ドル円見通し ダブル底からの上昇一服するも中勢のドル全面高感強まる(週報1月第5週)

ドル円は1月28日夕方に115.68円を付けて1月24日安値113.46円以降の高値を更新した。

ドル円見通し ダブル底からの上昇一服するも中勢のドル全面高感強まる(週報1月第5週)

ドル円見通し ダブル底からの上昇一服するも中勢のドル全面高感強まる

〇先週のドル円、1/28に115.68の高値を付け115円台を維持して越週
〇FOMC後のドル全面高でダブルボトムを完成、高値切り上げに向かうか
〇ユーロドル1/28安値で1.1119ドルへ下落、1.10ドル割れを試す動きに
〇FOMC後年内の米利上げ回数が3回から4回以上へとペースアップする可能性を市場は織り込む
〇2/3の英中銀、ECBのスタンス、2/4の米雇用統計に注目
〇115円以上での推移で上昇基調継続とし、115.68超えからは116円台序盤を目指す
〇114.90割れからはやや深めの調整安を見込み114.50前後試しを想定

【概況】

ドル円は1月28日夕方に115.68円を付けて1月24日安値113.46円以降の高値を更新した。深夜に115.10円まで反落したものの115円台を維持して週を終えた。1月27日早朝の米連銀FOMCが金融引き締め姿勢を一層強めていると市場が受け止めてからはドル全面高の様相であり、ドル円は1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとした反騰を継続、FOMC後に114.50円を超え、27日夜には1月18日高値115.05円を超えてダブルボトムを完成させ、1月4日高値116.34円以降の戻り高値を結んだ調整安の上値抵抗線も突破した。連騰一服で28日夜にやや下げたものの足場を固めつつ高値切り上げへ向かう流れと思われる。

【ドル全面高の様相】

ユーロドルは1月28日安値で1.1119ドルへ下落した。昨年1月6日高値1.2349ドルと5月25日高値1.2266ドルをダブルトップとしての下落が続き、11月24日安値1.1184ドルからは下げ渋りに入り1月14日には1.1482ドルまでいったん戻していたのだが、その後の下落で11月24日安値を割り込む一段安となっため、昨年1月と5月のダブルトップからの下落継続に入っている。より長期的に見れば2015年以降は1.05ドル前後を下値支持線として1.25ドル前後までを上値抵抗線としたボックス型持ち合いでの往来であり、昨年1月と5月のダブルトップからの下落によりこのボックス型持ち合いの中心値を割り込んできたため、今後は1.10ドル割れを試してさらにボックス型持ち合いの下限へ向かう可能性も出てきていると思われる。

ポンドドルも12月8日安値から1月13日高値まで戻したところから下落に転じてきたが、既に戻り幅の3分の2を削っており、下落規模も昨年6月や10月からの下落時に匹敵する動きとなっている。また豪ドル米ドルは1月28日の下落で昨年12月3日安値を割り込んでユーロドルに続いて既に一段安に入っている。新興国通貨もメキシコペソが1月17日から下落に転じ、南アランドも1月24日から下落に転じている。
米連銀の金融引き締め開始を背景にドル高感が一段と強まり始めていることがドル円を押し上げており、多少の調整安を消化しながらも1月4日高値超えを目指す流れへと進みやすくしている印象だ。

【ECB、英中銀の引き締め姿勢が試され、週末の米雇用統計へ向かう】

1月27日早朝の米FOMC声明及び議長会見では早期のテーパリング終了、3月からの利上げ開始見通し、膨大に膨れ上がった米連銀資産の圧縮=量的引き締めを向こう数か月以内に開始するというものだったが、FOMCメンバーによる今年と来年の利上げ回数や金利水準などの見通しは次回3月のFOMCで示される。パウエル議長はリーマンショック対策が一巡した後の金融引き締め時よりも早いペースでの資産圧縮となる姿勢を示した。
FOMCの声明及び議長会見を受けて年内の利上げ回数が12月時点の3回から4回以上へとペースアップする可能性が高まったと市場は受け止めた。短期金利先物市場では年5回の利上げが織り込まれ始めているが、中には6回の利上げ予想も出ている。また金利の引き上げペースも0.25%ずつではなく0.50%の引き上げから始まるのではないかとの予想も出始めている。

