ドル円見通し FOMCを前後したドル全面高一服で二段下げ型調整
〇ドル円、ドル全面高一服で1/31夜に1/28安値115.10を割り込み、2/1早朝114.91まで値を下げる
〇FOMC後のドル全面高落ち着き、1/24夜安値からの連騰一服感で調整安に入っている印象
〇米長期債利回りは上昇一服で落ち着いた動き、NYダウは1/28から大幅連騰
〇今週豪英欧の中銀金融政策決定会合続く、主要中銀と米連銀の引き締め姿勢の差が意識される
〇115.25以下での推移中はもう一段安余地ありとし、114.91割れから114.50前後への下落を想定する
〇115.40超えからは反騰入りの可能性を優先して、1/28夕高値115.68試しへ向かうとみる
【概況】
ドル円は1月28日高値で115.68円へ上昇したが、FOMCを挟んだドル全面高が一服したことで28日深夜に115.10円へ下落、31日午前にいったん115.59円まで戻したものの31日夜に28日深夜安値を割り込み2月1日早朝には114.91円まで安値を切り下げた。1月27日早朝の米FOMCにおける金融引き締め姿勢の強化からドル全面高が勢い付いたことで1月24日夜安値113.46円からの上昇幅は2.22円に拡大したが、その3分の1押しとなる114.94円を若干割り込んだ。
【ドル全面高の一服】
米連銀FOMCは27日早朝の声明文と議長会見で12月時点よりも引き締め姿勢を強化したため、市場は従来の年3回から4回程度の利上げではなく5回から6回の利上げもありうるとし、また当初の利上げ幅についても0.25%ではなく0.50%の引き上げとなる可能性も警戒されることとなった。そのため為替市場はドル全面高の様相となったのだが、週をまたいで市場心理もひとまず落ち着き、ユーロ圏の2021年GDPが前年比5.2%増となったことでユーロ買い意欲が戻り、米長期債利回りの上昇も一服したことでドル円も1月24日夜安値からの連騰一服感で調整安に入っている印象だ。
ユーロドルは1月28日に1.1121ドルまで下落して11月24日安値を割り込んで昨年1月と5月のダブル天井以降の安値を更新したが31日は1.124ドル台まで切り返している。ポンドドルも27日安値へ大幅続落したところからは2連騰で戻し、豪ドル米ドルも28日安値で昨年2月以降の安値を更新したところから31日は反騰した。南アランドやメキシコペソも下落一服で戻している。
【米長期債利回りの上昇一服、NYダウは大幅連騰】
1月31日の米10年債利回りは先週末比0.01%上昇の1.78%で落ち着いた動きだった。1月24日の1.70%から1月26日に1.88%へ上昇したものの1月19日の1.90%には届かずに失速した後は1.79%を挟んだもみ合いとなっている。2年債利回りは先週末比0.02%上昇の1.18%となり1月28日に1.22%を付けた後は上昇一服感がみられる。
しかし、10年債利回りは1月の月間で2021年3月以来の上昇、2年債利回りは2009年以降で最大の上昇となり、2年債と10年債の利回り格差は2020年10月以来の縮小となっており、2年債を中心とした中勢レベルの上昇圧力は継続している印象だ。
NYダウ工業は前週末比406.39ドル高、ナスダック総合指数も469.31ポイント高と大幅上昇した。NYダウは1月13日から21日まで6日間の大幅続落となり、その後も乱調な展開が続いていたが、28日の564.69ドル高からの連騰となったことで1月24日安値を押し目底として出直りに入ってきた。金融引き締め姿勢の強化も織り込んで景気回復とモノのインフレ継続に加えて資産インフレも続くとの期待が復調している印象だ。株高継続感が強まればドル円にはリスクオン優先での円安反応となりやすく、株買い債券売りで米長期債利回りも上昇してくればドル円への押し上げも強まる可能性がある。
1月31日に発表された1月のシカゴ購買部景況指数は65.2となり市場予想の61.7を上回って12月の64.3から上昇した。
【豪中銀理事会から英欧の中銀金融政策決定会合続く】
2月1日は豪中銀理事会があり、政策金利は過去最低の0.10%で据え置かれると予想されているが、量的緩和終了プロセスと利上げ想定も示される可能性がある。2月3日には英中銀MPC(金融政策委員会)があり政策金利は12月に続いて2会合連続の利上げで0.50%へ引き上げられると予想されている。3日夜にはECB理事会もあり、政策金利等は現状維持とみられるがインフレへの認識や今後の引き締め姿勢がどの程度示されるのか注目される。
為替市場としてはこれら主要中銀と米連銀の引き締め姿勢の差が意識されるところであり、FOMCをまたいだドル高が一服後に継続してゆき今週末の米雇用統計からさらに加速するのか、ドル高一服からしばらくドル安へと風向きが変わるのか試されるところだ。
ドル円としては上昇一服で足場を固めつつ、米長期債利回りが高止まりして株高基調なら上昇再開へ進みやすく、上記の主要中銀による引き締め姿勢からユーロや豪ドル、ポンドが上昇ならクロス円全般の上昇感から円安が進みやすくなる可能性もあると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとして強気サイクル入りしてきたが、1月28日夕高値で当面のピークを付けて調整期に入っている。新たな強気サイクル入りには1月28日夕高値を超える必要があるが、2月1日早朝の115円割れを切り返した反発基調を継続して115.40円を超えるところからは上向きとし、28日夕高値超えからは2月2日午後から4日夕にかけての間への上昇を想定する。ただし、2月1日早朝安値を割り込む場合は28日深夜安値を基準として安値形成期が2日夜から4日深夜にかけての間へと長引く可能性があると注意する。
