ドル続伸期待、発表される米経済指標に注目(週報1月第5週)

先週のドル/円相場は、ドルが再上昇。一時115円台後半を示現し、年初来高値116.35円も意識されはじめている。

ドル続伸期待、発表される米経済指標に注目(週報1月第5週)

ドル続伸期待、発表される米経済指標に注目

〇先週のドル円、週後半にかけ右肩上がりで115.68まで一時値を上げる
〇FOMCで「3月利上げを示唆」したドルが基本的に買われやすい環境
〇今週は1月ISM製造業景況指数や雇用統計といった重要な米経済指標が発表予定
〇今週のドル/円予想レンジは、114.00-116.50、先週高値115.68を抜ければ116円台回復も

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場は、ドルが再上昇。一時115円台後半を示現し、年初来高値116.35円も意識されはじめている。

前週末、英外務省が「ロシアはウクライナで政権転覆を画策している」などと発表し物議を醸す。一方、台湾国防部は、同国防空識別圏に中国軍機39機が侵入したと発表。一日当たりの進入数では今年最多になるとしていた。
そうした状況下、ドル/円は113.65円前後で寄り付いたのち、しばらくは冴えない。その過程のなかで週間安値113.47円を示現するも、その後は右肩上がりの展開。トータル2円を超える上昇をたどるなど、115.68円まで一時値を上げている。週の最終盤に掛けてはやや値を崩したものの、それでも115円台は維持。週末NYは115.20円台で取引を終え、越週となった。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、25-26日の米FOMCでFRBが「政策金利の誘導目標を近く引き上げるのが適切だと想定する」と明記した声明を発表している。つまり、3月15-16日の次回会合で利上げに踏み切ることを予告したわけだ。強気な内容ではあったものの、基本的には予想の範囲内。逆に期待されていた「年内利上げの回数」や「利上げ実施の幅」などへの言及はなく、むしろ不完全燃焼の感も否めなかったが、市場ではそれすら好意的に解釈する向きが多かった。実際、先週のドル/円相場はFOMCをひとつのキッカケに、週末に向けたドル高が進行する展開をたどっている。

対して後者は、先で取り上げたウクライナをめぐる英国の発表をめぐり、にわかにロシアとの関係が悪化。また「米国務省が在ウクライナ大使館員の家族に対し、国外へ退避を始めるよう命じた」、あるいは「バイデン大統領が米軍約8500人に派兵準備を急ぐよう指示した」ことも明らかとなり、緊張感の高まりがさらに増長させていたようだ。そうしたなか、週末28日に仏露首脳による電話会談が行われるなど、幾つかのアクションが観測されたものの、目立った進展はなし。ロシアのラブロフ外相が発した「2週間以内に米と会談」で局面が打開されるのかが早くも市場で注視されている。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円は115円台をしっかり回復したこともあり、さらなるドルの続伸リスクを警戒する声が少なくない。フィボナッチの観点では、年初来高値116.35円を起点とした下げ幅の76.4%戻し115.65-70円でちょうど上げ止まったものの、しっかり超えれば100%戻しの116.35円がターゲットとなりそうだ。ただし、問題はその先のシナリオで、ダブルトップを付けたのちのドル再下落を見込む向きもある反面、飽くまでも通過点で120円に向けたさらなる上昇を期待する声もチラホラ挙がっていた。
日米を中心とした各国金融政策への関心が依然として高いなか、前述したようにFOMCで「3月利上げを示唆」したドルが基本的に買われやすい環境だ。そうしたなか、今週は週末の米雇用統計をはじめ重要な米経済指標が発表される予定となっており、その内容を注視している向きが非常に多い。市場予想を上回る強い内容だった場合、FRBの積極的な金融引き締めスタンスを後押しする可能性もある。なお、リスク要因は引き続き不安定な米株の動きならびに新型コロナ感染状況。そして、ウクライナをめぐる混迷深まる米露対立などにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、ドル/円は2週間ほど115円レベルを上限としたレンジ取引をたどっていたが、先週それを「しっかり」と上抜け。ドルの続伸が期待されている。フィボナッチポイントにもあたる先週高値115.68円を超えていけば、年初来高値116.35円が再び視界内に捉えられそうだ。
それに対するドルのサポートは、足もと114.80-90円で推移する移動平均の21日線。先週末の動きなどをみると底堅そうだが、意に反しアッサリ下回ってしまうと、前記したドル上値トライは「ダマシ」だったということになりかねない。

材料的に見た場合、中長期的には、今週末にいよいよ北京五輪が開幕する「中国情勢」、弱毒性とはいうものの感染者の多さから各国ともインフラへの影響が懸念されている「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「ウクライナ情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週は、1月のISM製造業景況指数や同雇用統計といった重要な米経済指標が発表される予定だ。前段で指摘したように先週のFOMCで米利上げについて強気の見通しが示されただけに、それを後押しするような強い内容となるのかにまずは注目。また、豪州やECBなどの政策金利発表も要注意。

そんな今週のドル/円予想レンジは、114.00-116.50円。ドル高・円安については、まずは先週高値の115.68円。抜ければ116円台回復から、116.35円も意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週「しっかり」上回ったあとは一度も下回っていない115円レベルの攻防にまずは注目。その少し下には21日線が位置しており、かなり底堅く推移する可能性もある。ただ、後者も割り込むようだと114円割れもあるか。

ドル続伸期待、発表される米経済指標に注目

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