米連銀の利上げが始まってもインフレの進行を抑制できないのではないかという懸念も出てきている。オミクロン株による感染拡大が世界規模のサプライチェーン停滞を招き、ウクライナ情勢の緊張や中東の地政学的リスクの高まり、中国によるゼロコロナ政策による景気圧迫が長期化すれば米連銀の対応も後手に回っている印象が強まり、引き締めペースが今後さらに加速する可能性も取り沙汰される状況だ。

2月3日には英中銀MPC(金融政策委員会)の結果発表があるが、政策金利が現行の0.25%から0.50%へと引き上げられるのではないかと市場は予想している。英中銀は米連銀に先駆けて既に利上げ再開に踏み切っているものの量的緩和による資産購入規模は据え置いてきた。
2月3日はECB理事会もある。政策金利などは現状維持とみられるが、ユーロ圏のインフレ進行に対するECBの危機感が強く示されるかどうか注目される。
2月4日には米雇用統計の発表もある。1月28日に米商務省が発表した12月個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比5.8%上昇となり1982年7月以来凡そ39年ぶりの高水準、コア指数でも4.9%上昇で1983年以来の高水準となり米連銀への引き締め要請圧力も高まったが、雇用統計でも平均時給の伸び(前年比では12月の4.7%から5.2%へ上昇するとの事前予想)が注目される。

【中勢レベルでの上昇力】

【中勢レベルでの上昇力】

1月24日安値113.46円では11月30日安値112.52円割れには至らず、既に1月4日高値からの下げ幅に対する3分の2戻し以上へと切り返している。
昨年1月6日底102.52円を起点とした上昇基調においては、昨年4月23日安値107.46円から8月4日安値108.71円と底上げして一段高を繰り返してきたが、11月30日安値から1月24日安値にかけても底上げをして切り返しており、昨年1月6日安値と9月15日安値を結んだ長期の上昇トレンド支持線も維持している。このため11月24日高値115.51円から1月4日高値116.34円へと高値ラインを切り上げてきた流れで117円台を目指す可能性があると思われる。
より長期的に見れば、2017年5月以降の壁であった115円を超え、2016年12月天井からの右肩下がりの下降チャンネルから脱却し、下降チャンネルにおける凡そ半年レベルの上昇で一巡するという限界も超えてきているため、2016年12月天井118.65円、2015年6月天井125.84円等を目指す可能性もあるところと考える。

【当面のポイント】

(1)当初、114.90円を下値支持線、1月28日夕高値115.68円を上値抵抗線とみておく。
(2)目先は連騰に対する調整安を継続しやすい状況と注意し、115円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返すうちは1月24日からの上昇基調継続とし、115.68円超えからは116円台序盤(116.00円から116.25円)を目指すとみる。2月3日夜の英中銀、ECB理事会、2月4日の米雇用統計等を上昇基調で通過する場合は116円台中盤(116.30円から116.70円)へ上値目途を引き上げる。
(3)114.90円割れからはやや深めの調整安とみて114.50円前後試しを想定するが、114.50円前後は買い戻しも入りやすいとみる。114.90円を割り込んだ後に115.30円を超えるところからは上昇再開として116円超えを目指す流れを想定する。<30日14:00>

【当面の主な予定】

1/31(月)
休場、中国、シンガポールとマレーシアはゴム市場休場・他は短縮取引
08:50 (日) 12月 鉱工業生産速報値 前月比 (11月 7.0%、予想 -0.6%)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産速報値 前年同月比 (11月 5.1%、予想 2.9%)
08:50 (日) 12月 小売業販売額 前年同月比 (11月 1.9%、予想 2.7%)
14:00 (日) 12月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (11月 3.7%、予想 8.1%)
14:00 (日) 1月 消費者態度指数・一般世帯 (12月 39.1、予想 37.0)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP速報値 前期比 (7-9月 2.2%、予想 0.3%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP速報値 前年同期比 (7−9月 3.9%、予想 4.7%)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数速報値 前月比 (12月 0.5%、予想 -0.3%)
22:00 (独) 1月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (12月 5.3%、予想 4.4%)
23:45 (米) 1月 シカゴ購買部協会景況指数 (12月 63.1、予想 61.7)
25:30 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、オンライイベントで講演
26:40 ジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁、講演

