米FOMCに注目、ドル安基調は反転なるか
〇先週のドル円、週末にかけ113.60まで下落、先週14日直近安値113.48にはとどかず
〇今週実施予定の米FOMC、前回発表の「3月以降3回の利上げ」、次の方向性を注視
〇下放れた場合昨年11月末112.54がターゲット、上放れだと年初来高値116.35視界内に
〇今週は米1月消費者信頼感指数、同10-12月期GDP速報値、企業決算にも注目
〇今週のドル/円予想レンジは112.50-115.00、115円前後が強い抵抗
〇ドル安・円高方向は1/14安値113.48が強いサポート、割り込めば113円割れも
<< 先週の回顧 >>
先週のドル/円相場は、ドルが小安い。週末にかけ下げ幅を拡大させたが、それでも前週に記録した直近安値113.48円を下回ることは出来なかった。
前週末、南太平洋のトンガ諸島で海底火山の噴火が発生。日本を含めた太平洋周辺の広い範囲に津波をもたらしたことが話題に。また米ホワイトハウスが「日米首脳、21日にオンライン形式で協議を行う」と発表したことも、市場関係者のあいだで思惑を呼ぶ。
そうした状況下、ドル/円は114.15円レベルで寄り付いたのち、当初はドル買い先行。一時週間高値である115.06円まで値を上げた。しかし勢いは続かず、週末にかけてドルは反転安の「行って来い」。114円を割り込み、113.60円まで下落したものの、先週示現した直近安値113.48円にはとどかず。週末NYは113.70円レベルと、週間を通したドル安値圏で推移し、越週している。
一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「ウクライナ情勢」について。
前者は、18日に金融政策決定会合を開いた日銀が「現在の大規模な金融緩和策を維持することを決定した」と発表。また、そののち記者会見で黒田日銀総裁から「2%物価目標の実現目指し現行の緩和政策を継続」、「利上げや緩和的な政策変える必要ないし議論もない」といったコメントが聞かれていた。一方、米国については、いわゆる「ブラックアウト期間」で当局者からの発言が控えられるなか、月末25-26日に実施される米FOMCについて様々な思惑が交錯。先週末に掛けては、オミクロン株の感染拡大が利上げの足かせになる可能性が聞かれた反面、市場の一部からは「3月に0.5%の利上げ実施」などとする超強気の見通しも囁かれていたもよう。
対して後者は、週明けからロシアの威嚇ともいえるような行動が目に付き、危機的状況がそこここで取り沙汰されていた。たとえば、早々に米政府からは「ロシアのウクライナ攻撃はいつ起きてもおかしくはない」と危機を喚起するコメントが発せられたほか、週末にかけバイデン米大統領から「国境を超えてウクライナに入れば、侵攻とみなすことを明確にする」との発言も。しかし米国や欧州、英国、カナダなどが同調圧力を高めるなか、反面でロシアもプーチン大統領とイランのライシ大統領が会談を行い、「対米共闘」を確認するなど対立姿勢がさらに先鋭化されていたようだ。
<< 今週の見通し >>
先週4日に高値116.35円を示現後のドル/円相場は、基本的にレンジ相場の様相。ただ、前述したように先週は週末にかけ週間安値を示現、そしてそのまま週間最安値圏で越週するなど、リスクという意味ではやや下方向か。先週末のNYクローズではなんとか維持した感のある移動平均の90日線、あるいは14日に記録した安値113.48円などを下回るようだと、さらなるドル安進行、112円台突入を否定できないかもしれない。
日米を中心とした各国金融政策への関心が依然として高いなか、今週まずは米FOMCに注目だ。前回発表された議事録要旨でも「今年3月以降に3回の利上げ実施」の考えが示されており、そこまでは既定路線。今回さらに一歩踏み込んだものとなるのか、それとも逆に後退するのかが注視されている。個人的には力強いメッセージを発するもので、4回目の利上げに含みを残すようなものになると推測しているが、期待外れに終わればなし崩し的なドル売り進行も。また、それとは別に風雲急を告げる様相を呈しているウクライナ情勢、米露対立の構図なども気掛かりだ。
テクニカルに見た場合、ドル/円は113円半ばから115円レベルまで、ここ最近は1.5円ほどのレンジ相場となっている。方向性が乏しいことは否めず、このあともいましばらくはレンジ取引が続く公算が多い。次のトレンドを探る展開か。
ただ、それでも週の半ば、米FOMC後には次の方向性が決定付けられることになりそうで、仮に下放れた場合には昨年11月末の112.54円がターゲットとなる反面、上放れるようだと年初来高値116.35円が再び視界内に捉えられそうだ。
材料的に見た場合、中長期的には、恒大集団を中心とした不動産リスクや北京五輪開催懸念など、様々な問題を抱えたままの「中国情勢」、東京をはじめとする日本の感染拡大も気掛かりな「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」、「ウクライナ情勢」−−などに注目。
そうしたなか今週は、1月の消費者信頼感指数や10-12月期GDP速報値といった重要な米経済指標が発表されるほか、前段で何度も指摘をした米FOMCにももちろん要注意だ。また、米企業に続き欧州企業の決算発表も開始されることから、そちらにも場合によっては波乱要因に。
そんな今週のドル/円予想レンジは、112.50-115.00円。ドル高・円安については、強い抵抗となれば移動平均の21日線も近くに位置する115円前後。抜ければ115円台半ばや116.35円などが意識されそうだ。
対するドル安・円高方向は、先週安値も近い14日安値の113.48円がなかなか強いサポートで攻防にまずは注目だ。割り込めば113円割れ、そして112円半ばがターゲットに。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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