トルコリラ円見通し 高インフレ続くがサプライズ感なく落ち着いた動き(22/2/4)

日足の終値ベースでは2月1日から3日まで3日間の続落で、1月31日終値8.63円からはやや下落基調での推移となっている。

トルコリラ円見通し 高インフレ続くがサプライズ感なく落ち着いた動き(22/2/4)

トルコリラ円見通し 高インフレ続くがサプライズ感なく落ち着いた動き

〇トルコリラ円、トルコ物価上昇率発表前後の乱高下で8.40まで下げたものの、持ち直す
〇日足の終値ベースで3日間の続落、1/31終値8.63からやや下落基調での推移
〇対ドル、トルコ物価上昇率発表を前に13.62へ下落、いったん13.37まで戻すが勢い続かず
〇次のきっかけ待ちの様相だが、2/17の次回トルコ中銀金融政策決定会合までは動きづらいところ
〇1月トルコ消費者物価上昇率は予想を上回る、コア指数の伸びは前月比で鈍化
〇8.45以上での推移中は上昇余地ありとし、8.51超えからは8.55前後への上昇を想定する
〇8.45割れからは下向きとし、8.40割れからは8.30台中盤への下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の2月3日は8.50円から8.40円の取引レンジ、4日早朝の終値は8.47円で前日終値の8.49円からは0.02円の円高リラ安だった。
2月3日夕刻にトルコの物価上昇率の発表があったが、前年同月比ベースでは予想を超える上昇率となったもののコア指数等の前月比は伸びが鈍化したこともあり、発表を前後した乱高下で8.40円(ベンダーによっては8.36円から8.30円以下までまちまち)まで下げたものの年初からの持ち合いを抜け出す手がかりにはならないとみて持ち直した。しかし日足の終値ベースでは2月1日から3日まで3日間の続落で、1月31日終値8.63円からはやや下落基調での推移となっている。
12月20日への暴落で6.17円まで史上最安値を更新し、リラ預金の為替差損補填政策発表で12月23日に11.14円へ急反騰したものの揺れ返しの下落で1月3日に8.13円まで下げた後は8円台での持ち合いが続いている。

【対ドルでは13リラ台での持ち合い続く】

ドル/トルコリラの2月3日は13.62リラから13.37リラの取引レンジ、4日早朝の終値は13.55リラで前日終値の13.45リラからは0.10リラのドル高リラ安となった。
2月3日夕刻のトルコ物価上昇率発表を前にリラ売り先行となり13.62リラへ下落、週次の外貨準備高が増加だったことからいったん13.37リラまで戻したものの勢いは続かずに4日早朝にかけては再び軟調な推移となっている。
昨年12月の暴落と反騰、揺れ返しの反落が落ち着いて年初からは13リラ台でほぼ横ばいの推移が続いている。
高インフレ下での連続利下げ強行は12月で様子見に入り、その後は次のきっかけ待ちの様相だが、2月17日の次回トルコ中銀金融政策決定会合までは動きづらいところか。

【1月トルコ消費者物価上昇率は予想を上回るがコア指数の伸びは前月比で鈍化】

トルコのネバティ財務相は日経新聞のインタビューに答えて、「インフレは50%を下回る水準で当面は推移し、4月にはピークを付けて低下に転じる」「リラの暴落は収まりこれ以上の下落はないだろう」との見解を示した。この記事は2月3日16時のトルコ物価上昇率の発表前にリリースされていた。
1月のトルコ消費者物価上昇率は、前月比で11.10%となり市場予想の9.80%を上回ったが12月の13.58%からは伸びが鈍化した。前年同月比は48.69%となり12月の36.08%から大幅に上昇して市場予想の46.68%も若干上回った。消費者物価コア指数の伸び率は前月比で6.9%となり12月の13.2%から大幅に低下、前年同月比は39.4%となり12月の31.9%から大幅に上昇した。
1月の生産者物価指数の上昇率は前月比で10.45%となり12月の19.08%から鈍化したが、前年同月比は93.53%となり12月の79.89%から大幅に上昇した。

トルコリラ円見通し 高インフレ続くがサプライズ感なく落ち着いた動き

消費者物価の全体及びコア指数、生産者物価においても前月比では鈍化がみられるため、トルコ中銀や財務相のいうように現状近辺でピークアウトする可能性があるが、それにしてもハイパーインフレに近い状況にあること、原油価格の高騰が続いており世界規模のインフレが一段と加速する場合にはトルコだけ落ち着くことも難しいこと、生産者物価が異常な上昇水準にあることを踏まえると、中銀等の期待通りにピークアウトできるかは怪しいところだ。
為替市場の反応としてはトルコの高インフレ状態は当面継続するとしても利下げもストップしているという状況については織り込んでおり、次のきっかけを待つ状況で持ち合いを続けながら、持ち合い放れの機会をうかがうという展開だろう。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月1日早朝安値を割り込んだために1月31日夕刻高値と2月1日午前高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして2月4日未明から8日未明にかけての間への下落を想定し、2月3日午前時点では8.50円前後で抵抗感がみられるのでまだ一段安余地ありとした。
2月3日午後に一段安したところから8.50円まで反発しているため、3日午後安値でやや短めのボトムを付けて戻したところと考える。新たな底割れを回避するうちは4日の日中から8日午前にかけての間への上昇余地ありとみるが、8.45円割れからは弱気転換注意とし、8.40円割れからは新たな弱気サイクル入りとして8日午後から10日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月3日夜の反騰が先行スパンの下限に抑えられているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンへ潜り込む上昇からは上限を試すとみるが先行スパンの上限前後では戻り売りにつかまりやすいとみる。

60分足の相対力指数は2月2日夜から3日午後への一段安に際して指数のボトムが切りあがる強気逆行が見られてから50ポイント台へ到達したが、その後は50ポイント台を維持できずにいる。55ポイント超えからは60ポイント台後半を目指す上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.40円を下値支持線、8.51円を上値抵抗線とする。
(2)8.45円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.51円超えからは8.55円前後への上昇を想定する。8.55円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.50円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.45円割れからは下向きとし、8.40円割れからは8.30円台中盤(8.37円から8.33円)への下落を想定する。8.35円以下は反騰注意とみるが、8.40円を割り込んだ後も8.45円以下での推移なら週明けは安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月07日
 23:30 1月 財務省現金残 前月比 (12月 -920.9億リラ)
2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 11.2%)
 20:30 週次 外貨準備高 グロス 2/4時点 (1/28時点 716.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 ネット 2/4時点 (1/28時点 105.3億ドル)
2月11日
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 3.3%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 11.4%)
 16:00 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.3%)
 16:00 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 16.3%)
 16:00 12月 経常収支 (11月 -26.81億ドル)
2月15日
 17:00 1月 財政収支 (12月 -1457.4億リラ)
2月17日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 政策金利 (現行 14.00%)



注:ポイント要約は編集部

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