株安から円高を試しやすい流れが続く
〇先週のドル円、115円トライと株価切り返しのタイミング重なり週末へじり安の展開に
〇今週のFOMC、利上げ開始時期や回数、バランスシート縮小についての発言に注目
〇FOMCだけでなくウクライナ問題や株式市場もリスクオフ要因、今週も上値の重たい展開か
〇今週は113.30レベルをサポートに114.30レベルをレジスタンスとする流れとみる
今週の週間見通し
先週のドル円は週初こそ強めの株式市場に反応して円売りが先行したものの、株価が切り返したタイミングがちょうど115円トライと重なったこともあって、その後は週末に向けて株価とともにじり安の展開を辿りました。今週のFOMCで終わりではありませんが、今回のFOMCから2022年メンバーとなり昨年よりもタカ派寄りの地区連銀総裁が増えること、また主要金融機関間からも利上げ前倒し思惑を加速させる発言が続き、株式市場ではリスクオフの売りが本流で、その巻き返しを戻り売りとする流れになってきています。
ドル円、クロス円もこの株式市場のリスクオフを主要なテーマとしてまずは今週のFOMCの結果を見ようという展開ですが、既に3月でテーパリング終了は決まっているので、終了と同時に利上げを開始するといった発言が出てくるのかどうか、またパウエル議長の会見で利上げ回数やバランスシート縮小についてどのような発言が出てくるのかが注目されます。
既に市場参加者は前回FOMC時点よりもタカ派的であることを織り込んでいますので、逆に前回と変わらないというようなことになると株式市場は買いで反応し、為替市場も円安という動きになりますが可能性は低そうです。3月FOMCまで2か月あることから、それまでの経済指標等も判断しながらではあるでしょうが、最近の市場参加者の思惑に寄せてタカ派的会見になるのではないでしょうか。
FOMCを前に現時点でのFF先物(政策金利の先物)を確認しておきましょう。
グレーの水平線は0.25%刻み、ブルーの縦線はFOMC開催日、ラインチャートは下から2022年3月、6月、9月、12月限の金利水準を示しています。3月利上げはまだ8割程度の織り込みですが、6月以降は2回、3回、4回を完全に織り込み、2022年12月限は先週から1%の大台に乗せてきています。昨年10月時点では2022年末で1回の利上げだったことを考えると、急速に利上げ見通しが前倒しとなって来ていることがわかりますね。
今回のFOMCで3月限が0.25%に乗せる水準で取引されるのかどうか、その可能性は高そうではありますが、FOMC後に改めて見てみることとしましょう。
またFOMCだけでなく、ウクライナ問題と株式市場もリスクオフ要因となっていますので、今週も引き続きドル円は上値の重たい展開が続きそうですが、テクニカルにも見てみましょう。日足チャートをご覧ください。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみを平均足と同様とすることで、短期的な方向性(白=上昇、黒=下降)を見やすくした独自チャートとなっています。また、一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。
これまでのところ1月高値から着実に水準を切り下げ、現状はピンクの平行線で示した下降チャンネルの中で11月末安値と年始高値の78.6%(61.8%の平方根)となる113.33をターゲットに下降トレンドを継続中と考えています。ただ、そこまで下げると11月安値112.52も視野に入れる動きにつながりますし、11月安値を下抜けると簡単にはドル高には戻らないという動きとなってきます。そうした下値リスクも考えながら現在は直近安値を下抜け113円台前半を試す流れと見ておきたいところです。
いっぽうで上値は限定的であるとは思うものの114円台前半程度までの戻しはあってもおかしくありません。今週は113.30レベルをサポートに114.30レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。影響が少ないものはあえて省いています。FRB地区連銀総裁講演の内、2022年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀総裁はカッコ付で示しました。また、わかりやすさ優先であえて正式呼称で表記していない場合もあります。特に重要度の高いイベントに☆印を付けました。
1月24日(月)
17:15 フランス1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
17:30 ドイツ1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:00 ユーロ圏1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
18:30 英国1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
23:45 米国1月製造業・サービス業PMI速報値 ☆
1月25日(火)
09:30 豪州10〜12月期CPI ☆
09:30 豪州12月企業景況感
18:00 ドイツ1月企業景況感
23:00 米国11月住宅価格、ケースシラー住宅価格
24:00 米国1月消費者信頼感
24:00 米国1月リッチモンド連銀製造業景況指数
30:45 NZ12月貿易収支
**:** FOMC(〜26日)
1月26日(水)
08:50 日銀会合主な意見公表 ☆
16:45 フランス1月消費者信頼感
22:30 米国12月卸売在庫
24:00 カナダ中銀政策金利発表 ☆
24:00 米国12月新築住宅販売
24:30 週間原油在庫統計
28:00 FOMC結果発表 ☆
28:30 パウエルFRB議長会見 ☆
30:45 NZ10〜12月期CPI
1月27日(木)
09:30 豪州10〜12月期輸入物価
16:00 ドイツ2月消費者信頼感
18:30 南ア12月PPI
**:** 南ア中銀政策金利発表 ☆
22:30 米国10〜12月期GDP速報値 ☆
22:30 米国新規失業保険申請件数
22:30 米国12月耐久財受注
24:00 米国12月住宅販売保留件数
1月28日(金)
08:30 本邦1月東京区部CPI ☆
09:30 豪州10〜12月期PPI
16:45 フランス10〜12月期GDP速報値 ☆
16:45 フランス12月PPI
18:00 ドイツ10〜12月期GDP速報値 ☆
19:00 ユーロ圏1月消費者信頼感
22:30 米国12月個人所得・消費支出 ☆
22:30 米国10〜12月期雇用コスト
24:00 米国12月ミシガン大消費者信頼感
前週の主要レート(週間レンジ)
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時~NY午後5時のインターバンクレート。
先週の概況
1月17日(月)
ドル円は週末NY市場での買い戻しの動きを受け、週明けもドルがじり高の展開を辿りました。しかしNY市場が休場となっていることもあり、取引はあまり活発では無いまま114.65レベルまで上昇し高値圏での引けとなりました。
1月18日(火)
ドル円は日銀会合の結果発表前から買い戻しが強まり、現状維持の発表直後に115.06レベルの高値をつけました。これは先週末に可能性は低そうなものの日銀の緩和縮小思惑があったことの反動でした。その後は急速に日経平均株価が下げる動きの中でドル円も早朝水準へと押し、海外市場では114.60レベルをもみあいの中心とした小動きに終始しました。
1月19日(水)
ドル円はNY市場前場までは日経平均と先物の動きに沿って売られた後にやや買い戻され上値は重くと、あらためて売りが出る流れとなっていました。ただ株式市場に比べるとドル円の動きは鈍く114円台半ばから前半へとやや水準を下げた程度に留まっていました。
1月20日(木)
ドル円は東京市場では日経平均の動きとともに下押し後に買い戻しが入ったものの114.55レベルまでと、114円台半ばでの戻り売りの強さが昨日に続き再確認された格好となりました。海外市場ではNY後場までは株式市場も落ち着いていましたが上値は重たいままで、一時113.96レベルまで水準を下げ安値圏での引けとなりました。
1月21日(金)
ドル円は日経平均株価・先物と動きを揃える週末となりました。東京朝方に売りが強まり113.61レベルの安値をつけた後、後場は買い戻しが目立ち早朝水準まで戻しました。海外市場で改めて株式市場に売りが目立ちドル円も113.60レベルまで下げたもの同水準では買いもしつこく、NY後場のダウの下げにもかかわらずどちらかというと底堅い週末の引け具合となりました。
ディスクレーマー
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