トルコリラ円見通し 中銀の利下げ回避もリラ買いは一時的、持ち合い続く(22/1/24)

トルコリラ円の1月21日は8.54円から8.41円の取引レンジ、22日早朝の終値は8.44円で前日終値の8.54円からは0.10円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 中銀の利下げ回避もリラ買いは一時的、持ち合い続く(22/1/24)

中銀の利下げ回避もリラ買いは一時的、持ち合い続く

〇トルコリラ円3週続けて持ち合い推移続く、22日早朝終値は8.44で前週末と変わらず
〇対ドルもやや戻り高値を切り上げているが13リラ台での持ち合いから抜け出せない状況
〇20日発表されたトルコ中銀の純外貨準備高は75.5億ドルで2002年以来の低水準に
〇8.52以下での推移中は下向き、8.40割れからは8.30台中盤を試すとみる
〇8.52超えからは8.60前後を試すとみる、8.60以上は反落注意

【概況】

トルコリラ円の1月21日は8.54円から8.41円の取引レンジ、22日早朝の終値は8.44円で前日終値の8.54円からは0.10円の円高リラ安だった。
1月20日にトルコ中銀は市場予想通りに政策金利の週間レポレートを14%で据え置いたが、市場予想通りとあって発表後にいったん8.61円まで上昇したものの買い一巡から失速して元の水準に押し返され、21日もジリ安の推移に終わったが、21日午後からのドル円の下落にも圧迫された。
9月からの4会合連続利下げを嫌気した暴落で12月20日に6.17円の史上最安値を付け、リラ預金の為替差損補填政策発表から12月23日に11.14円へ急反騰するも戻り一巡から1月3日には8.13円まで反落し、その後は3週間続けて1月3日の高安レンジ内にとどまる持ち合いでの推移となっている。週間では前週末の8.44円と変わらずで終わっている。

【対ドルでは13リラ台での持ち合い続く】

ドル/トルコリラの1月21日は13.48リラから13.29リラの取引レンジ、22日早朝の終値は13.43リラで前日終値の13.35リラからは0.08リラのドル高リラ安だった。
1月20日トルコ中銀の政策金利据え置きを受けて13.25リラへ反発したもののリラ買い一巡後はジリ安の推移に入り、21日も終日軟調な展開に終わった。
週間ベースでは前週末の13.52リラから0.09リラのドル安リラ高となり、1月10日に13.93リラの安値を付けた後はやや戻り高値を切り上げているものの13リラ台での持ち合いから抜け出せない状況となっている。

【様子見と時間稼ぎ】

1月20日にトルコ中銀は政策金利を現状維持で据え置いた。市場予想通りであり、高インフレ下での連続利下げにより9月1日高値13.32円から歴史的な暴落に見舞われ、苦肉の策としてリラ預金の為替差損を国家が補填するという奇策を発表したことで一時的にはリラが急騰したものの長続きはしなかった。
中銀のカブジュオール総裁は12月の前回利下げ時に暫く様子を見るとし、1月20日の中銀金融政策発表前にはエルドアン大統領が追加利下げを急がない姿勢も示したことでインフレがピークアウトしないことには追加利下げも躊躇される状況にあるということは市場も認識していたが、大統領の先行きにおける利下げ継続姿勢は変わらない。

1月20日に発表されたトルコ中銀の純外貨準備高は75.5億ドルとなり前週の79.5億ドルから減少して2002年以来の低水準となった。トルコ中銀は12月のリラ暴落過程で70億ドル強の市場介入によるドル売りを実施しており、その影響で直近のピークだった昨年11月初旬の326.4億ドルから激減している。
通貨スワップ協定による名目的な外貨準備高や市中銀行とのスワップ取引を除けば現金ベースではすでにマイナス勘定であり、市中銀行からのドル借入により中銀が市場介入していたと思われる。こうした脆弱性を解消するには外貨預金からリラ預金への転換が必要だが、金融政策への不信感から転換は進んでおらず、トルコ中銀は外貨預金への手数料導入によるリラ転換を強いる方針を示したものの国内銀行の反対もあり導入が見送られている。