60分足の一目均衡表では1月31日夜の下落で遅行スパンが悪化したが、2月1日早朝の安値では先行スパンからの転落をぎりぎりで回避している。先行スパンを上抜き返せないうちはもう一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開及び一段高へ進む可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は28日深夜から1日早朝への一段安に際しては指数のボトムが切り下がって強気逆行は見られないため、もう一段安の可能性が残る。このため55ポイントを超えないうちはもう一段安余地ありとするが、55ポイントを超えるところからは上昇再開に入った可能性を優先して70ポイントを目指す上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.91円を下値支持線、115.40円を上値抵抗線とする。
(2)115.25円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとし、114.91円割れからは114.50円前後への下落を想定する。114.50円前後は押し目買いされやすい水準とみるが、下げ足が早まる場合は114.20円前後へ下値目途を引き下げる。また115円以下での推移なら2日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)115.40円超えからは反騰入りの可能性を優先して1月28日夕高値115.68円試しへ向かうとみる。115.60円以上は反落注意とするが、115.40円以上での推移が続けば2日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2/1(火)
休場、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
16:00 (英) 1月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (12月 1.0%、予想 0.6%)
16:00 (独) 12月 小売売上高 前月比 (11月 0.6%、予想 -1.4%)
16:00 (独) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 -0.2%、予想 3.4%)
17:55 (独) 1月 製造業PMI改定値 (速報 60.5)
17:55 (独) 1月 失業者数 前月比 (12月 -2.30万人、予想 -0.60万人)
17:55 (独) 1月 失業率 (12月 5.2%、予想 5.2%)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI改定値 (速報 59.0)
18:30 (英) 1月 製造業PMI改定値 (速報 56.9)
19:00 (欧) 12月 失業率 (11月 7.2%、予想 7.1%)
23:45 (米) 1月 製造業PMI改定値 (12月 55.0)
24:00 (米) 1月 ISM製造業景況指数 (12月 58.7、予想 57.5)
24:00 (米) 12月 建設支出 前月比 (11月 0.4%、予想 0.6%)
2/2(水)
休場、中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、ベトナム、マレーシア、シンガポール
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
OPECプラス閣僚級会合
06:45 (NZ) 10-12月期 就業者数 前期比 (7−9月 2.0%、予想 0.3%)
06:45 (NZ) 10-12月期 就業者数 前年同期比 (7−9月 4.2%、予想 3.8%)
06:45 (NZ) 10-12月期 失業率 (7−9月 3.4%、予想 3.4%)
08:50 (日) 1月 マネタリーベース 前年同月比 (12月 8.3%)
10:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (12月 5.0%、予想 4.4%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (12月 2.6%、予想 1.8%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (12月 80.7万人、予想 20.8万人)
24:00 (加) グラベル・カナダ中銀副総裁、講演
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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