ドル円見通し 欧米の金融引き締め姿勢強まり円の独歩安(22/2/4)

2日夜以降は全般のドル安よりもクロス円の上昇による円安感が勝る形で反騰入りしている。

ドル円見通し 欧米の金融引き締め姿勢強まり円の独歩安(22/2/4)

ドル円見通し 欧米の金融引き締め姿勢強まり円の独歩安

〇ドル円、2/2夜114.14まで下落した後、クロス円の上昇による円安感が勝り反騰入り
〇1/28高値から2/2夜安値までの下落幅の半値戻し114.91を、2/3日夜の上昇でクリア
〇英中銀2会合連続で利上げ、ECBはインフレ進行への懸念から年内利上げの可能性高まる
〇欧米は金融引き締め姿勢強化、金融緩和継続強調の日銀の姿勢との対比で円安助長しやすい
〇米長期債利回り上昇、米株価は大幅下落、本日発表の米1月雇用統計に注目
〇114.65以上での推移中は上向きとし、115.15超えからは115円台中盤への上昇を想定する
〇114.65割れを弱気転換注意とし、114.50割れからは114円台序盤を目指す流れと考える

【概況】

ドル円は1月27日早朝の米FOMCを前後した上昇を1月28日高値115.68円で一巡として2月2日夜安値114.14円まで下落してきたが、2日夜以降は全般のドル安よりもクロス円の上昇による円安感が勝る形で反騰入りしている。
2月3日は英中銀が2会合連続で利上げを決定、ECB理事会もインフレ警戒感を強めて年内の利上げ可能性を示唆したことでポンドとユーロが一段高となりドルストレートではドル安が進んだが、クロス円全般の上昇による円安感に加えて米長期債利回りが上昇したことでドル円においてはドル高円安の進行となった。
1月28日高値から2月2日夜安値まで1.54円の下落幅であり、その半値戻しが114.91円にあったが3日夜の上昇でこれをクリアしている。1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブル底とした上昇に対する調整安として3分の2押しを若干割り込むところまで下げたが、底割れを回避して深めの押し目形成から上昇再開に入りつつある印象だ。

【英中銀2会合連続利上げ、ECBの年内利上げも浮上】

英中銀は2月3日夜のMPC(金融政策委員会)で政策金利を0.25%引き上げて0.50%とした。12月会合に続く2会合連続の利上げだったが、MPCメンバー9人のうちベイリー総裁を除く4名は0.75%への利上げを支持したとされ、3月の次回会合でも連続利上げとなる可能性が高まった。
欧州中銀(ECB)は3日の定例理事会で市場予想通りに政策金利を現状維持としたが、ラガルド総裁は記者会見において前回理事会までは「可能性は極めて低い」としてきた2022年の利上げについて「データに基づいて決める」として利上げの可能性を示唆した。1月のユーロ圏消費者物価指数が前年同月比5.1%上昇と過去最高の上昇率となったことについては「驚いた」と述べ、予想以上のインフレ進行に対する対応としての利上げの可能性が高まっている印象を与えた。ECBの量的金融緩和については3月から縮小に入る公算という関係者の話も報じられており、金融引き締め姿勢が強まっていることを示唆している。

1月27日早朝の米FOMC声明及び議長会見では3月からの利上げ開始、年内の利上げ回数も12月時点での3回を超える加速となる可能性が示唆された。FOMC後に一時浮上した0.50%規模の利上げについては連銀高官の否定的発言で後退したものの、欧米揃っての金融引き締め姿勢の強化は金融緩和継続を強調する日銀の姿勢との対比で円安を助長しやすい状況といえる。

【米長期債利回り上昇、NYダウは大幅下落】

2月3日の米長期債利回りは上昇、10年債利回りは前日比0.05%上昇の1.83%となったが、一時は1.84%へ上昇した。30年債利回りは前日比0.05%上昇の2.16%、2年債利回りは0.04%上昇の1.20%となった。いずれも1月後半からの一段高状態を維持して昨年来の最高水準更新を伺う位置取りとなっている。
NYダウは前日比518.17ドル安と大幅反落した。英中銀の利上げとECBの年内利上げ可能性等からの長期金利上昇を嫌ったこととSNS大手メタ(旧フェイスブック)株が業績への失望で急落したことも影響したようで、ナスダック総合指数も538.73ポイント安と大幅下落した。

米労働省による新規失業保険申請件数は1月29日までの週間で前週比2万3000件減の23万8000件となり2週連続の減少で市場予想の24万5000件も下回った。失業保険受給者総数は1月22日までの週間で162万8000人で前週比4万4000人減少となったが市場予想の162万人を若干上回った。
米労働省による10-12月期の非農業部門労働生産性速報値は年率換算前期比で6.6%上昇となり市場予想の3.2%を大幅に上回った。インフレ指標である単位労働コストは前期比0.3%上昇で市場予想の1.5%上昇を下回ったが、前年同期比では3.1%上昇した。
米サプライ管理協会(ISM)による1月の米サービス業景況指数は59.9で12月の62.3から低下したものの市場予想の59.5を上回った。
今晩は米1月雇用統計の発表がある。非農業部門就業者数については12月の19.9万人増から15.0万人増へと伸びが鈍化すると見込まれている。2月2日に発表されたADPによる民間部門の非農業部門就業者数が予想外に30.1万人減少となったこともあり、労働省統計でも予想を下回る可能性もあるのではないかという見方も出ている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月28日深夜安値から戻した後に一段安となったために2月2日午前時点では1月28日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れからの弱気サイクル入りとして2月2日夜から4日深夜にかけての間への下落を想定した。
2月3日午前時点ではまだ一段安余地ありとし、114.65円を超えるところからは強気サイクル入りとしたが、3日夜に114.65円を超えて115円に迫ったため、2月2日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は3日から7日午前にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるが114.65円以上での推移中は上昇余地ありとみる。ただし114.65円割れを弱気転換注意とし、114.50円割れからは弱気サイクル入りとして7日夜から9日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月3日夜の上昇で遅行スパンが好転し、先行スパンも上抜いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパン転落からは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月2日夜に20ポイントまで低下したところからの反騰を継続して70ポイント台に到達している。55ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、相場が小反落の後に高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は下落期入り注意とし、50ポイント割れからは下落期入りとして30ポイント台への低下へ向かう流れと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.65円を下値支持線、115.15円を上値抵抗線とする。
(2)114.65円以上での推移中は上向きとし、115.15円超えからは115円台中盤(115.30円から115.70円)への上昇を想定する。115.50円以上は反落注意圏とみるが、115円以上での推移か直近の高値から0.50円以上の反落とならないうちは週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)114.65円割れを弱気転換注意とし、114.50円割れからは下落期入りとみて114円台序盤(114.25円から114.00円)を目指す流れと考える。114.15円以下は反発注意圏とするが、114.50円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/4(金)
休場、中国、台湾、ベトナム
冬季五輪北京大会(2/20まで)、ロシア大統領開会式出席
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 3.7%、予想 0.3%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 1.3%、予想 3.0%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.0%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 7.8%、予想 5.1%)
21:15 (英) 英中銀のブロードベント副総裁、ピル理事が講演
22:30 (米) 1月 非農業部門就業者数 前月比 (12月 19.9万人、予想 15.0万人)
22:30 (米) 1月 失業率 (12月 3.9%、予想 3.9%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前月比 (12月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前年同月比 (12月 4.7%、予想 5.2%)



注:ポイント要約は編集部

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