トルコリラ円見通し 1月20日の利下げ見送り時の高値を超える(22/2/1)

トルコリラも対ドルで上昇、ドル円の下落をカバーして8.60円超えへと水準を切り上げてきた。

トルコリラ円見通し 1月20日の利下げ見送り時の高値を超える(22/2/1)

トルコリラ円見通し 1月20日の利下げ見送り時の高値を超える

〇昨日のトルコリラ円、対ドルで上昇したことで8.60超えへと水準を切り上げる
〇対ドル、FOMC通過後のドル全面高一服、1/31は対ドルで上昇、2/1早朝13.27まで高値を切り上げる
〇昨日発表の期観光収入・観光客数が好調な結果、12月貿易収支は赤字拡大
〇8.60以上での推移中は上昇余地ありとし、8.67超えからは8.70台序盤を目指すとみる
〇8.60割れからは下向きとして、8.55前後試しを想定する

【概況】

トルコリラ円の1月31日は8.67円から8.50円の取引レンジ、1日早朝の終値は8.63円で先週末終値の8.50円からは0.13円の円安リラ高となった。
12月20日に6.17円まで史上最安値を更新し、エルドアン大統領によるリラ預金の為替差損補填政策発表から12月23日高値11.14円へいったん反騰したものの再び失速して1月3日に8.13円まで下げた後は8円台での持ち合いを続けてきた。
1月20日にトルコ中銀が利下げを見送ったことで8.61円まで一時的に上昇したものの先行きの利下げ政策継続姿勢も変わらないとみて戻り売りとなり、1月3日の高安(8.13円から9.00円)での持ち合いを継続してきた。
それでも1月24日から27日にかけては8.40円前後では買い戻されて確りし、その後はジリ高の推移を続けて8.50円台を回復、28日も8.50円丁度で週を終えた。
1月31日はドル円が下落したもののドルストレートではユーロやポンド、豪ドル等が反騰し、新興国通貨でも南アランドやメキシコペソが戻したことでトルコリラも対ドルで上昇、ドル円の下落をカバーして8.60円超えへと水準を切り上げてきた。

【対ドルでは13リラ台序盤へ上昇】

ドル/トルコリラの1月31日は13.57リラから13.27リラの取引レンジ、2月1日早朝の終値は13.30リラで先週末終値の13.55リラからは0.15リラのドル安リラ高となった。
1月27日早朝の米連銀FOMC金融政策発表を挟んでドル全面高の様相となり、トルコリラも1月28日夕刻には13.66リラまで安値を切り下げていたが、FOMC通過後のドル全面高が一服となりユーロ等が戻したことでトルコリラも対ドルで上昇に入り、夕刻発表のトルコ10-12月期観光収入や12月の観光客数が予想を上回る好調さだったことからリラ買いが優勢となり1日早朝には13.27リラまで高値を切り上げ、1月20日の利下げ見送り時に付けた高値13.26リラ以来の高値水準となった。
年初からの13リラ台での持ち合いの範囲にはとどまっているが、リラ暴落一服状況の持ち合いの中でもやや高値を試しにかかってきている印象だ。

【観光客数改善】

トルコ文化観光庁の発表した12月の海外からの観光客数は248万2697人でパンデミックの影響を受けた2020年12月の99万896人からは150.55%増となった。2021年の通年では3003万8961人となり2020年の1597万1201人からは88.08%増と回復した。ただしパンデミック前の2019年12月と比較すれば0.7%減、通年での2019年との比較では42%減にとどまっている。
四半期ベースの観光収入は76.3億ドルとなり7-9月期の114億ドルからは減少したが、夏場の最盛期からの鈍化であり、前年同期の39.14億ドルからは倍増となった。
トルコにおける感染拡大は収まらないものの、重症化率が低いとしてウィズコロナ政策が続いており、欧州も同様のためにトルコの主力産業である観光業も持ち直しの傾向を見せている。入国のトップ5はブルガリア、ドイツ、イラン、ロシア、イラクとなっているが、ウクライナ情勢の緊張激化もあり、NATOがロシア制裁を発動する場合には、NATO加盟国でありながらもNATO諸国と対立してロシアとの友好関係もある微妙なトルコ外交には難しい対応が迫られる。

1月31日に発表されたトルコの12月貿易収支は67.9億ドルの赤字となり11月の54.3億ドルの赤字から拡大した。この1年間では最大の赤字であり、2018年以来の赤字拡大となっていることは観光業の改善感に水を差している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月27日午後に8.40円をわずかに割り込んでから切り返して26日夜高値を上抜いたため、1月28日午前時点では1月24日深夜と27日午後の両安値をダブルボトムとした強気サイクル入りとした。またトップ形成期は26日夜高値を基準として31日夕から2月2日夜にかけての間と想定した。
1月31日夕刻へ一段高となり、その後に切り返しているため、31日夕高値でいったんサイクルトップを付けて下落したが、2月1日未明安値でボトムを付けて新たな強気サイクル入りしている可能性が高そうだ。このため、2月1日未明安値を割り込まないうちは3日午後から7日夕にかけての間への上昇余地ありとし、1日未明安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとして4日未明から8日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では遅行スパンの好転と先行スパンを上抜いた状況を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。弱気転換は2月1日未明安値割れから都市その際は遅行スパン悪化中の安値試し優先として先行スパンの上下限を試す下落を想定する。

60分足の相対力指数は2月1日未明の反落時に50ポイントを一時的に割り込んだが切り返しているので50ポイント以上での推移中は70ポイント台を目指す上昇を想定し、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント割れを目指す下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.60円を下値支持線、8.67円を上値抵抗線とする。
(2)8.60円以上での推移中は上昇余地ありとし、8.67円超えからは8.70円台序盤(8.70円から8.73円)を目指すとみる。8.73円以上は反落注意とするが、8.60円以上での推移なら2日の日中も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)8.60円割れからは下向きとして8.55円前後試しを想定する。8.55円以下は反騰注意とするが、下げ足が早まる場合は8.50円台序盤(8.50円から8.53円)へ下値目途を引き下げる。また8.57円以下での推移なら2日の日中は安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月01日
 16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 52.1)
2月03日
 16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 13.58%、予想 9.80%)
 16:00 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 36.08%、予想 46.68%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 13.2%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前年比 (12月 31.9%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 19.08%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前年比 (12月 79.89%)
 20:00 週次 外貨準備高 グロス 1/28時点 (1/21時点 708億ドル)
 20:00 週次 外貨準備高 ネット 1/28時点 (1/21時点 92.7億ドル)
2月07日
 23:30 1月 財務省現金残 前月比 (12月 -920.9億リラ)
2月10日
 16:00 12月 失業率 (11月 11.2%)


注:ポイント要約は編集部

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