トルコリラ円見通し 1月3日のレンジ内での小動きで6日を経過、8円台前半の揉み合い(22/1/12)

12日早朝の終値は8.35円で前日終値8.33円からは0.02円の円安リラ高となった。

トルコリラ円見通し 1月3日のレンジ内での小動きで6日を経過、8円台前半の揉み合い(22/1/12)

1月3日のレンジ内での小動きで6日を経過、8円台前半の揉み合い

〇トルコリラ円1/12早朝終値8.35、1/3レンジ内で6日経過、8円台前半での揉み合い続く
〇対ドル1/11は13リラ台にとどまり推移、FRB議長発言サプライズ無しでドル安反応、安値更新回避
〇トルコ政府、企業外資預金からリラ預金への転換優遇、内部留保余裕ない限り転換困難か
〇8.45以下での推移中は下向きとし、8.13割れからは8.00前後への下落を想定する
〇8.45超えからはいったん戻しに入るとみて、8.60前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月11日は8.40円から8.20円の取引レンジ、12日早朝の終値は8.35円で前日終値8.33円からは0.02円の円安リラ高となった。
高インフレ下での連続利下げ強行による暴落で12月20日に6.17円まで史上最安値を更新した後、12月20日のエルドアン大統領によるリラ預金保護政策発表から急騰となり12月23日高値で11.14円まで反騰したが、その戻りも一巡となり1月3日には8.13円まで失速した。
1月3日以降は新たな安値更新を回避するも戻り高値切り下がり基調の中でややジリ安で推移しつつ、8円台前半での揉み合いの様相が続いている。
1月11日はトルコの11月経常収支の発表があり10月の31.36億ドルの黒字から11月は26.81億ドルの赤字で4か月振りの赤字転落となったが、市場予想の26.75億ドルの赤字に近い数字だったために市場反応は限定的だった。

【対ドルでは13リラ台での揉み合い続く】

ドル/トルコリラの1月11日は13.87リラから13.37リラの取引レンジ、12日早朝の終値は13.79リラで前日終値の13.80リラからは0.01リラのドル高リラ安だった。
12月20日に史上最安値18.36リラへと暴落したところから、リラ預金保護政策発表によるリラ買い戻しの殺到で急騰に転じて12月23日には10.05リラまで高値を切り上げたが、その後は戻り一巡から下落再開に入った。1月10日には13.93リラへと安値を切り下げたが、11日は手掛かりに乏しく1月5日以降の13リラ台にとどまっての推移を続けた。
1月11日深夜には米連銀のパウエル議長再任に関する上院公聴会が開かれたが、議長発言には特段のサプライズ内容は無かったとして深夜以降はドル安反応となったため、トルコリラに対するドル高圧力がやや弱まったことで12月23日以降の安値更新は回避した。

【企業に対して外貨預金からリラ預金への転換を優遇・催促】

トルコ政府はリラ建て預金の為替差損を補填する保護預金制度について企業の外貨預金口座と金預金口座を対象にすると11日の官報で発表した。2021年末時点における企業のドルやユーロ及びゴールドの預金口座について半年から1年の定期でリラ建て預金に転換すれば、満期にドルやユーロ及びゴールドへ転換する際の為替差損の補填を行うという。これまでの個人によるリラ建て預金保護では不十分であり、外貨預金からリラ預金への転換もあまり進んでいない中で新たなリラ転換を促進するものと思われる。
輸出入企業にとっては仕入れ販売などにより常にドルやユーロなどが必要であり、よほど内部留保に余裕がなければリラ建ての定期へと転換するのは容易ではないと思われる。

個人のリラ預金についても、富裕層にとっては国家による元本保証付きの高金利預金となり、外貨建て預金と両立させればリラ安においてはリラ預金が保護されて外貨預金でプラスとなる有利な運用になるが、預金するだけの資産的余裕がない低所得者層にとっては何ら意味はなくリラ安とインフレが続けば生活苦も一層厳しくなる。
市場としてはひとまずリラ預金の損失補填政策をサプライズとしてリラの反騰へと反応したもののその効果については懐疑的として反動安となり、年明けからは様子見の動きに入っている。
1月20日に次回のトルコ中銀金融政策決定会合があり、その前後で利下げ継続姿勢が示されるのかどうか見定めたいところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、1月3日夜高値からのジリ安が続いて8.50円を割り込んだために6日午前時点からは1月3日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして6日午後から10日午後にかけての間への下落を想定してきた。
1月10日夕刻へいったん戻してから下落したために11日午前時点では7日夜安値を直近のサイクルボトムとしてすでに新たな弱気サイクル入りしている可能性があるとしたが、10日夜安値からの下げ渋りが続いているので直近のサイクルボトムを10日夜安値へ改める。トップ形成期は11日の日中から13日にかけての間とし、10日夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとするが、10日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして13日夜から17日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では1月10日午後と11日午後の反発では先行スパンを上抜けずに再び転落しているので、先行スパンを上抜き返せないうちはもう一段安余地ありとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、先行スパンを上抜き返す場合は遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は1月6日以降を指数のボトム切り上げで推移しているが60ポイント台では戻り売りにつかまっている。このため45ポイント以上での推移中は上昇余地ありとするが、45ポイント割れからは下げ再開とみて30ポイント割れへ向かうとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)8.13円を下値支持線、8.45円を上値抵抗線とする。
(2)8.45円以下での推移中は下向きとし、8.13円割れからは8.00円前後への下落を想定する。8.00円以下は反騰注意とするが8.20円以下での推移が続くなら13日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)8.40円台では戻り売りにつかまりやすいとみるが、8.45円超えからはいったん戻しに入るとみて8.60円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

1月13日
 16:00 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 0.6%)
 16:00 11月 鉱工業生産 前年比 (10月 8.5%)
 16:00 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.9%)
 16:00 11月 小売売上高 前年比 (10月 16.2%)
 20:30 週次 外貨準備高(グロス) 1/7時点 (12/31時点 725.6億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高(ネット) 1/7時点 (12/31時点 83.4億ドル)
1月17日
 17:00 12月 財政収支 (11月 320億リラ)
1月20日
 20:00 トルコ中銀金融政策決定会合 週間レポレート (現行 14.0%)
 20:30 週次外貨準備高 (1/14時点)


注:ポイント要約は編集部

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