来週の為替相場見通し:『タカ派なFOMCを受けてドル円急伸。続伸リスクに要警戒』(1/29朝)

ドル円は、今週は再び115円台へ切り返すなど、底堅い動きが確認されます。

来週の為替相場見通し:『タカ派なFOMCを受けてドル円急伸。続伸リスクに要警戒』(1/29朝)

『タカ派なFOMCを受けてドル円急伸。続伸リスクに要警戒』

〇今週のドル円、FOMCでの早期利上げ、B/S縮小方針、議長のタカ派発言等に115.69まで急伸
〇上記を背景とした米長期金利の上昇、米4QGDPの大幅改善もドル円を支援
〇ユーロドル、FOMC後の米長期金利上昇とウクライナでの地政学リスク増大で週末1.1122まで下落
〇ドル円、転換線や基準線、21日移動平均線等を上抜け、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いがドル高・円安トレンドの継続を示唆
〇ISM指数、米雇用統計等の発表控え、来週はアップサイドリスクに注意を要する1週間
〇来週の予想レンジ(USDJPY):114.00ー116.50、来週の予想レンジ(EURUSD):1.1025−1.1275

今週のレビュー(1/24−1/28)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初113.66で寄り付いた後、早々に週間安値113.47まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、@米FOMC声明にて、@「FRBはFF金利の誘導目標レンジを引き上げることが間もなく適切になると予想している(the Committee expects it will soon be appropriate to raise the target range for the federal funds rate)」との見解が示されたこと(市場は3月利上げの地均しと解釈)や、A声明文と同時に公表された「米連邦準備理事会のバランスシート規模縮小に関する原則」の中で、「バランスシートの圧縮は利上げ開始後に実施すること(The Committee expects that reducing the size of the Federal Reserve's balance sheet will commence after the process of increasing the target range for the federal funds rate has begun)」が示されたこと(市場は早期QT着手の地均しと解釈)、

BパウエルFRB議長より「金利を引き上げる余地はかなりある」「毎回のFOMC会合で、利上げする可能性を排除しない」「バランスシートの縮小は前回より早期で急速の可能性がある」といったタカ派的な発言が相次いだこと(市場は3月50bp利上げや、3月・5月・6月の連続利上げ、ハイペースなQT進行への地均しと解釈)、C上記@ABを背景に米長期金利が急騰したこと(米10年債利回りは一時1.88%へ急上昇)、D日米金融政策格差が改めて意識されやすくなったこと、E米10ー12月期GDP速報値(結果6.9%、予想5.5%)が市場予想を大幅に上回ったこと(1984年以来の伸び率)などが支援材料となり、週末にかけて、週間高値115.69まで急伸しました。引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/29午前5時40分現在)では、115.23前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.1343で寄り付いた後、早々に週間高値1.1346まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、@ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(ロシア政府は米政府がウクライナ情勢を踏まえ約8500人の兵士を欧州派遣要員として待機させていることを「深刻な懸念を持って注視している」と発言)や、A上記@を背景とした欧州経済の先行き不透明感(欧州とロシアの関係性悪化→ロシアによる天然ガス供給抑制→欧州圏でインフレ発生→欧州経済打撃の波及経路)、B米FOMC及びパウエルFRB議長記者会見のタカ派的な結果、C上記Bを背景した欧米金融政策の方向性の違い、

Dテクニカル的な地合いの弱さ(昨年11/24に記録した直近安値1.1185を下抜けたことで短期筋のロスカットを誘発した他、強い売りシグナルも複数点灯)が重石となり、週末にかけて、2020年6月以来、約1年8ヵ月ぶり安値となる1.1122まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/29午前5時40分現在)では、1.1145近辺で推移しております。

来週の見通し(1/31−2/4)

<ドル円相場>
ドル円は1/4に記録した約5年ぶり高値116.36をトップに反落に転じると、1/14に一時113.47まで急落しましたが、今週は再び115円台へ切り返すなど、底堅い動きが確認されます。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆するパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を印象づけるチャート形状となりつつあります(来週は一目均衡表の三役好転が再点灯する見通し→投資家心理改善に繋がる公算大)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米金融政策の早期正常化観測(今週発表された米FOMCでは、3月利上げの地均しや、連続利上げの可能性、利上げ実施後のバランスシート縮小方針が示されるなど、極めてタカ派的な結果に)や、A日銀による金融緩和の長期化観測(日銀は先週の金融政策決定会合で2022年度の消費者物価見通しを小幅な上昇修正にとどめた他、声明文でも「必要なら躊躇なく追加緩和を実施する」と言明。黒田総裁からも「金利を引き上げることは想定していない。必要なら更に引き下げる」「為替の円安が全体として日本経済にプラスとの構図に変化ない」とハト派的なスタンスを明確化)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違いなど、ドル高・円安トレンドの継続を示唆する材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/1に予定されている米1月ISM製造業景況指数や、2/3の米1月ISM非製造業景況指数、2/4の米1月雇用統計などに注目が集まります。米FRBによるタカ派傾斜に端を発した株安の流れを止めるためには、実体経済の回復が不可欠となるため、今後は米経済指標への注目度が今まで以上に高まることが予想されます。来週発表される一連の米主要経済指標が良好な結果を示せば、リスク選好の円売りと、米金利上昇に伴うドル高が重なることから、ドル円が1/4に記録した約5年ぶり高値116.36に向けて一気に上伸する可能性もあるため、来週はアップサイドリスクに注意を要する1週間となりそうです。

来週の予想レンジ(USDJPY):114.00ー116.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は1/14に記録した約2ヵ月ぶり高値1.1484(昨年11/11以来)をトップに反落に転じると、週末にかけて2020年6月以来、約1年8ヵ月ぶり安値となる1.1122まで急落しました。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや一目均衡表雲下限といった主要サポートポイントを軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する三役逆転やパーフェクトオーダー、弱気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを決定付けるチャート形状となっております(長らく続いた1.1200−1.1400レンジを1/12に上抜けたことで、地合いの好転が期待されましたが、結局上方ブレイクが騙しとなる形で1/27に1.1200を下方ブレイク)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米金融政策の早期正常化観測(今週発表された米FOMC及びパウエルFRB議長記者会見が極めてタカ派的な結果→米長期金利急上昇→米ドル高)や、AECBによる金融緩和の長期化観測(ラガルドECB総裁は1/20に「ECBはFRBほど迅速に行動しない理由がある」と発言→ECBによるタカ派傾斜観測を否定→ユーロ売り)、B上記@Aを背景とした欧米金融政策の方向性の違い(ユーロ売り・ドル買い)、C欧州経済の先行き不透明感、Dウクライナを巡る地政学的リスクなど、ユーロドルの下落を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は2/3に予定されているECB理事会に注目が集まります。政策変更は見込まれていないものの、インフレに対する見解(足元のインフレ加速に対して、政策調整を滲ませる発言を行うか否か)次第では乱高下する恐れもあるため、ECB理事会後のボラティリティ急拡大に注意が必要でしょう(当方は引き続きECBは緩和的なスタンスの継続を強調すると予想しているため、一部で燻っている12月利上げ観測を否定する形でユーロドルには下落圧力が加わると予想。状況次第では心理的節目1.1000割れを試すシナリオも想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1025−1.1275

注:ポイント要約は編集部

『タカ派なFOMCを受けてドル円急伸。続伸リスクに要警戒』

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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