トルコリラ円見通し 1月27日からの上昇一巡で失速、年初からの中勢持ち合いの範囲(22/2/2)

FOMC後のドル全面高が一巡してドル安へ風向きが変わり、クロス円全般の上昇が続いているが、ドル円が一段安していることもあり、トルコリラ円は円高にも押されている。

トルコリラ円見通し 1月27日からの上昇一巡で失速、年初からの中勢持ち合いの範囲(22/2/2)

トルコリラ円見通し 1月27日からの上昇一巡で失速、年初からの中勢持ち合いの範囲

〇昨日のトルコリラ円、8.67つけるが上昇一巡で下落、目先は安値試し向かいやすい
〇対ドル、やや上昇するも上値重い、1/10以降13リラ台持ち合いで推移
〇1月トルコ製造業PMIは低下、リラ安と国際原材料価格高騰で状況厳しい
〇トルコ政府、リラ預金への転換推奨キャンペーン開始、効果限定的か
〇今週はトルコ物価上昇率、米雇用統計等発表予定、対円・対ドル持ち合い放れ始める可能性も
〇8.60以下での推移中は一段安警戒とし、8.50からは8.40円台中盤への下落を想定する
〇8.60前後は戻り売りにつかまりやすいが、8.61超えからは8.65前後を目指す上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の2月1日は8.67円から8.52円の取引レンジ、2日早朝の終値は8.57円で前日終値の8.63円からは0.06円の円高リラ安となった。
1月24日から27日にかけて8.40円割れを試していたところから切り返しに入り、1月31日は8.67円を付けて1月20日にトルコ中銀が利下げを見送った際に付けた8.61円を上抜いたが、1月3日に当日の安値8.13円から高値9.00円まで戻した後のこの高安レンジ内での持ち合い範囲を抜けず、2月1日も8.67円を付けたものの戻り一巡感から下落に転じた。ベンダーによっては8.42円や8.30円台の一時的な安値提示も見られたが、突っ込んだところは買い戻されているものの、目先は戻り一巡により安値試しへ向かいやすい動きとなっている印象だ。
為替市場ではFOMC後のドル全面高が一巡してドル安へ風向きが変わり、クロス円全般の上昇が続いているが、ドル円が一段安していることもあり、トルコリラ円は円高にも押されている。

【対ドルではやや上昇するも上値重い】

ドル/トルコリラの2月1日は13.46リラから13.12リラの取引レンジ、2日早朝の終値は13.37リラで前日終値の13.30リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
12月20日に18.36リラへ史上最安値を更新したところからリラ預金の為替差損補填政策発表によるリラ買い戻しで12月23日に10.05リラへ反騰、その後の揺れ返しで1月10日に13.93リラへ下落した後は13リラ台での持ち合いで推移している。
1月27日早朝の米連銀FOMCを挟んでドル全面高となる中で1月28日に13.66リラまで下げたが、その後はドル高が緩んでいるためにやや買い戻されているものの勢いは鈍い。

【トルコ製造業PMIは低下】

【トルコ製造業PMIは低下】

2月1日に発表された1月のイスタンブール製造業PMIは50.5となり12月の52.1から低下した。昨年5月に49.3まで低下したところから持ち直して好況目安の50台を維持しているのだが、昨年8月に54.1まで上昇したところからは低下傾向にあり、パンデミック発生直後の2020年4月に33.4まで悪化したところからの改善基調も頭打ち感もみられるところだ。
世界規模での感染再拡大によりサプライチェーン停滞が続いているため、トルコの製造業においても人手不足と物不足は深刻であり、リラ暴落が落ち着いているもののリラ安と国際原材料価格高騰によるインフレが状況を厳しくしている印象だ。
トルコにおける新型コロナウイルス新規感染者数は2月1日に初めて10万人を超えて過去最多となっている。死者も198人発生しており、重症化率の低いオミクロン株主体といえども感染者増によるエッセンシャルワーカー等での人手不足も深刻化する懸念が高まっていることも気がかりだ。

【トルコ政府のリラ預金キャンペーン】

トルコ政府は1月30日から国営テレビやソーシャルメディアにおいてトルコ国民のリラ建て預金への転換を推奨するキャンペーン動画を流し始めた。
12月20日にエルドアン大統領がリラ預金の為替差損を補填すると発表し、財務相はリラ預金が拡大していると報告しているが実際にはトルコ国民のリラ安不安は解消せずにドルやユーロ及び金からのリラ預金へのシフトはさほど進んでいないとも言われている。
キャンペーン動画では国民の努力を称え、リラ建て定期預金に投資するよう呼び掛けているが効果については限定的なものと思われ、政権の焦りも感じられるところだ。
エルドアン大統領は1月29日にも「金利は一段と引き下げられてインフレ率も低下する」との持論を展開し、政策効果でインフレが低下すれば苦境から脱出できると述べており、ひとまず追加利下げを見送っているものの先行きはさらに利下げしたい意向であることに変わりはない。

1月29日の官報では利下げ反対派とされる国家統計局長を解任、法務相も交代させており、大統領の主導する政策への批判を封じ込める動きも強めている。
2月3日には1月のトルコ物価上昇率の発表があるが、消費者物価上昇率の前年比は12月の36.08%から46.68%へとさらに加速すると見込まれている。生産者物価上昇率の前年比は12月に79.89%となったが、100%を超える可能性もあるとみられている。2月3日は英中銀金融政策委員会、ECB理事会もある。4日には米雇用統計もあるため、トルコリラ円及びドル/トルコリラも年初からの持ち合いから上下いずれかへ放れ始める可能性もあるタイミングとして注意したい。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月1月24日深夜と27日午後の両安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、1月31日夕刻へ一段高したところから2月1日未明へ反落し、1日午前にいったん戻してから再び失速して1日未明安値を割り込んでいるため、現状は2月1日未明安値を直近のサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクルに入っているところと思われる。ボトム形成期は2月4日未明から8日未明にかけての間と想定し、強気転換には8.63円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では2月1日午前高値からの反落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し始めているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返す場合は上昇再開の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、その後に先行スパンから再び転落する場合は下げ再開と考える。

60分足の相対力指数は2月1日午前高値からの下落で50ポイント割れの状況が続いている。55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移となる場合は上昇再開の可能性ありとみるが、50ポイント以下での推移中は30ポイント割れを目指すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.50円を下値支持線、8.60円を上値抵線とする。
(2)8.60円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、8.50円からは8.40円台中盤(8.47円から8.43円)への下落を想定する。8.45円以下は反発注意とするが、8.55円以下での推移が続く場合は3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.60円前後は戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.61円超えからは8.65円前後を目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

2月03日
 16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 13.58%、予想 9.80%)
 16:00 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 36.08%、予想 46.68%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 13.2%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前年比 (12月 31.9%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 19.08%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前年比 (12月 79.89%)
 20:00 週次 外貨準備高 グロス 1/28時点 (1/21時点 708億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 ネット 1/28時点 (1/21時点 92.7億ドル)
2月07日
 23:30 1月 財務省現金残 前月比 (12月 -920.9億リラ)
2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 11.2%)

注:ポイント要約は編集部

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