ドル円見通し FOMC通過後のドル高一巡で1月24日以降の上昇幅の半値を削る(22/2/2)

米長期債利回りの上昇一服感と株高によるリスク回避感の後退からユーロや豪ドル等が上昇する中で安値114.55円まで下落した。

ドル円見通し FOMC通過後のドル高一巡で1月24日以降の上昇幅の半値を削る(22/2/2)

ドル円見通し FOMC通過後のドル高一巡で1月24日以降の上昇幅の半値を削る

〇ドル円、2/1は安値114.55まで下落、FOMC後材料一巡で1/24以降上昇幅の半値割り込む
〇NYダウ3連騰、ISM製造業景況指数予想超え、インフレ伴う景気回復継続感は健在
〇引き締め加速への警戒感後退、ドル高反応ひとまず一服で揺れ返し的なドル安へ
〇115.00以下での推移中はもう一段安余地ありとし、114.50割れからは114円台序盤を試すとみる
〇115.20超えからは反騰入りとみて115.50前後を目指す上昇期に入るとみる

【概況】

ドル円は1月27日早朝の米連銀FOMCを挟んだ上昇で1月28日夕刻に115.68円まで高値を伸ばしたが、その後は材料一巡と米連銀による金融引き締め姿勢強化に対するやや過剰だった反応の修正で下落に転じている。2月1日も米長期債利回りの上昇一服感と株高によるリスク回避感の後退からユーロや豪ドル等が上昇する中で安値114.55円まで下落した。
1月14日安値113.47円と1月24日安値113.46円をダブルボトムとして1月28日高値まで2.22円の上昇幅だったが、その3分の1押しラインとなる114.94円を割り込み半値押しラインの114.57円も若干割り込んだ水準に来ている。114.50円割れは回避してるものの115円以下にとどまっており、まだ落ち着きどころを探る展開と思われる。

【NYダウ3連騰、米長期債利回り上昇一服】

2月1日のNYダウは前日比273.38ドル高と上昇。1月5日に史上最高値36952.65ドルを付けたところから1月24日安値33150.33ドルまで大幅下落が続いたが、その後は乱高下しつつ下げ止まり、1月28日に564.69ドル高、31日に406.39ドル高と切り返して1日も3連騰となり35000ドル台を回復して反騰入りの印象が強まっている。米連銀による金融引き締め強化姿勢や感染拡大による景気回復鈍化への警戒感から下落していたが、ひとまず金融引き締め姿勢については材料消化とし、インフレを伴いつつ景気回復も継続しうるとして切り返している印象だ。
米10年債利回りは前日比0.01%上昇の1.79%。一時は1.74%まで下げたところからは戻しているが、上昇一服感で高値圏での持ち合い推移となっている。2年債利回りは前日比0.01%低下の1.17%で、1月28日に1.22%を付けてパンデミック発生以降の高値水準としたところからはやや下げている。

株高は為替市場にとってはリスクオン優勢としてユーロや豪ドル等を押し上げ、クロス円全般の上昇による円安圧力もかかるところだが、米長期債利回りも高止まり水準にあることと、クロス円での円安よりもドルストレートでのドル安再燃感が勝っていることでドル円は調整安を強いられている印象だ。

2月1日に発表された米サプライ管理協会(ISM)の1月製造業景況指数は57.6となり12月の58.8から低下したものの市場予想の57.5をわずかに上回った。2020年11月以来の低水準に鈍化しているものの20か月連続で好況目安の50を超えている。
米労働省による12月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数は1092万5000件となり市場予想の1030万件を上回った。オミクロン株による感染再拡大がISM景況指数にも影響を与えているが、人手不足とモノ不足によるインフレ進行を伴った景気回復の継続感は健在と思われる。

【FOMC直後のやや過剰な引き締め加速への警戒感が後退】

1月27日早朝のFOMC声明及び議長会見では、3月からの利上げにおいては0.25%の引き上げではなく0.50%の引き上げとなる可能性や、今年の利上げ回数についても12月時点の3回ではなく5回や6回の可能性もあるのではないかと市場は受け止め、大手金融機関による金利上昇予想も上方修正が相次いだ。しかしそうした市場の過剰反応を落ち着かせるような米連銀高官の発言も出ており、為替市場もひとまずドル高反応を一服させて揺れ返し的なドル安へと風向きを変えている。
米セントルイス連銀のブラード総裁は1日に「3月のFOMCにおける0.25%の利上げを支持する」とし、0.5%の利上げについては「現時点では我々の助けにならない」と否定的な見解を示した。また3月の利上げ後に4-6月期に追加利上げをしてから総資産の縮小に着手することが望ましいとし、年内の利上げ回数について市場が5回と予想していることについては「それほど悪くない予想だ」と述べた。

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は1日に「3月のFOMCでは0.25%の利上げを支持する」との姿勢を表明し、3月に0.50%の利上げをすることについては「可能ではあるが現時点で確信は少ない」と述べ、年内の利上げ回数については4回が適切とした。
米アトランタ連銀のボスティック総裁は年内の3回利上げ見通しを変更することは妥当ではないと述べた。
米連銀はインフレ抑制を主題として行動に入るため、今後のインフレ動向次第では引き締めの加速も考えられるが、FOMC後の為替市場の反応はやや過剰だったという印象が強まっているところと思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとした上昇が1月28日夕高値でピークとなり調整安に入っている。1月28日深夜安値からいったん戻して一段安となり2月1日夜へ続落しているため、現状は1月28日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れにより弱気サイクル入りしているとみてボトム形成期を2日夜から4日深夜にかけての間と想定する。強気転換は115.20円超えからとし、その際は2月2日夜から4日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では1月31日夜の下落で遅行スパンが悪化し、1日には先行スパンからも転落した。その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。相場が横ばいに入れば遅行スパンは好転しやすくなるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。

60分足の相対力指数は2月1日夜に30ポイント割れまで低下したが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行はまだ見られないのでもう一段安余地があるとみる。強気転換は55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移を続ける反騰が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.50円を下値支持線、115.00円を上値抵抗線とする。
(2)115.00円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとし、114.50円割れからは114円台序盤(114.30円から114.00円)を試すとみる。114.20円以下は反発注意とするが、115円以下での推移が続く場合及び直前安値からの戻りが0.50円を超えないうちは3日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)115.20円超えからは反騰入りとみて115.50円前後を目指す上昇期に入るとみる。115.20円を超えた後も115円以上での推移なら3日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/2(水)
休場、中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、ベトナム、マレーシア、シンガポール
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
OPECプラス閣僚級会合
10:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (12月 5.0%、予想 4.4%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (12月 2.6%、予想 1.9%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (12月 80.7万人、予想 20.7万人)
24:00 (加) グラベル・カナダ中銀副総裁、講演

2/3(木)
休場、中国、香港、台湾、ベトナム
中ロ外相会談(北京)
09:30 (豪) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 3.6%、予想 -1.0%)
09:30 (豪) 12月 貿易収支 (11月 94.23億豪ドル、予想 98.00億豪ドル)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.2、予想 52.2)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 1.8%、予想 2.4%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 23.7%、予想 26.1%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、会見

21:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、会見
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (7−9月 -5.2%、予想 3.1%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (7−9月 9.6%、予想 1.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.0万件、予想 25.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.5万人、予想 160.0万人)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9、予想 50.9)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 62.0、予想 59.0)
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 1.6%、予想 -0.2%)
24:00 (米) 上院銀行委員会、米連銀銀行監督担当副議長ら指名承認公聴会

注:ポイント要約は編集部

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