来週の為替相場見通し:『ドル円は直近高値圏へ急上昇。日米金融政策格差が支援材料』(2/12朝)

ドル円は1/24に記録した安値113.47をボトムに反発に転じると、週後半にかけて、週間高値116.35まで急伸しました。

来週の為替相場見通し:『ドル円は直近高値圏へ急上昇。日米金融政策格差が支援材料』(2/12朝)

『ドル円は直近高値圏へ急上昇。日米金融政策格差が支援材料』

〇今週のドル円、週後半にかけて、一時週間高値116.35まで急伸
〇株式市場の底堅い動き、日銀による「指し値オペ」発動、米1月CPIの伸び率加速等が背景
〇ユーロドル週後半にかけて、1.1496まで急伸後、CPI発表で週間安値1.1370まで急反落
〇ドル円、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いがドル買い強める
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇来週、NY連銀景況指数、小売売上高、PPI等米経済指標盛り沢山、アップサイドリスクを要警戒
〇来週の予想レンジ(USDJPY):115.00ー117.50、(EURUSD):1.1300−1.1500

今週のレビュー(2/7−2/11)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初115.22で寄り付いた後、早々に週間安値114.91まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@先週末金曜日に発表された米1月雇用統計が力強い結果を示したことや、Aそれに伴う米FRBのタカ派傾斜観測、B株式市場の底堅い動き(リスク選好の円売り)、Cアトランタ連銀ボスティック総裁による「25bpか50bpかはデータ次第」「できるだけ早期のバランスシート縮小開始を望む」といったタカ派的な発言、D日銀による2018年7月以来となる「指し値オペ」発動(日銀は10年国債で指し値オペを実施することを発表。水準は0.25%で買入金額は無制限)、

E米1月消費者物価指数(結果7.5%、予想7.3%、※前年比)の伸び率加速(エネルギーと食品を除くコア指数も予想を上回る結果)、F上記Eを背景とした米長期金利の急上昇(3月50bp利上げを織り込む形で米10年債利回りは2019年8月以来、約2年半ぶり高水準となる2.05%へ急上昇)が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値116.35まで急伸しました。もっとも、1/4に記録した約5年ぶり高値116.36をバックに伸び悩むと、週末にかけて反落し、本稿執筆時点(日本時間2/12午前3時20分現在)では、115.90前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1468で寄り付いた後、@オランダ中銀クノット総裁による「早ければ第4四半期中の利上げを見込んでいる」との発言や、AラガルドECB総裁による「インフレリスクは上向き」との発言、Bドイツ連銀ナーゲル総裁による「インフレ情勢に変化がなければ、金融政策の正常化を提唱する」との発言、C「ECB内でインフレ予測に不信を示す委員が増加」との一部報道、D上記@ABCを背景としたECBのタカ派傾斜観測(欧州債利回り上昇→ユーロ高)が支援材料となり、週後半にかけて、昨年11/10以来、約3ヵ月ぶり高値となる1.1496まで急伸しました。

しかし、心理的節目1.1500をバックに伸び悩むと、E米1月消費者物価指数の伸び率加速や、Fセントルイス連銀ブラード総裁による「7/1までに100bpの利上げが実施されることを望む」とのタカ派的な発言、G上記EFを背景とした米長期金利の急上昇(米10年債利回りは約2年半ぶり高水準となる2.05%へ急上昇)、Hウクライナを巡る地政学的リスクが重石となり、週末にかけて、週間安値1.1370まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間2/12午前3時20分現在)では、1.1395前後で推移しております。

来週の見通し(2/14−2/18)

<ドル円相場>
ドル円は1/24に記録した安値113.47をボトムに反発に転じると、週後半にかけて、週間高値116.35まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの強さを印象付けるチャート形状となりつつあります。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(2/4の米雇用統計および、2/10の米消費者物価指数を受けて、米長期金利が急上昇。

3月50bpの大幅利上げが織り込まれつつある他、緊急利上げの噂も台頭)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は先月の金融政策決定会合で金融緩和の長期化方針を強調した他、今週は2018年7月以来となる「指し値オペ」を発動)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大)など、ドル買い・円売りを連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/15に予定されている米2月ニューヨーク連銀製造業景況指数や米1月生産者物価指数、2/16の米1月小売売上高や米1月鉱工業生産、FOMC議事要旨、2/17の米2月フィラデルフィア連銀景況指数や米1月住宅着工件数、2/18の米1月中古住宅販売件数など米経済指標が盛り沢山となります。

米経済指標が力強い結果を示す場合や、米FOMC議事要旨でタカ派的な内容が示される場合などには、米FRBによる更なるタカ派傾斜を織り込む形で、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。米当局者発言も複数予定される中、来週はアップサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです(一部では緊急FOMC開催で大幅利上げが行われるとの噂も出てきており、米長期金利上昇→米ドル高の経路で、本年1/4に記録した約5年ぶり高値116.36を一気に上抜けるシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):115.00ー117.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は1/28に記録した約1年8ヵ月ぶり安値1.1122をボトムに反発に転じると、今週後半にかけて、昨年11/10以来、約3ヵ月ぶり高値となる1.1496まで急伸しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲上下限、21日移動平均線や90日移動平均線などの主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの好転(下落→上昇へのトレンド転換)を意識させるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、ECBによるタカ派転換が明確となる中、当面は金融政策スタンスの変化に伴うユーロショートの解消が進むと予想されます。事実、ラガルド総裁はこれまで多用してきた「インフレは一時的」「2022年中の利上げはない」といった発言を封印し、インフレの長期化リスクや、データ次第で利上げもあり得るといったスタンスへトーンを変更しました。今週は米1月消費者物価指数の高進や、それに伴う米長期金利急上昇の影に隠れて、ユーロは対ドルで値を下げる動きとなりましたが、一巡後は再びユーロが反発に転じるシナリオが想定されます(ユーロクロス上昇→ユーロドル連れ高の波及経路)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(ウクライナを巡る地政学的リスクが懸念材料として残りつつも、基本的にはECBによるタカ派転換を織り込む形でユーロ高基調が続く見通し)。

尚、来週は2/14に予定されているユーロ圏12月鉱工業生産や、2/15のユーロ圏第4四半期GDP改定値、ドイツ1月ZEW景況感調査に注目が集まります。特にドイツ1月ZEW景況感調査への注目度が高く、市場予想を上回る結果となれば、ECBによるタカ派転換をもう一段織り込む形で、ユーロドルに強い上昇圧力が加わる可能性があるため、来週はアップサイドリスクに特に注意が必要でしょう(※尚、当方はドル円の上昇、ユーロドルの上昇をそれぞれ想定しているため、掛け算通貨となるユーロ円には今後大きな上昇の波が到来すると予想)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1300−1.1500

『ドル円は直近高値圏へ急上昇。日米金融政策格差が支援材料』

ドル円日足

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