で25bp以上の利上げについては議論しなかったと言及)、D南アフリカ国内のインフレ加速(南アランドの実質金利低下→南アランド売り)など、南アランド円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が揃っています。
ここまでテクニカル主導で堅調推移を続けてきた南アランド円相場ですが、そろそろ下落に転じる恐れもあるため、来週は米長期金利や米主要株価指数の動きを睨みながらも、南アランド円相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/16に予定されている南ア1月消費者物価指数と、南ア12月小売売上高に注目が集まります。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.40ー7.80
南アフリカランド円
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