『8円台半ばを中心にレンジ相場が継続中。ボラティリティは低下傾向』
〇トルコ円、8円台半ばを中心とした方向感に欠ける動き続く
〇主要チャートポイントが実勢相場近辺に集中、テクニカルの地合い中立化
〇ファンダメンタルズはトルコ中銀の利下げ観測根強く、経済先行き不透明、トルコ売り材料多い
〇トルコリラ円相場の下落を中長期的なメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):8.20ー8.80
今週のレビュー(1/31−2/4)
今週のトルコリラ円(TRYJPY)相場は、週初8.50円で寄り付いた後、早々に週間高値8.72円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@トルコ1月製造業PMI(結果50.5、前回52.1)の冴えない結果や、Aトルコ1月貿易収支の赤字額急拡大(前年比241%の急増)、Bネバティ財務相による「通貨リラ安定のための利上げはあり得ない」とのハト派的な発言、Cトルコ1月消費者物価指数(結果+48.69%、予想+48.00%、前回36.08%、※前年比)の伸び率加速、D上記BCを背景としたトルコ中銀の追加利下げ観測が重石となり、週後半にかけて、週間安値8.33円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間2/5午前4時45分現在)では8.49円前後で推移しております。
来週の見通し(2/7−2/11)
トルコリラの対円相場は方向感に欠ける値動きが続いております(昨年12/31以降、8円台半ばを中心としたレンジ相場が継続中)。主要チャートポイント(一目均衡表転換線や21日移動平均線など)が実勢相場近辺に密集していることや、ボリンジャーバンドのバンド幅が急縮小していること等を踏まえると、テクニカル的に見て地合いの中立化が確認されます(トルコ中銀による為替介入を通じて通貨リラのボラティリティが抑制されている可能性あり。※トルコ中銀は昨年12月以降、為替介入に関する公式な発表をストップ)。但し、ファンダメンタルズ的に見ると、@米FRBによるタカ派スタンスの明確化(先週1/27に発表された米FOMCでパウエルFRB議長はインフレリスクへの警戒感を強調→米早期利上げ観測・米早期QT着手観測)や、Aトルコ中銀による追加利下げ観測(エルドアン大統領が1/29、「金利は一段と引き下げられ、それによってインフレ率も低下する」と発言した他、ネバティ財務相も2/3、「通貨リラ安定のための利上げはあり得ない」とのハト派的な見解に言及→政治的な利下げ圧力顕在)、
B上記@Aを背景とした米トルコ間の金融政策格差、Cトルコ経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念)、Dトルコ中銀による介入余力の脆弱さ(トルコ中銀の外貨準備高は2002年以来、約20年ぶり低水準)、Eトルコ国内におけるインフレ高進(今週発表されたトルコ1月消費者物価指数は2002年4月以来の高水準を記録→トルコリラの実質金利低下→トルコリラ売り)など、トルコリラ円相場のダウンサイドリスクを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落を中長期的なメインシナリオとして予想いたします(短期的にはトルコ中銀による介入観測とテクニカル的な中立化を背景にレンジ相場が続くと想定。但し、均衡が崩れれば大きく値を下げる恐れもあるため、突発的なダウンサイドリスクには常に注意が必要。安易なロングメイクは避けたいところ)。尚、来週はトルコ12月雇用統計や、トルコ12月鉱工業生産、トルコ12月経常収支などが予定されているものの、トルコリラ円相場の方向性を見出すには至らないと考えられます。
来週の予想レンジ(TRYJPY):8.20ー8.80
トルコ円日足
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