2/1(火)
休場、中国、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ベトナム
06:45 (NZ) 12月 貿易収支 (11月 -8.64億NZドル)
08:30 (日) 12月 失業率 (11月 2.8%、予想 2.8%)
08:30 (日) 12月 有効求人倍率 (11月 1.15、予想 1.16)
09:30 (豪) 12月 小売売上高 前月比 (11月 7.3%、予想 -1.7%)
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 0.10%、予想 0.10%)
16:00 (英) 1月 ネーションワイド住宅価格 前月比 (12月 1.0%、予想 0.6%)
17:55 (独) 1月 製造業PMI改定値 (速報 60.5)
17:55 (独) 1月 失業者数 前月比 (12月 -2.30万人、予想 -0.25万人)
17:55 (独) 1月 失業率 (12月 5.2%、予想 5.2%)
18:00 (欧) 1月 製造業PMI改定値 (速報 59.0)
18:30 (英) 1月 製造業PMI改定値 (速報 56.9)
19:00 (欧) 12月 失業率 (11月 7.2%、予想 7.2%)
23:45 (米) 1月 製造業PMI改定値 (12月 55.0)
24:00 (米) 1月 ISM製造業景況指数 (12月 58.7、予想 58.0)
24:00 (米) 12月 建設支出 前月比 (11月 0.4%、予想 0.7%)

2/2(水)
休場、中国、香港、台湾、韓国、ベトナム、ベトナム、マレーシア、シンガポール
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
OPECプラス閣僚級会合
06:45 (NZ) 10-12月期 就業者数 前期比 (7−9月 2.0%、予想 0.2%)
06:45 (NZ) 10-12月期 就業者数 前年同期比 (7−9月 4.2%、予想 3.8%)
06:45 (NZ) 10-12月期 失業率 (7−9月 3.4%、予想 3.5%)
08:50 (日) 1月 マネタリーベース 前年同月比 (12月 8.3%)
10:30 (豪) ロウ豪中銀総裁、講演
19:00 (欧) 1月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (12月 5.0%、予想 4.0%)
19:00 (欧) 1月 消費者物価コア指数速報値 前年同月比 (12月 2.6%、予想 1.7%)
22:15 (米) 1月 ADP非農業部門雇用者数 前月比 (12月 80.7万人、予想 20.8万人)
24:00 (加) グラベル・カナダ中銀副総裁、講演

2/3(木)
休場、中国、香港、台湾、ベトナム
中ロ外相会談(北京)
09:30 (豪) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 3.6%)
09:30 (豪) 12月 貿易収支 (11月 94.23億豪ドル)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.2)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 51.2)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 1.8%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 23.7%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、会見

21:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、会見
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (7−9月 -5.2%、予想 2.3%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (7−9月 9.6%、予想 1.9%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.0万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.5万人)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 62.0、予想 59.6)
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 1.6%、予想 0.1%)
24:00 (米) 上院銀行委員会、米連銀銀行監督担当副議長ら指名承認公聴会

2/4(金)
休場、中国、台湾、ベトナム
冬季五輪北京大会(2/20まで)、ロシア大統領開会式出席
06:45 (NZ) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 0.6%)
09:30 (豪) 豪中銀、四半期金融政策報告
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 3.7%、予想 0.0%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 1.3%、予想 2.5%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.0%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 7.8%、予想 5.6%)
21:15 (英) 英中銀のブロードベント副総裁、ピル理事が講演
22:30 (米) 1月 非農業部門就業者数 前月比 (12月 19.9万人、予想 17.8万人)
22:30 (米) 1月 失業率 (12月 3.9%、予想 3.9%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前月比 (12月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前年同月比 (12月 4.7%、予想 5.2%)

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