1月20日に公表されたトルコの世論調査では、エルドアン大統領への支持率は12月の38.6%から40.7%に上昇したものの不支持率は54.4%と支持率を大幅に上回っている。2023年には大統領選挙もあるため、今年のインフレ抑制と利下げ継続により力強い景気回復を実現しないと大統領の再選にも陰りが差し、政局不安という新たなリラ売り要因も出てくる可能性があると思われる。

【1月3日の高安レンジからの持ち合い放れ待ち】

1月3日に8.19円から9.00円まで戻した後はこの高安レンジ内での推移が続いている。昨年2月16日に15.26円の天井を付けた後にアーバル前中銀総裁の解任騒動から6月2日安値12.44円まで急落した後、9月1日高値13.32円までの間を1円弱のレンジでの持ち合いで推移した。アーバル前総裁の後を引き継いだカブジュオール現総裁がインフレ率を下回る利下げはしないと繰り返し強調してきたことが下支えとなり、その間は戻り高値をやや切り上げる動きだったのだが、結果的にはカブジュオール総裁がエルドアン大統領の圧力に押し切られて市場を裏切ったことで持ち合いから下放れとなり歴史的暴落が発生した。
現状はリラ預金保護政策を打ち出したことと、外貨預金への新たな圧力方針への警戒、1-3月期は利下げを急がず様子を見るとの姿勢を踏まえて持ち合いとなっている状況と思われる。昨年6月から9月にかけての経緯を踏まえれば、今回も1-3月期を持ち合いで推移しつつやや戻り高値を切り上げる可能性も考えられるが、持ち合いを支えている状況が崩れ始めれば市場としては持ち合い下放れによりもう一度史上最安値を試す流れへと舵を切るのだろうと思われる。

【中勢のポイント】

【中勢のポイント】

1月14日以降は戻り高値が切り上がり、安値も切り上げが続いてやや右肩上がりの展開だが、1月20日の政策金利据え置き発表後の高値からは下落基調にあり、1月14日以降の下値支持線を割り込みつつある。
中勢としては1月3日の高安レンジ(8.13円から9.00円)での持ち合い継続とみるが、1月14日からの右肩上がりの展開から転落するようだと8.20円台後半から8.30円台前半を試す可能性もあるとみる。
(1)当初、8.40円を下値支持線、8.52円を上値抵抗線とみておく。
(2)8.52円以下での推移中は下向きとし、8.40円割れからは8.30円台中盤(8.37円から8.33円)を試すとみる。8.35円以下は反騰注意とするが、8.52円以下での推移が続く場合は安値試しを続けやすいとみる。
(3)8.52円超えからは8.60円前後(8.57円から8.63円)を試すとみる。8.60円以上は反落注意とするが、8.52円以上での推移が続く場合は高値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月25日
 16:00 1月 製造業景況感 (12月 106.1)
 16:00 1月 設備稼働率 (12月 78.7%)
1月27日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
 20:30 週次 外貨準備高・グロス 1/21時点 (1/14時点 707億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高・ネット 1/21時点 (1/14時点 70.5億ドル)
1月28日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 97.6)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -54億ドル)
 16:00 10-12月期 観光収入 (7-9月 114億ドル)
 17:00 12月 観光客数 前年比 (11月 111.5%)

2月01日
 16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 52.1)
2月03日
 16:00 1月 消費者物価指数 前月比 (12月 13.58%)
 16:00 1月 消費者物価指数 前年比 (12月 36.08%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前月比 (12月 13.2%)
 16:00 1月 消費者物価コア指数 前年比 (12月 31.9%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前月比 (12月 19.08%)
 16:00 1月 生産者物価指数 前年比 (12月 79.89%)
 20:00 週次 外貨準備高 

注:ポイント要約は編集部

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